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先進の治療で神経筋疾患へアプローチ
社会復帰の可能性を模索

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院

(東京都 港区)

最終更新日:2022/08/22

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  • 保険診療
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • ギラン・バレー症候群
  • 重症筋無力症
  • 脳卒中
  • 多発性筋炎・皮膚筋炎

筋肉や末梢神経の病変によって運動障害を起こす神経筋疾患。重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)が代表的な病気だ。特に重症筋無力症や筋萎縮性側索硬化症(ALS)は厚生労働省が定める指定難病とされており、治癒するのが難しく、神経後遺症を残すなど日常生活に支障を来すこともある。しかし、最近は医学の進歩や治療薬の開発により、少量の薬を服用しながら社会生活を送っている人も多いという。そこで、「虎の門病院」脳神経内科の上坂義和部長に、神経筋疾患の詳細について聞いた。(取材日2021年9月16日)

筋力の低下や感覚障害があれば脳神経内科の受診を。精密な検査と診断で適切な治療を行う

Q神経筋疾患とはどのような病気なのでしょうか?

A

神経筋疾患について話す、上坂義和部長

神経筋疾患は筋肉自体にある病気や末梢神経を主体として運動神経に障害を来す疾患です。重症筋無力症や多発性筋炎・皮膚筋炎、ギラン・バレー症候群などが代表的な病気で、特に有名なのは筋萎縮性側索硬化症(ALS)です。病気によって原因や特徴は違ってきますが、自己免疫疾患が多く、脳卒中に比べると比較的若い人に多く発症し、女性が少し多い傾向にあります。主な自覚症状には、神経と筋肉の病気であることから筋力障害、外部からの刺激が過剰に感じられる感覚過敏や感覚が鈍る感覚鈍麻といった感覚障害があります。中でも筋力低下が特に多く、個人差がありますが週単位や月単位などで進行していきます。

Q症状を感じたときはどうすればいいでしょうか?

A

カンファレンスを実施し、より正確な診断と適切な治療を行う

前述の症状からは非常にたくさんの病気の可能性が考えられるため、進行性の筋力低下がある場合は神経内科の受診をお勧めします。整形外科を受診されることもあるかと思いますが、その場合は頸椎症、腰椎症ではないということを確認していただきいずれも該当しないようであれば、神経内科で最終的に診断することもあります。最近はALSを疑って受診される方が増えていますが、それ以外の筋肉や末梢神経系の病気が隠れている場合もあるので、きちんとした診断をした上でそれぞれの病気に合った治療をしていくことが大切になります。

Q神経筋疾患は一度発症すると治らない病気なのでしょうか?

A

ギラン・バレー症候群のように急性の病気の多くは1回の治療で済むケースが多いですが、慢性の難病に該当する多発性筋炎・皮膚筋炎、重症筋無力症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)については比較的長期の治療期間を要します。病気の症状がほぼ消失した状態である寛解をめざせる人もいますが、難病である以上、難治性の人もいらっしゃいます。ただ、昔に比べれば社会復帰をされている人も増え、薬の量を減らし日常生活を送られている人も比較的多いのが現状です。

Q治療は病院とクリニックのどちらで進めるのが良いですか?

A

診断のための検査や症状が落ち着くまでの治療は、専門の医師や設備のそろった病院でしかできないこともあります。一方で最近は神経内科専門の医師が開業する神経内科専門のクリニックも増えてきています。神経内科は医師同士で面識があることも多いので、当院では専門的な治療をなった後、病状や薬の量が安定している患者さんは、私が信頼できると思うクリニックにご紹介をし、クリニックでの治療を続けている間に具合が悪くなった場合は、開業の先生からご連絡をいただきすぐに対応するというような病診連携も盛んに行っています。神経難病は一般の内科では判断が難しいこともあるので、専門のクリニックを受診されることが望ましいでしょう。

Q貴院での神経筋疾患の治療の特徴を教えてください。

A

脳神経内科に加え、各部門と連携することで総合的な治療を実施

神経筋疾患の中で当院が多く治療しているのが重症筋無力症です。重症筋無力症は胸腺腫という病気を合併することが多く、呼吸器外科の協力により手術を行うことがあります。当院の呼吸器外科では胸腔鏡下による低侵襲手術を得意とし、質の高さにこだわって治療を行っており、傷痕がほとんど残りません。また、神経筋疾患の多くは自己免疫性疾患が含まれるためさまざまな免疫抑制剤を使用しているほか、血液浄化については、血液浄化センターや腎センターとの連携で実施するなど、各部門との協力で総合的な治療を提供しています。

患者さんへのメッセージ

上坂 義和 脳神経内科部長

1987年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院内科、三井記念病院内科、虎の門病院分院神経内科、東京大学医学部附属病院神経内科での勤務を経て、1994年虎の門病院脳神経内科に。国立国際医療研究センター神経内科医長を務めたのち、2009年より現職。日本神経学会神経内科専門医、 日本内科学会総合内科専門医。 専門は脳血管障害、神経電気生理診断。

神経筋疾患の中でもALSの場合は早期発見・治療をしてもその後の経過修飾は難しいですが、自己免疫性疾患は早期に治療できれば、多くの場合その後の経過が良いと考えられるため、少しでも気になることがあればかかりつけ医にご相談されるとよいと思います。その上で専門の医師の診察が必要だと判断された場合はぜひ受診してください。当院では神経筋疾患のほかにも、脳卒中をはじめとする神経系の救急疾患、脳炎やけいれん、パーキンソン病、多発性硬化症などにも幅広く対応しています。筋電図検査や神経生理系の検査については私を含めてスペシャリストが在籍しており、精密な評価で適切な診断へとつなげています。

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