全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院8,023件の情報を掲載(2023年2月06日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 港区
  4. 虎ノ門駅
  5. 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院
  6. 多職種連携が重要に 機能温存をめざす食道がん手術に肥満症手術

多職種連携が重要に
機能温存をめざす食道がん手術に肥満症手術

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院

(東京都 港区)

最終更新日:2022/08/19

20220106 main20220106 main
  • 保険診療
  • 誤嚥性肺炎
  • 脂肪肝
  • 食道がん
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 大腸がん
  • 痛風
  • 糖尿病
  • 乳がん
  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 脂質異常症(高脂血症)

がんは治療可能な病気となった昨今、がんに関わる多くの医師が根治とともに重視するのが手術後の生活の質を保つための機能温存だ。術後の生活をできる限り元の生活に近い状態にするためには、内科・外科、あるいは職種の垣根を超えた協力体制が不可欠であり、多くの医療機関では治療前から多職種での介入に力を入れている。そこで、常に患者にとっての最良の医療を追求し続けてきた「虎の門病院」における食道がん治療、そして、近年がんの治療とともに力を注いでいるという肥満症手術を例に、病気の概要や治療方法とともに複数の診療科や職種連携の重要性について、 同院消化器外科(上部消化管)部長 兼食道がん治療センター長の上野正紀先生に詳しく話を聞いた。(取材日2021年9月16日)

適切な治療と手術後の健康維持のためには欠かせない診療科間の連携。術後の機能温存にもつながる

Q食道がんの主たる原因は何でしょうか?

A

食道がんの原因や治療について語る、上野正紀部長

食道がんの原因として明らかにわかっているのは、お酒とタバコです。お酒を飲むと顔が赤くなる人がいますがこれはアルコールの代謝が悪いからで、日本人の約半数が該当するといわれています。こういった人たちがウイスキーやブランデーなど強い濃度のアルコールをストレートで飲むような行為はあまり良いことではありません。もちろんタバコやお酒をやめれば食道がんの予防にはなりますが、日常的に飲酒する人がお酒をやめるのはそう簡単ではありません。そのため、予防のためにも内視鏡検査を受けることが大切になります。 特に飲むと顔が赤くなる人は内視鏡検査を定期的に受けることをお勧めします。

Q食道がんの初期症状や進行具合による治療法を教えてください。

A

手術では、がんの根治と機能温存の両立をめざす

自覚症状で多いのは飲み込み時の喉から胸の違和感ですが、こういった症状を感じたときは、がんがある程度の深さまで達していることが多く、初期の段階ではあまり症状が出ません。胃の内視鏡検査を受けたら早期の食道がんが見つかるケースも少なくありません。初期の食道がんであれば内視鏡的切除術が可能です。その段階を超えた場合は手術を考慮し、手術単独、もしくは放射線治療や化学療法と手術を組み合わせた治療を行います。手術は低侵襲の胸腔鏡手術やロボット手術による切除術を優先しますが、切除が困難と判断した場合には放射線治療、化学療法、免疫療法などで対応します。食事摂取を目的としたバイパス手術やステント治療もあります。

Q貴院の食道がん治療における特徴はどんなところにありますか?

A

がんの根治とともに私たちが重視しているのが機能温存です。食道がんの手術では、通常がんを切除した後に胃を持ち上げて残った食道につなぎますが、当院では患者さん自身の小腸・大腸の一部を使って再建を行うことで逆流性食道炎とそれに伴う誤嚥性肺炎の予防を考えています。この方法は手間も時間もかかります。手術時間は短く、体に与える影響も少ないに越したことはありませんが、手術後、できる限り快適な生活が送れるようにあえてこのような再建法を選択しています。また、食道と胃の境目にできる食道胃接合部がんについても、飲み込みの機能と逆流防止を考え、ロボット支援手術を導入するなど再建法を工夫して機能温存をめざしています。

