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開腹手術せずに早期の消化器がんを治療
内視鏡的粘膜下層剥離術

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院

(東京都 港区)

最終更新日:2022/08/16

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  • 保険診療
  • 胃がん
  • 食道がん
  • 大腸がん

医学の進歩によりさまざまな治療法が次々に確立されているがん医療。特に内視鏡の発達は、早期のがん発見に役立つだけではなく、患者の体に大きな負担をかけずにがんの切除を図ることを可能にした。その代表的存在である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、主に早期の段階の食道がん、胃がん、十二指腸がん、大腸がん、咽頭がんに適用される治療法。開腹手術よりも侵襲が少ないために、治療後のQOL(生活の質)を下げることなくがんの治療をめざせる術式として注目されている。そこで、この手法を黎明期から導入し現在も数多くの処置を行う「虎の門病院」の消化器内科(胃腸)部長の布袋屋修先生に、この治療法の概要を聞いた。(取材日2021年9月24日)

内視鏡的粘膜下層剥離術による胃や大腸の早期がん治療。治療後のQOL(生活の質)の維持にも期待が集まる

Q内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)とはどのような治療法ですか?

A

治療法が開発された経緯を語る、布袋屋修部長

1980年代から内視鏡で発見された転移の可能性が極めて少ない早期のがんについて、内視鏡的粘膜切除術(EMR)が行われていました。しかしEMRはがんの大きさが2cm未満という制約があり、2cm以上のがんは分割して切除するか、やむを得ず外科的手術を行うしかありませんでした。ただ、2cm以上であっても粘膜内がんは基本的には転移がないものといわれていたので、それをどうにか一括で取ることはできないかというニーズから開発されたのが内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)でした。ESDは大きながんにも適用しやすく、がんの形に添って電気メスでシールを剝がすように病変ごと切除を図ります。

Q早期であればどんながんもESDの対象となるのでしょうか?

A

消化器がんから咽頭がんの早期がんに対して、ESD治療を実施

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) は食道、胃、十二指腸、大腸、咽頭がんが対象となります。それぞれ適用条件が細かく決まっていて、例えば胃がんでは、がん細胞がまとまって増殖する傾向にある分化型がんで粘膜内がんであることがESDの条件となり、パラパラと広がり進行するとスキルス胃がんになる可能性のある未分化型がんは対象外です。分化型であれば粘膜層まで入ってしまっていても3cm以内であれば多くがESDでの処置が可能ですが、それ以上の深達度や転移をしている場合はESDの適用はできません。また大腸については、技術的な難易度が高かったため先進医療から始まりましたが、治療の有用性からその後保険適用となりました。

Q貴院では早期から積極的に導入してきたと聞きました。

A

当院では内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に初期の段階から積極的に取り組んできました。ESDが開発されたのはちょうど私が後期研修医を終えて、消化器内科のスタッフに採用され消化器内視鏡を専門にやっていくことを目標に定めた頃で、まだESDという名前もついていなかったような黎明期でした。その後、世界的に早期がんの治療法として普及し、ESD自体の進歩もあり国内外のさまざまな医療機関で行われていますが、当院では切除にかかる時間の短縮に努めるなど、より早くより確実に、そして安全性高く治療することをめざして治療を行っています。

Q内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)のメリットを教えてください。

A

迅速な連携を常に心がける消化器内科のチーム

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の一番のメリットは、開腹手術をせずに早期がんを治すことがめざせる点です。開腹手術では難しかった病変部のみ切除を図れることで、極力臓器を温存することが望めるようになりました。侵襲性が低く患者さんの体への負担も少ないため、治療後もそれまでと同じ生活を送ることが期待できます。また、ESDは治療以外でも検査としての役割も期待され応用が検討されています。例えば最初から開腹手術でがんを切除すべきかどうか迷うような場合、まず負担が少ないESDでがんを切除し、その後の評価で総合的に判断できないかといったように、診断的治療としての適用についても研究が進められているところです。

Q治療を行う際に気をつけていることはありますか?

A

患者さんには内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)だけで必ずがんが治るわけではないことを説明した上で、メリットをお伝えしています。よくあるトラブルでESDを受けたから追加の開腹手術はしないという方がいますが、がんを取ることと治ることは違うことをご理解いただけるように心がけています。実際には8割から9割は見立てどおりESDで治癒をめざせますが、ある一定数は肉眼での見立てよりがんが大きく最終的に開腹手術を要することがあります。そのためESDでは治療後、病理検査の結果が出るまでの約1週間の入院が必要となります。もしも開腹手術が必要になる場合は、当科から外科へ速やかにご紹介し、その後の治療を進めていきます。

患者さんへのメッセージ

布袋屋 修 消化器内科(胃腸)部長

1994年杏林大学医学部卒業。前期研修医として虎の門病院に入職し今に至る。循環器内科、呼吸器内科を経験し消化器内科で内視鏡に触れてから特に食道、胃、大腸の早期がんの内視鏡診断と治療、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)に従事。2017年より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。

当院では、内視鏡的治療および内視鏡的診断に精通した医師による専門性の高い医療を提供しています。日々の診療では、緊張している患者さんも多いので、できる限り医師と患者という壁ができないように一対一での対話を大切にし、信頼関係を築くことに努めています。気になることがあれば気軽に受診してください。また、近隣の医療機関からのご紹介は断らない・すぐに診る・受け入れることをモットーに対応しています。診断が何かわからない、がんかどうか判断がつかないというケースでもまずは受け入れます。開業医の先生とも診断を共有して患者さんへ安心感を与えていければと思います。

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