全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,935件の情報を掲載(2025年4月02日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 港区
  4. 白金台駅
  5. 東京大学医科学研究所附属病院
  6. 手術後に早めの職場復帰が期待できる 大腸がんのロボット支援手術

手術後に早めの職場復帰が期待できる
大腸がんのロボット支援手術

東京大学医科学研究所附属病院

(東京都 港区)

最終更新日:2024/11/15

20240611 main 20240606 %e5%86%99%e7%9c%9f420240611 main 20240606 %e5%86%99%e7%9c%9f4
  • 保険診療
  • 大腸がん

大腸がんの手術で主流になりつつある「手術用ロボットを用いる大腸がんのロボット支援手術」だが、専門的な医療技術と多職種連携が必須で、対応可能な病院が限られることなどから、手術が行えるまでの待機期間が長引くケースも増えている。ロボット支援手術に積極的に取り組む「東京大学医科学研究所附属病院」では、直腸がん、結腸がんともにほぼ全例の手術をロボット支援下で行う方針としており、2021年4月の開始から2024年9月までに234件のロボット支援手術を行ってきた。予約から手術までの待ち時間が少なくなるよう努め、医師・スタッフが習熟したことで手術時間の短縮も可能になっている。ロボット支援手術で多くの経験を積んでいる同院外科の柵山尚紀先生に、ロボット支援手術の詳細を聞いた。(取材日2024年9月25日)

直腸がんと結腸がんの多くをロボット支援手術で対応。待ち時間が少なく、安全性・質ともに高い手術をめざす

Q大腸がんには、どのような手術法があるのでしょうか?

A

近年はほとんどロボット支援手術で行っていると話す柵山先生

大腸がんの手術には「開腹手術」、「腹腔鏡手術」、「ロボット支援手術」があります。開腹手術はおなかを切開して行い、腹腔鏡手術は腹部数ヵ所に小さな穴を開け、カメラや鉗子を入れてモニターに映し出された映像を見ながら行います。ロボット支援手術は医師が手術用ロボットを操作して行う手術法で、高画質で立体的な3Dハイビジョンで患部を拡大観察して手術ができ、精密な動きで高精度な手術をめざせるのが特徴です。ただ、手術のやり方は異なっても、おなかの中でがんのある腸管をリンパ節とともに切除するという一連の流れは変わりません。当院では患者さんのご希望をもとに、近年はほとんどの症例をロボット支援手術で行っています。

Qロボット支援手術にはどんなメリットやデメリットがありますか?

A

メリットは術後の排尿・性機能の保持や早期回復が期待できること

ロボットのアームには複数の関節があり、狭い骨盤内や肥満の人に対しても自在に繊細な動きができます。高画質3Dの拡大映像を見ながら手術を行うことで、直腸周囲の神経を傷つけず精密にがんの切除を図れるのもメリットです。その結果、排尿や性機能に関わる神経を精密に温存することが望め、術後の排尿・性機能の保持や早期回復が期待されます。また、ロボット支援手術は腹腔鏡手術と比べて開腹手術への移行や合併症の発症が少ないといわれています。デメリットは強いて言えばロボットを設置する時間が必要なため少し手術時間が長いことくらいです。費用は保険診療で行う施設では腹腔鏡手術と比べて大差はありません。

Qロボット支援手術の流れや手術にかかる時間を知りたいです。

A

手術の2日前から入院、一般的に術後7~10日で退院が可能

手術の2日ほど前から入院し、お通じになりにくい食事を取り、薬を飲んでいただきます。手術時間は、当院の場合は医師やスタッフの習熟により、結腸がんが通常3〜4時間、直腸がんは4〜5時間ほどと、以前より短くなりました。全身麻酔をかけたり覚ましたりする時間も含めると、手術室にいる時間は手術時間プラス1時間半程度で、一般的に術後7~10日で退院が可能です。手術の傷は直腸がんも結腸がんも、3〜5cmほどのおへその傷に加えて、1cm前後の傷が5ヵ所程度で、傷は半年ほどで徐々に目立たなくなるでしょう。なお、肛門に近いがんの場合は、人工肛門を造ったり、側方郭清を行ったりするので手術時間も入院期間も長くなります。

Q手術後や退院後はどんな生活になりますか?

A

術後7日~10日で退院、術後5年間は経過を確認

基本的には手術の翌日から歩くことができ、術後2~3日で飲水を開始し、その翌日にはお食事ができます。問題がなければ術後7日~10日で退院となります。術後から約3週間後の外来で手術結果や今後の治療方針を説明し、補助化学療法が必要であれば関連診療科の医師と協力して行います。職場復帰に関しては、術後は体力が低下して疲れやすくなっているため、退院後1〜2週間はお休みしてからの復帰をお勧めしています。中長期的には、数ヵ月おきにCT検査や採血、大腸内視鏡検査を行って術後5年間経過を確認します。術後は早期回復と社会復帰をめざしたプログラム「ERAS(イーラス)」を推奨しています。

Qこちらの病院ならではの特徴を教えてください。

A

同院の強みは、来院から手術までの時間がとても短いこと

私たちは患者さんの病気が見つかってから不安に感じる期間を少しでも短くするため、予約翌日には診察、その翌日にはCTと大腸内視鏡検査を実施し治療方針を決定しています。精密検査が必要なければ翌週に手術を行い、手術まで1週間かからないこともあり、来院されてから手術までの時間がとても短いことが大きな強みです。術後の検査はご希望があれば紹介元の先生の所で受けていただくことも可能です。ご紹介くださった先生との関係性を大切に、地域の先生との協力で患者さんを診ていければと考えています。

患者さんへのメッセージ

柵山 尚紀 先生

2007年東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属柏病院、東京都立東部地域病院、国立がん研究センター東病院を経て2022年4月より現職。大腸がんの腹腔鏡手術を得意とする。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医。「患者さんの不安を受け止め、それを和らげながら、かつ効果的に治療を行っていきたい」。

私たちは、大腸がん手術のほぼ全例をロボット支援下体制で実施しており、初診から手術までを迅速に、そして安全性への配慮と適切な手術治療に努めております。ロボット支援手術について、わからないことがあればなんでも聞いてください。当院は都心にあるにもかかわらず緑が多くて眺めも良く、落ち着いて治療が受けられる環境にあります。その環境と多職種によるサポートで患者さんの不安な気持ちを和らげていければと思います。術前から手術だけでなく、術後のフォローもしっかりとできる治療チーム体制を整えておりますので、安心してお任せいただければと思います。

access.png