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原因を知って予防したい大腸がん
ステージ3でも根治をめざす時代

東京大学医科学研究所附属病院

(東京都 港区)

最終更新日:2022/09/16

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  • 保険診療
  • 大腸がん

大腸がんの患者は1980年代半ばから1990年代半ばに急増し、現在、日本人が最もかかりやすいがんである。近年は女性患者も増え、2019年のデータでは女性のがん死亡数の1位、男性はがん死亡数の3位となっている。ただ大腸がんは早期なら治療しやすいがんの一つといわれ「治療法の飛躍的な進歩で、リンパ節転移が起きたステージ3の進行がんでも適切な治療を行うことで根治をめざせる時代になりました」と「東京大学医科学研究所附属病院」の阿彦友佳(あひこ・ゆか)先生は話す。がんの進行度は大きく分けて3つの基準から決まり、それが治療方針を決める上で判断材料になるという。そこで大腸がんのステージの決まり方、それぞれの治療法、さらには大腸がんの予防法などの知識を阿彦先生に教えてもらった。(取材日2021年10月21日)

リンパ節転移したステージ3の大腸がんでも、手術と術後の抗がん剤治療で再発を防ぎ、根治をめざす

Q大腸がんの予防法や検査方法を教えてください。

A

食生活や生活習慣を見直し、適切な検査を受けることが大切

日本人に大腸がんが増えた要因として高齢化、食生活の欧米化などが考えられます。飲酒、肥満は大腸がんの発症リスクを高めるとされ、生活習慣の見直しも予防には重要です。一方、日常的な運動習慣が大腸がん予防に役立つとされています。便潜血検査で陽性あるいは血便などの症状がある場合、まず大腸カメラ(内視鏡)検査を行います。そこで大腸がんが疑われれば組織を採取して顕微鏡検査で調べます。がんと診断がついたら、がんの進行度「ステージ」を確認するためにCT検査を行い、必要な場合はMRI検査も追加します。なお、腫瘍マーカー検査は治療効果やがん再発などを見る指標として有用ですが、がんの有無を調べるのには向いていません。

Q大腸がんのステージ0~4はどのように決まりますか?

A

治療前と治療後の検査から、3つの基準でステージを判断

大腸の壁のどの深さまでがんが入り込んでいるかを指す「深達度」、「リンパ節転移」の有無、「他の臓器への転移」の有無、大きく分けてこの3つの基準の組み合わせで、がんの進み具合であるステージ0~4の分類が決まります。数字が大きいほど、がんが進行していることを示し、例えばがんが粘膜内にとどまっていればステージ0、深達度に関わらずリンパ節への転移があればステージ3、他の臓器に転移していればステージ4と診断されます。がんの深達度やリンパ節転移の有無は、治療前の大腸カメラ検査やCT検査で評価を行い、それをもとに治療を行いますが、手術で採取した組織を顕微鏡で検査する病理検査で最終的なステージが確定します。

Qステージによって治療法はどう変わりますか?

A

腹腔鏡手術の様子。ステージによって治療法も異なる

ステージ0、ステージ1でがんの進展が浅い場合の治療は、大腸カメラ下でがんの切除を図る内視鏡的切除術となります。ステージ1でも粘膜下層の深くまでがんが入り込んでいる場合、さらにステージ2、ステージ3の大腸がんは、いずれも手術が治療の基本です。手術では、がんの切除とともに、がんの周囲にある転移しやすいリンパ節の領域を一緒に切除します。病理検査でステージ3、「リンパ節転移あり」と確定した場合、再発防止を目的とした術後の抗がん剤治療を行うことで根治をめざします。手術方法は、腹部を大きく切開する開腹手術と、腹部に小さな穴を数ヵ所開けて行う腹腔鏡手術があり、がんの部位や進行度などを考慮し適用を決めます。

Q術後に抗がん剤を使う目的や使う期間を教えてください、

A

再発リスクを抑えることをめざす抗がん剤治療は内科と連携

ステージ3は再発リスクが高いため、再発を抑える目的で術後に抗がん剤治療を行います。ステージ3の治療の基本は手術ですが、目には見えない微小ながん細胞が体内に残る可能性があります。こうした微小ながん細胞が再発の原因になるため、再発を予防する目的で、術後に補助治療として抗がん剤を使います。抗がん剤を使う期間は、半年間が一般的です。抗がん剤の副作用には個人差がありますが、例えば吐き気については、薬の進歩などで以前に比べてかなり軽減されました。当院では抗がん剤治療を専門とする腫瘍内科と連携して治療を行っています。外来通院で治療を受けられるため、働きながらでもがんの治療が続けやすくなっています。

Qステージ4は治療が難しいのでしょうか?

A

病棟ラウンジからの眺望。天気が良い日は富士山も見える

ステージ4の治療は主に薬物療法、放射線療法です。薬物療法は、抗がん剤や分子標的薬と呼ばれる薬剤を組み合わせて使います。治療薬の進歩が著しく、治療成績は近年向上しています。放射線療法は、骨に転移して痛みを伴う場合や、脳や肺に転移したときなどに行います。なお、がんにより出血や腸閉塞などの症状がある場合や、転移した部分を含めてがんをすべて取り除くことができると判断される場合など、適応は限定されるものの手術を行うこともあります。どのような治療が適切かは患者さんの病状により異なるため、内科、外科、放射線科、緩和ケア内科など複数の科で連携し、適切な治療法を選択し治療にあたっています。

患者さんへのメッセージ

阿彦 友佳 先生

2012年新潟大学医学部卒業。長岡中央綜合病院、山形県立中央病院での勤務を経て、国立がん研究センター中央病院でがん診療について幅広く学び、2020年9月より現職。専門は消化器外科学、特に大腸がんの腹腔鏡・ロボット手術を得意とし、看護師・薬剤師・栄養士らとのチーム医療に力を入れている。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。「”笑顔”で診療にあたることを大切にしています」。

40歳以降に多い大腸がんは早期なら根治をめざしやすいがん。40歳以降は毎年大腸がん検診を受け、便潜血検査で陽性となった場合、出血など症状がある場合はぜひ大腸カメラ検査を受けてください。万一、進行がんが見つかっても外科、内科の各領域のエキスパート、知識と経験の豊富な看護師、薬剤師、栄養士らが連携し、検査から診断、治療、入退院までを支えるチーム医療が当院の特徴です。当科が得意とする腹腔鏡手術は術後の痛みも少なく、リハビリテーションも無理なく取り組みやすいため早い回復が望めるのも特徴です。手術のための絶食期間を極力短くするなどの配慮も行い、仕事や家庭で忙しい世代が早く社会復帰できるよう努めています。

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