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過去に帝王切開をした人に向けた
既往帝王切開後の試験的経膣分娩

独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院

(神奈川県 横浜市港北区)

最終更新日:2023/12/22

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  • 保険診療
  • 自由診療

前回の出産時に何らかの原因で帝王切開で出産した人が、次に出産する際に経膣分娩を行うTOLAC(既往帝王切開後の試験的経膣分娩)。通常、帝王切開をした人は次回のお産も帝王切開で行うことが主流ではあるが、術後の痛みや麻酔のつらさなどの経験から、経膣分娩を希望する人もいるという。地域周産期母子医療センターを開設する「横浜労災病院」では、多様化するお産のニーズへの対応の一環としてTOLACを実施。さまざまな基準を満たした妊婦に対し、人員・環境ともに徹底して体制を整え安全性を重視したお産を実施している。そこで同院の松永竜也産婦人科部長と志村茉衣分娩部副部長に、TOLACの詳細や同院での取り組みについて聞いた。(取材日2023年11月29日)

基準を満たせば前回のお産が帝王切開でも経膣分娩が可能な場合も。メリットとリスクを理解した上で選択を

QTOLACとは、どんなお産の方法なのでしょうか。

A

産婦人科部長の松永先生。帝王切開の医療技術向上について語る

【松永先生】前回帝王切開でお産をした人が次のお産で経膣分娩にトライすることをTOLACと言います。これは特別新しいことではなく、リスクを回避するために、帝王切開でお産をしたら次も帝王切開という流れが主流になったことで行われなくなっていましたが、20年以上前には一般的に実施されていました。一時期は帝王切開よりも経膣分娩が良いとされる風潮もあった中で、今は、医療技術が向上し、どこの施設でもさらに安全性を追求した帝王切開ができるようになったことで、再開されつつあります。当院では、緊急帝王切開にも対応できる設備と人員が整っていることから、2022年9月から対応しています。

QTOLACを選択すると、どんなメリットが期待できますか。

A

分娩部副部長の志村先生。アットホームな雰囲気で診療に対応

【志村先生】帝王切開は赤ちゃんにはストレスの少ない方法ですが、お母さんの負担は大きくなります。それに対して、TOLACは手術をしないので、母体合併症や、繰り返す帝王切開による癒着胎盤や子宮破裂のリスクの軽減が図れます。あとは、やはり痛みの違いでしょうか。経膣分娩の陣痛の痛みはもちろんつらいのですが、帝王切開後の1週間の入院や麻酔、手術後の痛みを経験せずに済むというのはメリットになると思います。あと、TOLACは生んですぐに赤ちゃんを抱っこできますね。当院には、前回の帝王切開では傷が痛かった、麻酔が嫌だったから経膣分娩をやってみたいという方や、それを目的に遠方から受診される方もいらっしゃいます。

QTOLACのリスクとしてはどんなことが挙げられますか。

A

【志村先生】一番のリスクは切迫子宮破裂です。一度帝王切開をした子宮には当然傷があり筋肉が薄くなっているため、陣痛が来たときに子宮が裂けるリスクは、帝王切開をした人としていない人では何倍も違うといわれています。実際には破裂するリスクは0.5%ほどとされていますが、破裂してしまえば、赤ちゃんに大きなダメージを与え、お母さんには輸血が必要になります。また最悪の場合には子宮摘出の可能性も。そのため、破裂の症状を早期に見つけることが重要になりますが、陣痛の痛みと破裂の痛みの違いを見極めるのは非常に難しいです。当院では万が一破裂やその兆候が見られたら、帝王切開に切り替える体制を整えた上で臨んでいます。

QTOLACを選択できる条件について知りたいです。

A

陣痛室。モニターを使用してスタッフが常に確認を続ける

【志村先生】帝王切開をした回数が1回であることが基本で、赤ちゃんの頭が大きすぎて陣痛が長くなることが疑われる場合や、双子や逆子のようにもともとの経膣分娩の対象から外れる場合、前回の帝王切開で早産だった人、帝王切開後に発熱するなど子宮の傷が感染症を起こした術後経過のある人は対象になりません。その他、痛いという表現がうまくできない、日本語の意思疎通が難しい外国の方も状況により判断しています。陣痛が始まったら、ずっとモニターをつけたままの状態で過ごしていただき、スタッフがつきっきりで子宮破裂の兆候がないかを確認する必要があります。また誘発はせず、予定日を過ぎたら帝王切開になります。

Qこの病院は周産期が専門の医師やスタッフが充実していますね。

A

安全なお産実現のために医師、助産師が一丸となって取り組む

【松永先生】TOLACはわれわれの世代は一般的に行っていましたが、若い先生には受け入れにくい方法だったかもしれません。実際に再開する必要性があるかという意見も出ました。しかし、志村先生を中心に、勉強会を開催し、メリットやリスク、諸々のデータを共有し、教育を含めて取り組むことで、安全性に配慮しながら実施できる環境を整えました。また、当院は助産師が頼もしく、新しい提案も否定せずに「やりましょう」と言ってくれて感謝をしています。やると決まってからのやる気は尊敬に値しますね。お産後の赤ちゃんや授乳についても同じスタンスで新しいことも取り入れていますので、妊婦さんは安心していただければと思います。

患者さんへのメッセージ

松永 竜也 産婦人科部長

1998年日本大学医学部卒業。日本大学医学部附属板橋病院、横須賀市立市民病院、甲府病院、横須賀共済病院、横浜市立大学附属病院での勤務を経て、2020年より現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医、横浜市立大学産婦人科講座非常勤講師、医学博士。専門は婦人科悪性腫瘍。

志村 茉衣 分娩部副部長

2010年昭和大学医学部卒業。横浜市立市民病院、横浜市立大学附属病院、横浜南共済病院、神奈川県立こども医療センター、藤沢市民病院、横浜市立大学附属市民総合医療センターでの勤務を経て、2022年4月横浜労災病院に入職。2023年10月より現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。

【松永先生・志村先生】前回帝王切開をした人が次にお産をする際の選択肢が増え、ご自身で選べるというのはとても良いことだと思います。その反面、TOLACで起こる子宮破裂は頻度こそ少ないですが起きたときの重症度が高いため、リスクについては重々説明をしています。「私には起こらない」と思わず、十分に理解した上で選択していただければと思います。また、さまざまな条件をクリアしても必ずしも実施できるとは限らないこともご理解ください。私たちの目標は経膣分娩をすることではなく、元気な赤ちゃんとお母さんが無事に家に帰ることです。TOLACでもそうでなくても、赤ちゃんとお母さんにとって安全なお産をめざしてまいります。

自由診療費用の目安

自由診療とは

経膣分娩になった場合/65万

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