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原因に応じた治療でその子らしい成長を
成長障害

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院

(東京都 港区)

最終更新日:2022/11/18

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  • 保険診療

子を持つ親にとって、わが子の健やかな成長ほど楽しみなものはない。しかし、元気で健やかではあっても、標準的な成長曲線から大きく外れている場合は注意が必要だ。「乳児からつけている母子手帳の成長曲線の伸びが、急に鈍化した」「成長期には早いのに、いきなり身長が伸び始めた」といった傾向が見られたら、「成長障害」の可能性を視野に入れて受診してほしいと話すのは「虎の門病院」の小児科部長・磯島豪先生。成長障害にはさまざまな原因があるが、早期に適切な治療をすれば、問題なく日常生活を送ることも十分期待できるという。小児内分泌代謝学、骨代謝学、成長学を専門とし、その子によって異なる成長過程に寄り添った治療を提供する磯島先生に話を聞いた。(取材日2022年7月27日)

成長曲線がこれまでのラインから大きく離れてきたら受診の目安。早期治療が予後の改善につながる場合も

Q小児の成長障害には、どんなものがありますか?

A

成長障害について語る、磯島豪小児科部長

子どもが大人になるまでのプロセスには、身長が伸びたり、体重が増えたりする「成長」と、歩く、話すといった身体的、神経的な「発達」があります。成長障害は、前者の「成長」に課題がある状態のこと。一般的には、背が伸びない、または背が伸びすぎるといった身長に関わる問題、および低身長を一つの症状として内包する疾患を指すことが多いでしょう。成長の早さは人それぞれですから、一定の期間で見たときに「本人のペースに合った成長をしているかどうか」が評価の基準になります。例えば、1年間で背の順が一番後ろから一番前になったり、逆に一番前から一番後ろになったりした場合は少し注意が必要です。

Q成長障害の一つであるターナー症候群とはどんな病気ですか?

A

女の子に通常2本あるX染色体の1本全部または一部が欠けているために生じる先天性の病気です。患者は女の子のみで、およそ2000人に1人の割合で存在するといわれます。特徴は、低身長のほか、二次性微が現れない、平均より寿命が少し短いことなどが挙げられ、月経が来て止まる、乳房などは成長するが月経は来ないなど、症状の出方には個人差があります。肩から首にかけての皮膚にたるみがあるのが身体的な特徴ですが、一見してわかる外見の違いはありません。より良く生きるためのガイドラインがあるので、それに沿って症状に合わせた適切な治療を行うことが重要です。近年は「個性の一つ」と受け止められるようになってきました。

Qヌーナン症候群についても教えてください。

A

指定難病の一つで、低身長、典型的な顔立ちがわかりやすい特徴です。先天性心疾患を有する場合も多いです。遺伝性もあり、ご両親のいずれかがヌーナン症候群のこともあります。程度のさまざまな発達の遅れ、内分泌系の異常など多様な症状がありますが、患者さんによって発症する症状とその程度は異なります。心疾患などの合併症をフォローしつつ、その子に応じた薬や手術などで介入していくことになるでしょう。低身長については、成長ホルモンを投与し改善を図ります。

Q成長障害の検査はどのようなことを行うのですか?

A

まずは、母子手帳や学校健診の結果をもとに、成長曲線を見て問診をします。「最近、背の伸び方が鈍化した」と受診した子も、成長曲線で見ると少し前から右肩上がりの伸びがストップし、標準のラインを割っていることがあります。こうした場合は、低身長以外の症状の有無、疾患ごとの特徴の有無、二次性徴の状況などを総合的に判断し、必要に応じて血液検査や骨年齢の測定、内分泌学的な検査などを行います。

Qどのような治療をするのでしょう。

A

小児科チーム全体で患者へアプローチ

治療は、病気とその症状によって異なります。検査の結果、成長ホルモンの分泌不全が低身長を引き起こしていることがわかれば、注射で成長ホルモンを補います。また、甲状腺ホルモンの分泌不足が原因で身長の伸びが悪くなることもあります。この場合は、甲状腺ホルモンを補う治療を行います。併せて、心疾患、内分泌疾患、下垂体腫瘍といった原疾患や疾患ごとの合併症に対して、専門の診療科と連携しながら投薬や手術を行って経過を見ていくことになります。起こりやすい合併症がわかっている病気については、早めにケアをすることが大切です。

Q成長障害について、虎の門病院ならではの治療はありますか?

A

他科との連携を重点的に行い、リスクの低減をめざす

何といっても、多くの診療科があり、必要なときにスムーズに連携できることです。成長障害の中には、専門の診療科が多岐にわたる症状を合併することがあり、小児科だけで診ることはできません。また、低身長の原因が下垂体や脳腫瘍にある場合も、専門の医師との連携が不可欠です。当院には、間脳下垂体部門や内分泌・代謝内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科などがあるため、速やかに適切な治療に結びつけることができます。また、子どもが成長して成人になった場合には、子どもの成熟に応じた年齢でのトランジションが可能なことも挙げられます。

患者さんへのメッセージ

子どもの成長に不安を感じたら、学校健診などの記録を振り返り、成長曲線を描いてみてください。最近は、簡単に記録がつけられるアプリなども出ていますから、利用してみるとよいでしょう。ここ数年の曲線を見たとき、標準の線を割って横に寝たままだったり、ある時から急に身長が伸びなくなっていたりしたら、受診をお勧めします。成長障害を疑って受診されたケースでも、問診や検査をしてみると問題がないケースもありますし、問題があった場合には成長ホルモンの投与などさまざまな方法で、通常の日常生活が送れるようにサポートいたします。一緒にお子さんの成長を見守ってまいりますので、気軽にご相談ください。

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