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安全性に配慮した低侵襲で負担も少ない
膵臓がんの腹腔鏡下手術

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院

(東京都 港区)

最終更新日:2022/08/16

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  • 保険診療
  • 膵臓がん(膵がん)

高齢化に伴って、年々増加傾向にある膵臓がん。早期には自覚症状がないことから発見が遅れがちで、治療が難しいがんとして知られている。「虎の門病院」では、がんができた場所や悪性度、進行度など、総合的な所見に基づいて開腹手術か腹腔鏡下手術かを判断。「メリットがある」と判断された場合には、患者の身体的な負担が少ない腹腔鏡下手術を積極的に行い、速やかな社会復帰につなげている。肝胆膵外科手術に精通する消化器外科(肝・胆・膵) 部長の橋本雅司先生に、膵臓がんに対する腹腔鏡下手術の適応症例やメリットについて聞いた。(取材日2021年9月27日)

悪性度や進行度、生活背景などを総合的に判断し、膵臓がんにも可能な限り腹腔鏡下手術を実施

Q膵臓がんの腹腔鏡下手術は、どんな場合に選択されますか。

A

膵臓がん治療について語る、橋本雅司部長

基本的には、重症度の低いもの、進行が遅いものが対象ですが、一人暮らしか家族と暮らしているかといった生活形態、お住まいの地域から当院までの距離、その他の疾患の有無などを総合的に考えて最終的な治療方針を決定します。かなり進行している場合には、リンパ節まで切除する必要があるため、開腹手術が第一選択となる場合が多いでしょう。当院では、肝胆膵の全領域において多くの腹腔鏡下手術を手がけてきた経験を生かし、膵臓がん手術の半分程度を腹腔鏡下で実施。適切な診断のもと、安全性に配慮しながら患者さんの負担が少ない治療を行っています。

Q病気の診断や患者の状態など、総合的な判断が重要なのですね。

A

そのとおりです。腹腔鏡下手術が可能かどうか、また腹腔鏡で行うことが患者さんにとって良い結果につながるかどうかを冷静に判断する必要があります。総合病院である当院の場合、複数の診療科の目で一人の患者さんをきめ細かく診察し、特に有用と思われる治療を選択できるのが強みですね。画像診断、放射線治療、腫瘍治療、緩和医療、栄養など、さまざまな分野と連携して、循環器・呼吸器・糖尿病などの合併疾患のある方に対しても治療の可能性を追求しています。

Q腹腔鏡下手術のメリットを教えてください。

A

きめ細かな診断後、専門スタッフによる精度の高い手術を実施

膵臓の開腹手術は、どうしても傷が大きくなるため術後の痛みが強く、回復に時間がかかるのが課題でした。一方、腹腔鏡下手術の場合、傷が非常に小さいため痛みが少なく、基本的に回復もスムーズです。また、拡大された視野のもとで手術ができるため、きめ細かな観察ができるのも利点の一つでしょう。実施するには高い技術が必要ですが、当院では専門的なトレーニングを積んだスタッフが対応しており、効果が見込めると判断すれば積極的に行っています。

Q腹腔鏡下手術後の経過について、詳しく教えていただけますか。

A

当院の場合、治療の基盤となる診断の正確性にとことんこだわっており、術後のトラブル防止に注力しているのが特徴です。開腹手術に比べると手術時間は長くなりますが、手術後は平均1週間ほどで退院が見込めるでしょう。これは、開腹手術の3分の2ほどの入院期間です。術後の生活の質の維持や、早期の社会復帰も期待できます。

Q腹腔鏡下手術を行う上で、心がけておられることはありますか。

A

チーム医療で精密な診断と治療をめざす

膵臓がんは早期発見が難しく、かつ悪性度が高いことが多いがんですが、どんな症例に対しても諦めずに最善の治療を提供することをモットーにしています。外科的治療が有用と判断される患者さんにはできるだけ早期に手術を行い、進行がんであっても切除の可能性を追求します。診療科内はもちろん、他診療科ともシームレスに連携して精密な診断・治療ができる体制を整え、患者さんの不利益を少なくする診療を心がけていますので、他院で手術が困難と診断されてお困りの方にもご相談いただきたいですね。

患者さんへのメッセージ

橋本 雅司 消化器外科(肝・胆・膵)特任部長

1982年東京大学医学部医学科を卒業後、1983年から三井記念病院の外科レジデントとして研鑽を積み、1988年東京大学医学部附属病院第二外科教室に入局。社会保険中央総合病院外科(現・JCHO東京山手メディカルセンター)、アメリカのミシガン大学留学を経て、1994年より虎の門病院勤務。2022年より現職。豊富な手術経験を生かして教育にも力を入れる。専門分野は肝臓・胆道・膵臓の外科手術、腹腔鏡下手術。

膵臓がんは、腹痛などで受診してたまたま早期で見つかる運の良いケースを除いて、他に原因がない腰痛や背部痛、黄疸、体重減少といった症状が出たときには進行していることが多いがんです。初期には自覚症状がないことが多いので、ちょっとした不調を痛み止めや胃薬で流さず、「おかしいな」と思ったら迷わず専門の医療機関を受診してください。早期に見つかれば、腹腔鏡下で手術できる可能性も高まります。一度人間ドックを受けた方も、安心して数年放置するのではなく、定期的に受診して早期発見・早期治療につなげていただきたいですね。

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