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大腸がんのロボット支援手術
術後の早期回復を期待

東京大学医科学研究所附属病院

(東京都 港区)

最終更新日:2022/09/07

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  • 保険診療
  • 大腸がん

日本人のがん死亡率の第2位とされる大腸がん。それだけに治癒が困難な印象があるが、近年ではリンパ節転移のあるステージ3や、別の臓器に転移したステージ4でも根治をめざせるほど治療の進展がめざましい。特に注目されているのが、低侵襲で術後の早期回復が期待できる「ロボット支援下による直腸がんの腹腔鏡手術」だ。ただしこのロボット支援手術は、専門的な技術や高度な治療を支える多職種連携が必要なため、対応できる医療施設は少ない。東京23区南西部、港区、渋谷区、目黒区、品川区、大田区の5区の中でも、保険診療として「ロボット支援下による直腸がんの腹腔鏡手術」を行える施設は限られる。そこで、そのうちの一つ「東京大学医科学研究所附属病院」小野山温那先生に、ロボット支援手術について聞いた。(取材日2022年4月5日)

注目の大腸がん治療。港・渋谷・目黒・品川・大田エリアで数少ない、ロボット支援下直腸がん手術の実施施設

Q大腸がんに対する手術には、どのようなものがあるのでしょうか。

A

左から柵山先生、小野山先生

従来のおなかを切開して行う「開腹手術」と、腹部に数ヵ所開けた小さな穴からカメラや鉗子と呼ばれる器具を入れてモニターに映し出された腹腔内の映像を見ながら行う「腹腔鏡手術」があります。そして、最近行われるようになってきたのが、手術支援ロボットを用いて腹腔鏡手術を行う「ロボット支援腹腔鏡手術」です。「ロボット手術」と呼ばれていますが、ロボット自身が勝手に手術するわけではなく、外科医がロボットを操って手術を行います。開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術で、手術のやり方は異なりますが、おなかの中で、がんのある腸管をリンパ節とともに切除するという一連の流れは変わりません。

Qロボット支援手術にはどのようなメリットがありますか?

A

実際のロボット手術の様子。写真右上の執刀医がロボットを操る

通常の腹腔鏡手術が柄の長い手術器具を用いるのでどうしても直線的な動きになるのに対して、ロボット手術では、複雑に自在に曲がる関節を持つロボットを用いるので、狭い骨盤内でも正確で繊細な動きが可能になります。また、高画質で立体的な3Dハイビジョンで患部を拡大しながら手術を行えるものメリットです。その結果、直腸周囲の排尿や性機能に関わる神経をより精密に温存することができ、術後の排尿・性機能の保持や早期回復が期待されます。

Q体の負担が少ないことで術後の経過はどのように変わりますか?

A

3Dを見ながらロボットを操作する同院外科教授の志田大先生

開腹手術も、腹腔鏡手術やロボット手術も、術後在院期間は7日間前後で大きな違いはありません。異なるのは手術後の数日間の回復具合です。腹腔鏡手術やロボット手術は傷口が小さいため、手術翌日でも無理なく歩けることがほとんどです。術後早期離床は、ERAS(イーラス)で推奨されています。ERASとは術前から術後にかけて実施する早期回復をめざすプログラムであり、腹腔鏡手術やロボット手術では早期離床が可能となることで、早期の社会復帰へつなげることができます。

Qロボット支援手術を採用するための基準などはありますか?

A

「患者の体への負担が少ない治療を」が同院外科チームのモットー

ロボット支援手術に適した症例は、直腸がんです。骨に囲まれた狭い骨盤の中でも自在に動かせるロボットは、肛門に近いがんや進行がんの手術において大きな力を発揮します。一方、多方向の観察が必要である場合やおなかの中の癒着の多い場合には、通常の腹腔鏡手術や開腹手術が適していることもあります。病状に合わせて、がんを治療できる可能性の高い手術方法を選択することが大切です。ロボット支援手術は、専門的な技術を持つ医師や、治療を支える多職種連携が必要なため、対応できる医療施設は限られています。港区、渋谷、大田、目黒、品川の5区でも、保険診療でのロボット支援直腸がん手術を行っている施設は、現在はまだ数施設です。

Q手術や治療の際に、心がけていることはありますか?

A

ロボット手術に関する専門的な技術を持つ医療チーム

がんは進行すると深刻な事態を招くことがある病気だけに、患者さんはどうしてもネガティブな気持ちになりがちです。だからこそ治療に取りかかる前に、病気やこれから行う治療について、患者さんに正しく理解していただくことを重視しています。詳しくわかりやすい説明をすることはもちろんですが、物事の捉え方や理解度は人によって異なりますから、画一的でない、患者さん一人ひとりに合わせたきめ細かな対応が求められます。患者さんのちょっとした変化を見過ごさないようしっかり目線を合わせ、笑顔を忘れず「患者さんが健康を取り戻すまでしっかりサポートします。一緒に頑張りましょう!」という私たちの思いが伝わる診療を心がけています。

患者さんへのメッセージ

小野山 温那 先生

2007年徳島大学医学部卒業。東京都立墨東病院、東京都立駒込病院、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センターで研鑽。2022年4月より現職。専門は消化器外科学、特に胃がんの腹腔鏡手術が得意。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。「少しでも前向きに治療に取り組めるよう、患者さん一人ひとりに寄り添ってしっかりとサポートします」。

柵山 尚紀 先生

2007年東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属柏病院、東部地域病院、国立がん研究センター東病院を経て2022年4月より現職。大腸がんの腹腔鏡手術を得意とする。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医。「患者さんの不安を受け止め、それを和らげながら、かつ効果的な治療を行っていきたい」。

【小野山先生】ロボット支援手術では、手術器具の先端を指のように自由に曲げられるためより繊細で精密な手術が可能です。中でも腹腔鏡手術の利点を生かした「ロボット支援腹腔鏡手術」は、開腹手術に比べて傷口が小さく体への負担が少ないことから、術後のQOLという観点からも非常に優れた手術といえるでしょう。私たち東大医科研外科チームは、このロボット支援手術を得意とする医師をそろえており、これまで数多くの実績を残してきました。今後もチーム一同、質の高い治療を追求しつつ、患者さんが少しでも前向きに治療に取り組めるよう、患者さんに寄り添ってしっかりとサポートすることを心がけておりますので、安心してお任せください。

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