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地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター

(大阪府 大阪市住吉区)

岩瀬 和裕 病院長

最終更新日:2022/06/29

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急性期医療と総合診療、2つの医療を柱に

大阪市住吉区にある「大阪急性期・総合医療センター」。あべの筋に面する広大な敷地には複数の病棟が立ち並び、隣接する万領中央公園の緑が来訪者を和ませる。1955年に大阪府立病院としてスタートした同院は現在、幅広い診療科と865病床を擁し、大阪市南部医療圏の中核的な病院として、高度急性期医療と先進的な医療の双方の提供を担う。救急では、導入当時としては世界的にも珍しかった独自のハイブリッドERを備え、三次救急や基幹災害拠点病院として機能する。また各診療科ではロボット支援システムによる手術など先進の医療体制を整え、研究活動にも活発に取り組む。さらに大阪府立身体障害者福祉センター附属病院の統合、大阪府市共同住吉母子医療センターの開設などを経て診療機能を拡充し、地域との連携も深めながら診療科や病期を越えた連続性と広がりのある医療を提供している。取材では岩瀬和裕病院長に、同院ならではの診療内容や地域医療における役割について、詳しく話を聞いた。(取材日2022年4月1日)

大阪急性期・総合医療センターの役割や特徴について伺います。

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大阪府立病院として歩んできた当院は、2006年に地方独立行政法人大阪府立病院機構に移行した際に「大阪府立急性期・総合医療センター」となり、その後現在の名称になっています。もともと5院あった旧府立病院は、それぞれが成人病、母子医療、呼吸器・アレルギー、精神医療と特化した診療機能を有していました。その中で当院は歴史的な経緯もあり、総合的な診療と急性期医療を並列して担ってきました。そのコンセプトを名称に反映した結果、珍しいのですが「・」を使って併記することになったと聞いています。現在は大阪市南部医療圏の中核的存在として、数多くの診療科と、がん治療や臓器移植などをはじめとした専門的な医療を提供しています。また救急に関しては高度救命救急センターおよび基幹災害拠点病院として、大阪府の三次救急や災害時対応にあたります。いずれにおいても、院内の連携に基づく総合力で高い水準の医療を提供するべく努めています。

急性期医療での取り組みについて、具体的にお聞かせください。

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救急医療では、外来初療室にIVR-CTを導入し、1つの部屋の中で診断から手術まで行える「ハイブリッドER」システムを10年前に開始しました。当時は非常に先進的で、世界中から多くの見学者を迎えたものです。2022年春にはIVR-CTを新たな機種に入れ替え、より高水準の救急医療をめざしています。また当院は三次救急をメインとしていますが、近年では重症ではない二次救急症例もできる限り受け入れ、タイミングを逃さず必要な治療を行えるように努めています。災害医療に関しては、大阪府の基幹災害拠点病院として緊急対応できる設備を整え、研修や訓練を日常的に実施しています。また、広域から複数の医療機関が関わるような大規模災害が発生した際には、DMATという災害派遣チームを現地へ派遣するとともに、当院が大阪府の災害医療の拠点となり、情報収集や指示を一元的に行うことで効率的な救命活動をめざしています。

先進的な医療に関する取り組みについても伺います。

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各科では先進の技術の導入に努めています。19室の手術室では複数の内視鏡手術支援ロボットを導入し、心臓血管外科では経カテーテル的大動脈弁移植術(TAVI)を早期から開始しています。また近年ではがんゲノム医療が急速に普及し、当院も大阪大学医学部附属病院と連携して「がん遺伝子パネル検査」を実施しています。遺伝診療センターを拡充し、従来からの遺伝性疾患へのカウンセリングに加え、がんゲノム医療に対応できる体制を整えました。また、生殖医療センターを開設し、男性不妊を含め専門性の高い技術を伴う不妊治療を提供しています。特に、若い患者さんにおける妊娠に必要な機能の温存や、思春期から30代までのAYA世代のがん患者さんへの長期にわたる妊孕性の保存にも対応しています。生殖医療は、高度な技術に加え治療体制の永続性や研究開発の担保が必要な領域であるため、公立病院の重要な役割であると考えています。

近年、リハビリテーションにも注力されていますね。

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2007年に大阪府立身体障害者福祉センター附属病院と統合してリハビリテーション医療部門が発足し、高度急性期におけるリハビリに取り組んできました。現在では、救急搬送された患者さんや、専門的な診療を必要とする重症の患者さんに対しても、ICUやCCUの段階から、各領域に特化した専門的な急性期リハビリを実施しています。また各診療科での急性期治療が終われば、必要に応じてリハビリテーション科の病棟で高次脳機能やロボットスーツなど専門的なリハビリを行うこともできます。リハビリテーション科の医師は各科の医師と連携し、急性期や回復期といった時系列の枠にとらわれずリハビリを提供しています。併存疾患があっても複数科で対応できる総合的な診療体制が当院の大きな特徴ですが、このように急性期から回復期まで専門性にこだわったリハビリを切れ目なく実施し、早期の回復や日常復帰を支援できることも独自の強みになっています。

多彩な病院機能を維持・拡充するために注力していることは?

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急性期、回復期医療を終えた患者さんは地域の医療機関やご自宅へと戻られるわけですが、かかりつけ医の先生方や医療施設とスムーズに連携すべく、府内の医療施設専用のインターネット予約システムや、「万代e-ネット」という診療情報地域連携システムを整備しています。「万代e-ネット」では検査結果だけでなくカルテの記載情報も閲覧できますので、当院での治療の内容や進行状況を踏まえながら、患者さんを受け入れていただけると考えています。また当院では臨床研究支援センターを設け、さまざまな臨床研究を積極的に行っています。急性期医療と総合診療という2つの柱を軸に役割を果たし続けることは容易ではありませんが、難しい課題に直面しても真摯に取り組む現場の本気度や真面目さは、当院の伝統的な良さであると心強く感じています。

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岩瀬 和裕 病院長

1982年大阪大学医学部卒業後、同大学第一外科へ入局し、関連病院にて研鑽を積む。1995年米国テキサス大学医学部ガルベストン校外科へ留学。1997年より市立泉佐野病院(現・りんくう総合医療センター)にて外科部長、後に消化器部門長、診療局次長を兼任。2007年より大阪急性期・総合医療センター外科主任部長、2019年4月より病院長を務める。専門は消化器外科、内視鏡外科、上部消化管・胆膵外科。医学博士。

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