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がんと遺伝の不安に寄り添う
遺伝カウンセリング

地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター

(大阪府 大阪市住吉区)

最終更新日:2024/02/20

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    遺伝とは代々受け継がれる人間の特徴のこと。遺伝医学の進歩に伴って、遺伝とさまざまな病気の関係が明らかにされている。「近年ではがんと遺伝の関係についても解明が進み、遺伝情報を利用した診断・治療など医療の質の向上に大いに役立っています」と話すのは、「大阪急性期・総合医療センター」遺伝診療センターセンター長の澤田甚一先生。しかし同時に究極の個人情報とも言える遺伝情報を知ることは、自身や親族への心理的・社会的負担が生じることも想定されるそうだ。そこで重要となるのが、遺伝子と病気に関する不安に寄り添う「遺伝カウンセリング」。今回は、澤田先生と専門の遺伝カウンセラーの永井真理子さんに詳しく話を聞かせてもらった。(取材日2023年12月27日)

    遺伝カウンセリングを通して遺伝情報をもとにした質の高い医療の提供とともに、患者と家族の不安に寄り添う

    Qがんが遺伝するというのは本当ですか?

    A

    がんと遺伝について語る澤田先生

    【澤田先生】がんは遺伝子の変化が積み重なって起こる病気です。遺伝子とは親の特徴を遺伝情報として子やそれ以降の世代に伝える仕組みなので、「がんは遺伝する」と思うかもしれませんが実際にはほとんどのがんは遺伝しません。なぜなら大部分のがんは、年齢や環境的要因で生じる後天的な遺伝子の変異だからです。しかし、生まれながらにがんに関わる遺伝子に変異があると、次の世代に受け継がれる可能性があります。また、遺伝子変異の場所でも発症しやすいがんの種類などがわかります。どのようながん種でも約10%が遺伝性のがんと言われていますが、その代表として遺伝性乳がん卵巣がん症候群や家族性大腸腺腫症が知られています。

    Q家族に遺伝したら……と思うと不安です。

    A

    【澤田先生】現代はがんに罹患する人が多く、ご家族の中にがん患者がいることは珍しいことではありません。日本人に多い大腸がんですら遺伝要因が関わっている人は少数と言われていますが、専門の医師からは、ご本人や家族内に若くしてがんに罹患した方、特定のがんが頻発している方、がんを繰り返している方がいる場合はがん遺伝子パネル検査を受けるための遺伝カウンセリングを推奨しています。必要以上に不安がることはありません。遺伝カウンセリングでは専門の医師や遺伝カウンセラーが中心となり、がんの遺伝に関することや検査の詳細、具体的な対策、検査結果による家族や社会的な影響についてゆっくり話し合い、サポートしていきます。

    Q遺伝カウンセリングの流れを教えてください

    A

    遺伝カウンセリングについて話す永井さん

    【永井さん】お電話または直接ご来室いただき、ご予約をお受けします。ご相談の内容などをお聞きし、遺伝カウンセリングに必要な患者さんのこれまでの経過やご家族の健康状態をお伺いします。その後カウンセリング日時を決定し、予約日をお知らせします。遺伝カウンセリングでは、患者さんやご家族のお気持ちを伺いながら、必要な情報をお伝えします。遺伝学的検査で得られる情報は一生変わらない不変性のものであり、ご家族と一部共有されている重要な情報です。検査結果によってはあらゆる影響が考えられます。まずは遺伝学的検査を受けるご自身にとっての意味を考えていただくことが大切ですので、お気持ちを伺いながら一緒に考えます。

    Qカウンセリング体制について教えてください

    A

    【澤田先生】当センターでは遺伝医療の専門職である、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医や専門の遺伝カウンセラー、各診療科の医師、看護師などがチームとなって相談にあたります。自分の遺伝情報を知ることは、ご病気の予防や治療に役立つと同時に、ご自身や家族にさまざまな感情の動きが生まれる可能性があります。より良い選択をするためには、さまざまな視点で考えることがとても大切です。また同時にご自身やご家族の病気や治療に対して、正しく理解していただくことも必要。それぞれの病気の専門家からも詳しく話を聞き、疑問を一つ一つ解決し、不安を乗り越えながら、少しずつでも自分らしい答えに近づいてもらえたらと考えています。

    Q患者さん一人ひとりに寄り添ってもらえるのですね。

    A

    答えは患者や家族の数だけ。じっくりと一緒に考えよう

    【澤田先生】お一人お一人病状も違えば、生活や環境も違います。患者さんやそのご家族がどんな選択をしたとしても、その数だけ正解があるのだと思います。私たちは1つの答えに向かって誘導するのではなく、「そのひとらしさ」をサポートできるよう努めていきたいと思います。また同時に当センターは、「がんゲノム医療連携病院」に指定されており、保険適応となったがん遺伝子パネル検査によって、がん遺伝子変異に応じた分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤による治療が可能になっています。今後は、遺伝情報をもとにした質の高い医療の提供にも努めていきたいと思います。

    患者さんへのメッセージ

    澤田 甚一 センター長

    1987年大分医科大学医学部を卒業後、神経内科医として遺伝性神経難病に関心を寄せ、その発症機構や治療法に関する研究に打ち込むと同時に患者とその家族の支援にも注力し、難病をめぐる地域連携大切の構築などさまざまな取り組みにも参加。2018年4月より、遺伝学的検査を通してより質の高い医療の提供をめざして遺伝診療センターのセンター長に就任。日本神経学会認定神経内科専門医、難病指定医。

    遺伝医学の発展によって多くの病気が遺伝子レベルで解明されるようになってきており、がんをはじめとする病気の診断や治療、予防に役立てられるようになりました。その結果、遺伝について耳にする機会が増え、「私のがんは遺伝するの?」という疑問や不安を持たれる方も多くなっています。私たち遺伝診療センターは、このような疑問に対して遺伝カウンセリングを行い、正しい医療情報をお伝えするともに「自分の遺伝情報を知ること」に伴う心理的社会的不安への支援を行なっています。この検査のプロセスが患者さまの人生にとって良いものになるよう、一緒に考えていきます。お気軽にご相談ください。

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