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東京大学医科学研究所附属病院

(東京都 港区)

志田 大 科長 の独自取材記事

最終更新日:2022/09/22

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消化器がんの専門家としてチームをけん引

基礎研究の成果を治療に役立てるための橋渡し研究を含めて、先進の医療を行う同院。臨床現場においても質の高い医療の提供に努めており、一般的に対応が難しいとされる疾患も扱っている。外科では消化器をメインに、大腸がんや胃がんなどの手術を中心に対応する。その中で2020年から科長を務めるのが、志田大先生だ。大腸がんの腹腔鏡手術/ロボット手術を強みとするとともに、研究にも熱心に取り組むことで医療の発展に貢献したいと願う先生。地域の医療機関に積極的に出向き、顔の見える関係づくりに尽力するなど軽いフットワークも魅力だ。こうした取り組みの根底にあるのは、「地域の患者さんや先生方に、消化器のがんのことなら医科研病院に任せれば大丈夫と思っていただけるように」という熱い思い。そんな志田先生に、同科の特徴や力を入れていること、患者への思いなどをたっぷりと語ってもらった。(取材日2020年11月18日/情報更新日2021年7月13日)

まずは、こちらの外科の特徴の特徴を教えてください。

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「確実」そして「安全」な手術を行い、患者に「安心」を提供することをモットーとして掲げ、個々の病状に合わせた治療に取り組んでいます。大腸がんや胃がん、炎症性腸疾患や肛門疾患など消化器の病気を治療しています。中でもがんに対する腹腔鏡手術を強みとし、腹腔鏡手術のエキスパートが多数在籍しているのが特徴です。腹腔鏡手術はおなかに小さな穴を開け、そこから腹腔鏡や鉗子などの器具を入れて、モニターで観察しながら手術を行います。術野を拡大することで繊細な操作が可能になるため、傷が小さくて済み患者さんへの負担が少ないのがメリットです。また研究にも力を入れており、継続的な論文発表も行っているのですが、そうした成果を踏まえ、個々の患者さんの病状に合わせて適切な治療法を採用できるのも当科ならではの特徴だと考えています。

得意とする治療について、詳しくお聞かせいただけますか?

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私自身は消化器がんの治療、特に大腸がんの手術を得意としています。大腸がんは手術前にきちんと検査をして、進行具合に応じた適切な手術を行えば、たとえ進行がんでも治癒が期待できる病気です。そのためにも患者さん一人ひとりに寄り添い、ともに力を合わせてがんを克服していきたいと思っています。また、愛甲丞准教授は胃がんの腹腔鏡手術や食道がんの治療を得意しており、「消化管の外科治療」に関してドクター全員が高い技術を持っていることが、当科の強みだと自負しています。さらに、手術支援ロボットを用いた直腸がんに対する手術を2021年4月から保険診療として行っています。ロボットは繊細な動きが可能で、狭い骨盤内でも操作しやすいため、精度の高い治療につながるとともに、選択肢が増えたことでよりその方に合った方法を選びやすくなりました。

術後の早期回復に向けた取り組みに注力していると伺いました。

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大腸がん手術では、術前・術中・術後の各過程に分けて行う「ERAS(イーラス)」という早期回復プログラムを実践しています。例えば、手術前後は絶飲食・絶対安静というイメージを持つ方が多いと思いますが、ERASでは手術当日の早朝までは経口補水液を飲むことや、手術翌日に立って歩くことが推奨されます。他にも医学的エビデンスに基づいた項目が20ほどあり、包括的に実施することで術後の早期回復をめざします。そしてそのためには、外科医、麻酔科医、病棟看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士といった多職種の力が欠かせません。私は日本にERASが紹介された当時に在職していた東京都立墨東病院でチーム医療として取り組んだ経験があり、多職種が互いの専門性を生かすことの重要性を身を持って感じました。ですので、その後に国立がん研究センター中央病院、そして当院でも実施し、術後の早期回復・退院・社会復帰に生かしています。

今後、どんなことに取り組んでいきたいですか?

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まずは外科の臨床を充実させることです。そのためには地域の医療機関との連携を図り、当院を信頼していただくことが不可欠です。そこで私は着任間もない頃から地域のクリニックへの訪問を始め、患者さんが退院されたら、紹介先に報告とお礼もするようにしています。そうして顔の見える関係を構築した上で、紹介していただいた患者さんの治療をきちんと行うことが何より大切だと考えています。一方研究面においては、各種の「治療ガイドライン」に引用されるような論文を継続的に発表しエビデンスをつくることです。すでに私が筆頭著者の論文が、日本や海外の大腸がん治療ガイドラインに引用されています。われわれが発信する研究の成果が、世界中のガイドラインを書き換える一助になることができれば、目の前の患者さんを救うだけでなく、医療の発展へ貢献することになると信じています。それこそが、当院の使命である研究の本質だと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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外科医として日々患者さんと向き合う中で、やりがいを感じない日はありません。初めは暗い表情だった患者さんが、手術が終わるとほっとした表情を見せてくれたり、退院時には笑顔を見せてくれたり。さらには、退院後の外来で「ありがとうございました!」と生き生きとした表情で言ってくださる方もいて、その度に外科医になって良かったと思うんです。日々、患者さんの力になりたいという思いで診療にあたっていますが、実は私のほうこそ、患者さんからたくさんの力を頂いているのだなと感じます。そんな皆さんに恩返しをするためにも、当科では患者さんが病気で悩む期間を1日でも減らすべく、スタッフ一丸となって取り組んでいます。力を合わせて一緒にがんを克服しましょう。仕事が忙しくて休みが取れない、消化器がんと診断され、不安でできるだけ早く治療を受けたいという方は特に、ご相談いただきたいと思います。

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志田 大 科長

1996年東京大学卒業。大腸がんの治療を専門に、腹腔鏡手術やロボット手術など低侵襲で行う手術を得意とする。茨城県立中央病院、東京都立墨東病院を経て、2013年国立がんセンター中央病院大腸外科・医長。2020年9月より現職。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。

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