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包括的な視点で患者の心身をサポートする
肥満症・高度肥満症治療

地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター

(大阪府 大阪市住吉区)

最終更新日:2025/03/31

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  • 保険診療
  • うつ病
  • 高血圧症
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 摂食障害(過食症・拒食症)
  • 糖尿病
  • 脂質異常症(高脂血症)

食生活やライフスタイルの変化によって日本でも増えている肥満症。中でもBMI値35を超える高度肥満症の治療は、内科的な治療だけでは改善が難しく、リバウンドを繰り返して治療から離脱する人も多いという。「大阪急性期・総合医療センター」の肥満症治療部門では、そんな肥満症患者の治療の継続や体重減少、リバウンドの回避をめざして、消化器外科副部長の宮崎安弘先生を中心に肥満症治療チームを結成。糖尿病内科医師、管理栄養士だけでなく、精神科医や心理士、心臓内科医師も加わり、包括的な肥満治療を実践している。「これまで肥満症治療がうまくいかなかった人も、ぜひ相談してほしい」と自信をのぞかせる宮崎先生に、肥満症や高度肥満症の治療、減量・代謝改善手術について詳しく話を聞いた。(取材日2024年12月17日)

肥満症治療は継続が大切。肥満症リスクの理解を促し、「変わりたい気持ち」のサポートを

Q肥満症、高度肥満症とは?

A

肥満症治療が専門分野の宮崎先生

肥満とは体に脂肪が過剰に蓄積された状態のことです。日本では身長と体重から肥満度を示すBody Mass Index(BMI)の値が25以上を肥満、35以上を高度肥満と定義し、そのうち肥満を原因とする健康障害を有し、減量によって症状の改善や進展を防止できる状態の方をそれぞれ肥満症、高度肥満症と診断しています。肥満は糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病の誘因となり、動脈硬化を高率に引き起こすメタボリック症候群の基盤となります。さらには、うつ病や摂食障害など精神疾患の引き金になることも。病気のリスクを減らし、生活の質や健康寿命を維持するためにも、適切な治療を行うことが大切です。

Qどのような治療法があるのですか?

A

チーム一丸となり治療に取り組む

まずは糖尿病内科医による診断を受け、管理栄養士とともに食事指導や運動療法を含む内科的な治療を開始します。現在は肥満症治療薬も登場していますので、並行して薬物治療を行うことも多いです。なんらかの病気や薬の副作用によって肥満が起きている場合には、肥満治療と同時に原因となる疾患の治療や薬の見直しを適宜行って原因を除外することも大切です。しかし肥満の原因として社会的な問題、精神的な問題が含まれることが多い高度肥満症の場合には、治療の継続が難しく、リバウンドを起こしやすい傾向があることがわかっています。肥満が続けば生命に危険を及ぼす可能性も高いので、そういった場合には減量・代謝改善手術を検討します。

Q減量・代謝改善手術の詳細について教えてください。

A

現在、保険診療として認められているのは、胃の外側を切除して細くする腹腔鏡下スリーブ状胃切除術です。この手術の適応となるのは、6ヵ月以上の適切な内科治療によっても体重減少が困難でBMI値35以上、かつ糖尿病、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群、非アルコール性脂肪肝疾患のいずれかを合併している場合、もしくはBMI値32.5〜34.9ではあるものの、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群、非アルコール性脂肪肝疾患のいずれか2つ以上を合併している場合です。この手術は決して楽をして痩せるための手術ではなく、患者さんの命を守るための手術。手術適応については、慎重に検討することが大切です。

Q手術すれば治療は終わりとなるのですか?

A

栄養管理や精神面など、手術後も継続してケアを行う

肥満症治療は腫瘍治療などと違い、手術をしたから治療完了ではありません。手術後には、通常の食事を取れるようになるまでの約1ヵ月、段階を追った厳密な栄養管理が求められますし、手術をしたからといって何を食べてもいいわけでも、リバウンドしないと確約されているわけでもありません。一番大事なことは、患者さん自身が肥満のリスクやこれまでの生活の問題点を理解し「自分で自分のライフスタイルを変えていこう」という強い気持ちを持つことです。手術はあくまでも肥満治療の「きっかけ」にすぎませんので、手術後も患者さんを中心としたチーム医療体制を構築し、継続した栄養管理や精神面でのケア、生活習慣病などの治療は続きます。

Qこちらの病院の治療の特徴について教えてください。

A

チーム医療で患者をサポートしている

当院では、糖尿病内科医師、管理栄養士、消化器外科医師、心臓内科医師、精神科医師、心理士が各種高度専門医療を「チーム医療」として提供しています。また、そのほかの診療科とも密に連携を取り、肥満症治療ミーティングでは常に安全で確実な治療を提供できるようにするための準備を行っています。中でも、精神科医師、心理士の参加が当院の大きな特徴で、困難を来すことが多い肥満治療をメンタルヘルスの観点からもサポートし、治療の継続や体重減少、リバウンドの回避をめざしています。また、減量・代謝改善手術を受けた患者さん同士の情報交換や支え合いのための患者会も結成し、包括的な肥満治療の提供に努めています。

患者さんへのメッセージ

宮崎 安弘 消化器外科副部長

2002年熊本大学医学部卒業。東京厚生年金病院、市立堺病院、大阪大学大学院医学系研究科消化器外科助教を経て、2019年4月大阪急性期・総合医療センター消化器外科副部長に就任。日本消化器外科学会消化器外科専門医。日本肥満症治療学会評議員。肥満外科治療、低侵襲手術が専門分野。

肥満の原因は一つではなく、体質や生活習慣、食習慣、社会的・精神的な問題など、あらゆる要因が絡まり合っていることがほとんどです。だからこそ治療は難しく、時間がかかるもの。また、受診はしたものの、肥満と肥満者に対する固定概念のせいで良い結果を得られずに苦しんでいる人が多いと感じます。肥満治療には何よりも「変わりたい」という患者さんの強い気持ちが大切なのですが、否定的な状況の中でその気持ちを持ち続けるのは誰にとっても難しいこと。当部門ではチーム医療による包括的な治療の提供に加え、手術を経験した患者さんを中心とした患者会もあります。気軽に受診・ご参加いただき、お役に立てていただければと思います。

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