Q機能温存のため、複数の診療部門との連携が重要と聞きました。

A

精度の高い手術。手術前後の各診療部門との連携も欠かせない

喉に近い食道がんの切除術に伴い声を失うことがありますが、生きていく上で機能温存はがんの根治と同様に重要です。そこで消化器内科や抗がん剤治療を行う臨床腫瘍部門、放射線治療科と協力してできるだけがんを小さくしてから声帯温存手術をめざします。また、当院は消化器や循環器をはじめ内科の各診療部門に強みがあり、合併症のある場合は、手術前に短期間で合併症をコントロールし安全に手術ができる状態にすることをめざします。手術後も全面バックアップしてくれるので、外科は安心して患者さんを任せられます。がんの治療では1日も無駄にしたくありません。複数の診療部門が連携を深め適切な治療を迅速に行えるのも当院の特徴です。

Q次に肥満症手術についてお伺いします。どんな治療でしょうか?

A

肥満症手術は、全身病としての肥満を手術で治し生命予後を延ばすことが目的の治療です。太っていることによる心筋梗塞や脳梗塞のリスクは通常の2倍といわれるほか、大腸がんや乳がんの発症リスク、新型コロナウイルス感染症の感染リスクと重症化リスクも高いとの報告もあります。その結果、肥満の人は通常よりも命に関わる事態に陥るリスクが非常に高いとされています。特に肥満の合併症である糖尿病は命を縮めるような病気です。過食を防ぎ、糖尿病の進行を抑えることを目的に、低侵襲の鏡視下手術で胃を小さくし、健康的な体にしていくことをめざす治療として注目されています。

Q肥満症治療の対象となる人や治療内容について教えてください。

A

年齢は65歳まで、BMI値が35以上に加えて糖尿病や高血圧、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群などを合併した病的肥満の人が対象になります。BMI値35以上の目安は、身長150cmで75kg以上、160cmで90kg以上、170cmで101kg以上を指し、ちょっと太っているという程度では対象になりません。対象であってもすぐに手術をするというのではなく、まずは半年、栄養指導や食べる量の調節、運動やダイエット指導といった内科的アプローチを行います。真面目な患者さんであればこの間に手術の必要がなくなることもありますが、それだけでは十分でない場合は、胃をバナナ1本分の大きさほどに縮小する手術を行います。

Q肥満症治療について、貴院ならではの特徴はありますか?

A

健康維持と食べる幸せの両立のため、連携が重要と語る上野先生

この治療による体重減少をめざすことはもちろん、 それに伴い、糖尿病、高血圧、高脂血症、痛風や睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝、腎機能障害など他の合併症にも良い影響をもたらすと考えられます。当院では、 退院後は外来で、どのような食事をしているか、生活が守れているかを診ていきます。この治療は難しい手術ではありませんが、健康を維持するために胃を小さくすることで食べる幸せを奪うことになります。そのため必ず精神科の先生にも関わっていただき、精神面でのフォローも行います。外科や糖尿病内分泌科はもちろん、精神科、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種が連携して行うのも、この治療の特徴です。

患者さんへのメッセージ

上野 正紀 院長補佐 兼 消化器外科(上部消化管)部長

1988年山梨大学医学部卒業。2017年より消化器外科(上部消化管)部長に就任。2022年より院長補佐を兼担。専門は上部消化管外科分野、 食道がん開胸手術・鏡視下手術・ロボット支援下手術、食道がん集学的治療。 日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。

食道がんについては、早期から進行がん、合併症のある人など、どのステージのどんな状態であっても対応します。手術ができる人だけでなく、内視鏡治療の適応であれば消化器内科に、化学療法が必要であれば臨床腫瘍部門にご紹介します。迷わず最後まで諦めずに治すという気持ちで、“初診から治療開始までは1日でも短く、検査はできるだけ早く、手術も最短で“、“手術では機能温存“を心がけています。肥満症手術について当院の大きな利点は糖尿病を担当する代謝内科に強みがあることです。各部門との協力体制ができあがっているからこそ、安全性を追求した治療が提供できていると自負しています。詳細についてはいつでもご相談ください。

access.png