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いざというときに困らないように
知っておきたい骨折の基礎知識

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院

(東京都 港区)

最終更新日:2022/11/18

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  • 保険診療
  • 骨粗しょう症
  • 骨折

転倒や交通事故など何かの衝撃で骨に強い力がかかり起こる骨折。小さな子どもから高齢者まで年齢を問わず起こる身近なけがでの1つであるが、どの診療科にかかれば良いかや治療の方法など、意外に知られていないことも多い。そこで、いざという時に困らないように、骨折についての基礎知識と実際に骨折をした際にとるべき行動について、一般的な骨折から重症のものまで幅広い治療経験を持つ「虎の門病院」外傷部門の黒住健人外傷センター部長に、話を聞いた。(取材日2022年7月5日)

強い痛みがあっても自力で動けるときはまず近隣の整形外科へ。状態によって安静から手術まで対処方法は多様

Q年齢による骨折の原因の違いを教えてください。

A

骨折の基本について語る、黒住健人外傷センター部長

骨折は基本的には転んだり交通事故で起こることが多く、年齢に関係なく骨より強い力が加われば折れてしまいます。高齢になると、骨粗しょう症などで骨が脆くなっていることで、ちょっとした高さからの転倒でも骨折しやすい傾向にあります。各年代における骨折の原因は、小児期は鉄棒や遊具から落ちることが多く、20〜40代の青壮年期では、男性では、労働災害、交通事故などが目立ちます。女性はけがをする可能性のある職業に就いている人の数が男性に比べると少ないため、これらが原因の骨折は少ないですが、閉経を迎えた50代後半からは高齢者特有の骨折が増えてきます。

Q骨折はどの診療科で診てもらえますか?

A

基本的には四肢、脊椎、骨盤の骨折については整形外科で対応することになりますが、肋骨であれば胸部外科、頭の骨であれば脳神経外科、顔面の骨折であれば歯科口腔外科、形成外科、耳鼻咽喉科など複数の診療科が関わってきます。一般的には骨のことだからと最初に整形外科にかかる人が多いですが、地域によっては診療科が限られていることもあり、まずはかかりつけの医師の判断を仰ぐ場合もあると思います。また、接骨院に行く人も非常に多いですが、症状が悪化する前に医療機関を受診していただくことをお勧めします。

Qでは、骨折かなと思ったらどうすればいいでしょうか?

A

救急整形外傷に精通した医師による治療

骨折した際に、あまりの痛さに驚いて思わず救急車を呼んでしまう人が多いのですが、まずは落ち着いて近隣の整形外科のクリニックを受診していただきたいと思います。骨折は一度経験するとわかるのですがとにかく痛く、しばらくすると引いてくる打撲などの痛みとはまったく別物の痛さがあります。しかし慌てる必要のないものもたくさんあるため、緊急を要するのかそうでないかの判断がつかないときは、まずは消防庁による相談窓口である救急安心センター事業の「#7119」に電話をして指示を仰いでみるのも1つの方法です。もちろん大きな骨が折れたり動けないときは救急車を呼んでいただければと思います。

Q骨折の治療方法についても知りたいです。

A

ごく軽症については安静にして経過観察になり、それより1つ進んだ状態では手足の指であればテーピング、前腕や上腕であれば、ギプスを帯状にして痛めたところに当てる添え木のギプスシーネや、患部に巻きつけるタイプのギプスなどによる外固定を行います。それ以上の症状であれば手術になります。手術適用になるかどうかは、骨折の具合や場所のほか、同じ指でも足の指と手の指、患者さんの社会背景によっても違ってくるので、さまざまな状況に応じて判断していきます。町のクリニックでも小さな手術であれば対応できるところもありますが、基本的には大きな手術は病院で行うことになります。

Q貴院の外傷部門の特徴を教えてください。

A

重症外傷に重点的に取り組むという

当院の外傷センターでは、救急整形外傷に精通した4人の医師による専門的な治療によって、患者の機能再建と早期の社会復帰をめざしています。現在は、一般病院でも対応が可能な骨折や外傷も受け入れていますが、最終的には高度救命救急センターで扱うような重症外傷を中心とした医療を提供できるように、部門内や病院全体の体制整備を進めているところです。人員にも限りがあるため当部門でしか対応できないような重症外傷に重点的に取り組むことで救える機能を救っていくと同時に、当部門での取り組みを通じて国内の外傷診療のレベルアップを図っていきたいと考えています。

患者さんへのメッセージ

黒住 健人 外傷センター部長

1992年大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)卒業後、複数の病院で勤務し、2009年帝京大学医学部附属病院外傷診療部門の立ち上げに携わる。以来国内の外傷センターの機能づくりと外傷医療の発展に寄与。2022年より現職。専門は救急、外傷、災害医学、航空医療、整形外科、リハビリテーション。日本救急医学会救急科専門医、日本整形外科学会整形外科専門医、日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医。

私は2009年に帝京大学医学部附属病院において救急医学講座と整形外科学講座の協力による外傷センターの立ち上げに携わって以来、国内の外傷診療部門の制度化に向けた働きや外傷治療のレベルアップに努めてきました。骨折をはじめ救急の外傷については患者さんが自分で医療機関を選んで搬送されるということはまずありません。だからこそ、草の根運動的に国内の外傷治療のレベルを上げていけるよう頑張っています。繰り返しになりますが、骨折については、まずは慌てず自分で動ける場合は近隣の整形外科を受診していただき、適切な判断の上で必要な治療を受けていただければと思います。

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