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傷が目立たず早期の社会復帰が望める
MICS(低侵襲心臓手術)

公益社団法人地域医療振興協会 東京ベイ・浦安市川医療センター

(千葉県 浦安市)

最終更新日:2022/10/21

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  • 保険診療
  • 虚血性心疾患
  • 心臓弁膜症
  • 心房細動

治療の低侵襲化が進む中、心臓血管外科の分野においても次々に新しい治療が取り入れられている。従来の大きく胸の真ん中を開けて行う胸骨正中切開はその裏側にある胸骨も一緒に切るため、傷が大きく出血量が多く、回復まで時間がかかるなどの課題があったが、それらを克服するために開発されたのがMICS(低侵襲心臓手術)だ。「東京ベイ・浦安市川医療センター」のハートセンターでは、弁膜症へのMICSのほか、虚血性心疾患に対するMICS CABG (低侵襲冠動脈バイパス術)にも対応している。そこで、日々質の高いMICSに取り組む同院のハートセンター長の渡辺弘之先生と心臓血管外科部長の伊藤丈二先生に、MICSについての詳細を聞いた。(取材日2022年8月5日)

小さな傷で胸骨を切らず行う心臓手術。安全性重視の治療のためには治療の適用を十分に見極めることが重要

Q低侵襲心臓手術(MICS)とはどんな治療ですか?

A

心臓血管外科部長伊藤丈二先生

【伊藤先生】MICSでは骨は切らず、脇腹から肋骨の間の筋肉を切って小さい創部から手術をしていきます。傷創部が小さく、感染症のリスクも低く、骨を切らないので出血量も少ないです。総じて回復が早くなるので従来の心臓手術と比べて入院期間が短く、普段の生活に早く戻れるという利点があります。一方で、従来の胸骨正中切開法は大きく胸を開けるので、術者にとっては手術がしやすいのですが、MICSは創が小さく手術の難易度が上がるので高い技術が必要です。それがMICSのデメリットですが、そこはトレーニング、経験、手術の工夫を重ねていくことで克服することができます。

Q対象となるのはどんな疾患ですか?

A

【伊藤先生】当院では心臓弁膜症が専門の渡辺弘之先生を中心に心臓弁膜症に対するMICSを多く行っています。加えて2022年4月からは虚血性心疾患の冠動脈バイパス手術にあたるMICS CABG (低侵襲冠動脈バイパス術)が菊地慶太先生を中心にスタートしました。さらに、心房細動に対してMICSによる左心耳閉鎖術およびアブレーションも導入しています。当院では弁膜症、虚血性、不整脈のすべてにおいてMICSの選択肢を有しています。この点が当院の特徴と言えます。

Q対象の疾患では必ずMICSを行うのですか?

A

ハートセンター長渡辺弘之先生

【伊藤先生】低侵襲が魅力のMICSでは、傷を小さくすることにこだわるあまり適応を誤ると安全性を損なうリスクがあります。MICSに「適した」患者さんと「適さない」患者さんがいます。最も重要なことは手術の安全性です。個々の患者さんのリスクを評価し、MICSの適応がある患者さんを見極めています。適用のない人にも可能な限り侵襲度を軽減しながら最適な代替の治療方法を提示しています。
【渡辺先生】さまざまな治療がありその組み合わせ次第で、選択肢が2倍、3倍に増えていきます。無理なく患者さんに合った適切な治療を提供できることが、複数の治療に対応できる当院の強みです。

Q貴院のMICSの特徴はどのような点ですか?

A

【伊藤先生】骨を切らずに行うのがMICSですが、創部が3cmと9cmとでは、肋骨の損傷、痛み、見た目の違いなど患者さんに与える影響はまったく違ってきます。また肋骨をどれくらい広げるかによって術後の痛みも変わってきます。MICSは一般的には7〜9cmほど切り、そこを開胸器で広げて直接自分の目で見て手術をしていきます。このサイズの創部だと肋骨への負担が大きくなり、術後疼痛が出やすいです。当院で行うMICSの創部は3〜4cm、最小で1.5cmです。内視鏡下で行っており、傷口が小さいことから痛みが少なくなるのが特徴です。コスメティック、疼痛面からして一般的MICSに比較してメリットが大きいと思います。

Q貴院では難易度の高い疾患にも対応しているそうですね。

A

心臓血管外科副部長菊地慶太先生を中心に行うMICS CABG

【伊藤先生】複雑な弁形成手術を含む難易度の高い症例や、大動脈解離など超緊急対応が必要な重症疾患にも24時間365日体制で対応しています。難易度の高い手術としてはMICS CABGもその代表と言えます。深く、狭い術野において高度な剥離技術、運針技術が求められる手術で、施行できる術者は全国でもごく限られています。
【渡辺先生】MICS CABGは、痛みは少なくしたい、早く働きたいといった患者さんのニーズに応えるため、菊池先生を中心に技術を進歩させ、標準的な治療として紹介できるところまでたどり着きました。これまで冠動脈バイパス手術が難しかった重症の透析患者さんや糖尿病患者さんからも喜ばれています。

Qその他の貴院の治療の特徴を教えてください。

A

複数の疾患がある患者にもハイブリット治療で柔軟に対応している

【伊藤先生】冠動脈カテーテル治療とバイパス手術のように、組み合わせることで弱点を補完できより良い治療になることがあります。それぞれの血管の状態によって適した治療が違ってくるため、当院ではハートチームによる質の高いハイブリット治療を提供しています。ハイブリット治療は術式だけではなく、複数の疾患がある場合にも行われ、例えば虚血性心疾患と弁膜症の両方を持つ患者さんの場合は、この弁はカテーテルで、ここは手術でというように柔軟に対応しています。また、紹介元の先生がカテーテル治療を行った後、当院でバイパス手術を行うなど、病院を超えたハイブリット手術も行っています。

患者さんへのメッセージ

渡辺 弘之 ハートセンター長

1987年弘前大学医学部卒業。1994年神戸市立中央市民病院循環器センターフェロー、1995年大阪市立大学第一内科、2000年大阪市立大学医学部循環器病態内科学助手、2005年榊原記念病院循環器内科医長兼心エコー室長、 2010年榊原記念病院循環器内科部長を経て、2012年より現職。千葉大学大学院特任教授。専門領域は心エコー図学、弁膜症、循環器一般。

伊藤 丈二 心臓血管外科部長

2006年佐賀大学卒業。聖路加国際病院、東京ベイ・浦安市川医療センターでのフェロー後、2016年12月聖路加国際病院医員、2018年St Michael’s Hospital, Toronto, Canadaにて研鑽を重ねる。2018年12月~2021年東京ベイ・浦安市川医療センター心臓血管外科医長を経て、2021年12月より現職。

【伊藤先生】治療の目的は第一に安全に患者さんを治療することです。そして第二に、患者さんの満足度を上げることです。そのための有用な手段として当院ではMICSをはじめ、複数の治療法を用意しています。患者さんにとってより良い方法を選択します。手術は安心してお任せください。
【渡辺先生】世界標準の診断を常にめざして、虚血性心疾患でも弁膜症でもガイドライン準拠のエビデンスベースドの診断を心がけています。さまざまな選択肢を提示することで、患者さんとご家族に与える納得感が違うと思います。本当に治療が必要かどうかを一緒に考えていきましょう。どうぞ気軽に受診してください。

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