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患者の意思やライフスタイルを尊重する
頸椎椎間板ヘルニアの治療

地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター

(大阪府 大阪市住吉区)

最終更新日:2026/01/30

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  • 保険診療

頸椎椎間板ヘルニアは就労世代に多いのが特徴であり、早期社会復帰や個々の就労形態・ライフスタイルに配慮した治療の提供が求められている。「大阪急性期・総合医療センター」の脊椎外科では、長本行隆先生を中心としたチームが、症状や検査結果だけでなく、仕事や趣味といった生活背景や患者本人の意向も踏まえた治療を提案している。選択できる治療も、鎮痛剤を使った薬物療法から低侵襲の先進的な手術まで幅広い。「生涯にわたって診るという気持ちで患者さんに接しています」という長本先生に、頸椎椎間板ヘルニアの治療法や同院の診療姿勢について解説してもらった。(取材日2025年11月13日)

患者の生活背景や希望を尊重し、就労世代の早期社会復帰をめざした医療を提供

Q頸椎椎間板ヘルニアとはどのような病気ですか?

A

頸椎椎間板ヘルニアについて解説する長本行隆先生

頸骨は7つの骨が連なっており、骨と骨の間にはクッションの役割をしている椎間板と呼ばれる軟組織があります。この椎間板が、繰り返しの負担や遺伝的要因などによって後方に飛び出した状態がヘルニアです。40〜60代の方に多い疾患なので、加齢も関係していると考えられています。飛び出した椎間板が、後方の神経根や脊髄を圧迫すると、痛みやしびれ、麻痺の症状が現れます。神経根の圧迫では、症状は肩、腕、手指に現れ、圧迫部位によって症状の出る場所が異なります。一方、脊髄の圧迫では四肢に症状が現れるのが特徴です。

Qどのような治療を行いますか?

A

ヘルニアは手術というイメージがあるかもしれませんが、ほとんどの場合はお薬による保存治療を適用します。一般的に使用するのは、非ステロイド性消炎鎮痛薬です。胃粘膜を保護するための薬と一緒に、症状の強弱関係なく一定期間服用してもらい、その後は症状に応じてお薬を減量します。痛みの記憶は長く脳に残るともいわれており、頸椎椎間ヘルニアの治療では、早期から痛みをしっかり抑えることがとても大切です。このため、飲み薬で難しい場合には、ステロイドの点滴、場合によっては医療用麻薬や神経障害性の痛みを取るための薬を用いることもあります。

Q手術が必要になる場合は少ないのですか?

A

患者の状態や希望をしっかりと聞き、治療計画を立案していく

痛みは我慢できても、手術は受けたくないという方もいらっしゃいますから、そうした場合手術は不要です。ただし、ある程度の麻痺や運動障害がある場合、具体的には患者さんの筋力を5段階評価して、3を下回る場合は手術を検討すべきです。特に肘より先の麻痺では回復が良くないため、手術を勧めます。また、脊髄が圧迫されている場合も、箸が使いにくい、ボタンがかけにくいなど手指の細かい動きに障害や、階段を降りにくいなどの歩行障害が出ている場合も手術をお勧めします。さらに、症状だけでは手術対象でないとしても、仕事や学業に支障を来す場合には患者さんの希望に応じて手術を行うこともよくあります。

Q手術の方法について教えてください。

A

手術には入院が必要です。神経根の症状の場合には、くびの後方から行います。これまでは、顕微鏡を使ってヘルニアを取り除く手術を行ってきましたが、2025年12月からは頸椎に対しても脊椎全内視鏡手術を開始しており、8mmの傷で手術が可能となりました。一方、脊髄の症状の場合には、くびの前方から椎間板を取り除き自家骨を移植する前方固定術を行います。この方法では手術をした椎間の可動性が失われるため、骨の強度が十分な患者さんには、可動性を温存できる人工椎間板置換術も行っています。

Q頸椎以外の脊椎疾患の治療にも対応されていますね。

A

あらゆる脊椎手術に対応し、一人ひとりに適した治療を提案

当院の脊椎外科は、低侵襲手術から大侵襲手術まで幅広く対応しています。頸髄症や腰部脊柱管狭窄症といった加齢に伴う変性疾患の治療を中心に、個々の症例に応じた適切な手術を提案いたします。また、三次救急医療機関として脊椎外傷で搬送される患者さんへの緊急手術にも対応しています。変性疾患の手術治療では、2025年8月から脊椎全内視鏡手術を導入し、わずか8mmの切開で手術が可能となりました。症例によっては局所麻酔で行うことも可能です。一方、脊柱変形の矯正や再手術では大ががりな手術が必要となることもあります。こうした難易度の高い手術にも豊富な経験をもとに対応しておりますので、安心してご相談ください。

患者さんへのメッセージ

長本 行隆 副部長

2001年金沢大学医学部卒業後、大阪大学整形外科に入局、2011年大阪大学大学院卒業。大阪医療センターを経て、2022年に大阪労災病院脊椎外科部長、2025年7月より大阪急性期・総合医療センター整形外科副部長。専門分野は脊椎疾患全般で、脊柱変形や複数回脊椎手術などの難手術にも対応する。家族ならどのような治療を受けたいのかを基準に考えて診療にあたる。日本脊椎脊髄病学会評議員。趣味は海釣り。

検査画像を見ると、ほとんどの患者さんの脊髄に加齢性の変化が確認できます。長生きすると、必ず何らかの変化が出てくるということです。しかし、検査画像だけを診て治療することはありません。患者さんの訴えや悩みに耳を傾け、社会的な背景を考え、その方に合った治療計画を提案します。患者さんごとに異なる日常生活動作(ADL)の維持を目的に必要な治療を行います。画像上の変性や変形があっても、ADLが保持できているのなら手術は行いません。手術の場合は、再手術のリスクなどもきちんとお話しして、きちんと理解いただいた上で行っています。これからも、生涯その方を診ていくという気持ちで患者さんと向き合っていきます。

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