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体への負担が少なく早期回復も見込める
子宮筋腫等への腹腔鏡手術

公益社団法人地域医療振興協会 東京ベイ・浦安市川医療センター

(千葉県 浦安市)

最終更新日:2022/10/31

20221024 main20221024 main
  • 保険診療
  • 子宮内膜症
  • 子宮筋腫
  • 子宮外妊娠(異所性妊娠)
  • 卵巣嚢腫

命に直接関わることは少ないとされる婦人科系の良性疾患だが、子宮筋腫を例に見ると症状に困っている人とそうでない人の差が大きく、女性としてQOL(生活の質)が下がってしまうような症状を改善したいと考える人も少なくない。患者の体への負担が少ない低侵襲の手術をめざすという医療の世界的な流れの中、産婦人科でも良性疾患に対する腹腔鏡や子宮鏡による内視鏡手術が主流になりつつあり、対象となる疾患も増えている。そこで幅広い婦人科系の良性疾患に対して経験豊富な複数の医師によって腹腔鏡手術を提供している「東京ベイ・浦安市川医療センター」の産婦人科部長である坂井昌人先生に、子宮筋腫などに対する腹腔鏡手術について話を聞いた。(取材日2022年7月21日)

良性疾患でも、過多月経などQOLを下げる症状が気になるときは腹腔鏡手術などの内視鏡治療の検討を

Q婦人科の病気で腹腔鏡手術の対象となる疾患を教えてください。

A

産婦人科部長坂井昌人先生

婦人科における腹腔鏡手術の対象となる疾患の中で代表的なのは、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症です。あとはほとんどの場合が緊急手術となりますが、子宮以外の場所で妊娠してしまう異所性妊娠、卵管や卵巣にばい菌が入って膿がたまってしまう卵管卵巣膿瘍が挙げられます。また、当院では、深部子宮内膜症に対する病巣の切除にも腹腔鏡手術を用いています。深部子宮内膜症は子宮の根元で発症する内膜症で、卵巣嚢腫など表面的な原因が見当たらないのに非常に強い生理痛がある場合に見つかるような診断・治療が難しい疾患です。こうした特殊な疾患や子宮脱の治療も腹腔鏡手術で対応しています。

Q子宮筋腫で手術が必要になるのはどんなときでしょうか?

A

手術をするかどうかの目安となるのが筋腫の大きさです。通常はニワトリの卵くらいの子宮が筋腫によって男性の握りこぶし以上の大きさになってしまうことがあります。ここまで大きくなれば手術の対象となりますが、それでも日常生活に支障のない人もいるため、必ずしも大きいから手術をしなくてはいけないということはありません。それよりも生理の時の出血がどれだけ多いかが重要になります。筋腫がたとえ1cmであっても生理が起きる内腔にあればそれだけで出血が止まりにくくなります。筋腫があり、なおかつ血液検査で貧血の項目が要治療や要精査の状態である場合は過多月経による貧血が考えられるため、手術を検討してみても良いでしょう。

Q内視鏡手術のメリットとデメリットを教えてください。

A

産婦人科医長本田能久先生

メリットはおなかを大きく切らないので傷が小さく早期の回復が見込めること、手術時間が今では開腹手術とそれほど変わらないこと、術後の痛みが少なくなりやすいことで仕事への復帰もそれほど時間がかからないということです。デメリットは、大きな血管が切れるなど突発的なアクシデントが起こった場合、途中から開腹手術に移行する可能性があることです。しかし近年、腹腔鏡手術では難しいとされていた部分の処置も技術や機器の発達でかなり克服され、ほとんどの人は腹腔鏡手術で完結することができるようになりました。もちろん手術前にはきちんと説明をし、安全性第一で治療を進めますので、安心して治療を受けていただければと思います。

Q手術前後のスケジュールも知りたいです。

A

大規模病院では、がんの手術が優先され、良性疾患の治療は長く待つこともありますが、当院では、早ければ初診から1〜2ヵ月後に手術を行っています。手術の前日に入院をしていただき、嚢腫の摘出や異所性妊娠で卵管を切除した場合は手術の次の日から数えて3日目に、子宮摘出や筋腫を取った場合は4〜5日目に退院となりますが、合併症や、出血など術後の状態によっては、入院期間が延びることもあります。退院後は手術内容にもよりますが、2週間後と術後1ヵ月目に外来を受診していただきます。術後1~3週間くらいにはお仕事に復帰することも期待できます。その後、必要に応じて定期的に受診していただくこともあります。

Q治療の際に心がけていることはありますか?

A

患者の希望やライフプランを尊重した治療を提供している

良性疾患は必ず手術をしなくてはいけないわけでありません。例えば、45歳以上で子宮筋腫があるが大した貧血ではないとすれば、鉄剤を飲み続けて貧血の症状の改善をめざしつつ閉経後に筋腫が小さくなるのを待つこともできれば、5年も薬を飲み続けるのは嫌だなということであれば手術を選択することもできます。このようにある程度幅を持って治療を選択することができるので、患者さんの希望をなるべく取り入れ、治療の内容をご自分で納得して選んでいただくようにしています。もちろんご自分で選ぶのが難しい人にはお勧めの方法を提示します。そして退院する時には、ここで入院して手術をして良かったと思っていただける診療を心がけています。

患者さんへのメッセージ

坂井 昌人 産婦人科部長

佐賀医科大学卒業、東京大学医学部産科婦人科学教室入局。東京大学医学部附属病院、焼津市立総合病院、日立総合病院などで勤務。恩賜財団母子愛育会愛育病院産婦人科医長、東京女子医科大学八千代医療センター母体胎児科婦人科科長・講師、同准教授、同臨床教授を経て、2014年4月より現職。外科系診療部統括責任者も兼任。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本超音波医学会超音波専門医。

産婦人科では、婦人科内視鏡診療の専門知識を持つ4人の医師を中心とした8人体制で婦人科疾患の手術治療に対応しています。高い技術と安全性の保持に努め、手術時間が短く、出血量を抑え、合併症が少ない腹腔鏡手術をめざしています。2021年1月~2021年12月の実績では、腹腔鏡手術が666件、子宮鏡手術が155件、うち腹腔鏡による子宮全摘は231件、子宮筋腫核出術は118件と、豊富な治療経験を生かして、難しい症状でもできる限り腹腔鏡手術で対応しています。手術が前提の紹介患者さんについても、ご自身の納得のいく治療を選んでいただけるようにお話を聞きながら診療を進めていますので、気軽にご相談ください。

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