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県北部を支える脳疾患治療施設として
くも膜下出血に24時間対応

埼玉県立循環器・呼吸器病センター

(埼玉県 熊谷市)

最終更新日:2024/01/22

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日本国内において、年間1万人に約1~2人が発症するといわれるくも膜下出血。発症したら可及的速やかに初期治療を行い、死亡率が高い再出血を防ぐことが重要。また、脳梗塞のリスクを高める脳血管攣縮(れんしゅく)、髄液が増え脳室が拡大する水頭症も予後を大きく左右するため、初期治療の後の管理も不可欠だ。こうした高度治療を緊急に行える施設が少なく、遠方まで搬送せざるを得なかった埼玉県北部の医療は、「埼玉県立循環器・呼吸器病センター」に「脳神経センター」が開設されたことで飛躍的に進化。現在、脳神経センターでは、24時間体制でくも膜下出血をはじめとした脳血管障害を受け入れ、北部地域の患者の予後改善に大きく貢献している。同センターの治療について、センター長の吉川雄一郎先生に聞いた。(取材日2023年4月17日)

死亡率低下と社会復帰率向上をめざして「脳卒中チーム」を確立。他職種連携で高度治療を速やかに提供

Qくも膜下出血とはどんな疾患ですか。原因も教えてください。

A

同院の脳神経センター立ち上げから中心的役割を担う吉川先生

くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂によって起こることがほとんどです。約半数が早期に死亡するとされ、治療後に社会復帰できる人は全体の3分の1程度ともいわれています。好発年齢は50歳から60歳台で、女性のほうが多い傾向にあります。脳動脈瘤ができる原因はわかっていませんが、くも膜下出血は高血圧、喫煙、多量の飲酒、家族性などが危険因子になるといわれています。くも膜下出血のように突然発症する脳の血管の病気を「脳卒中」といい、脳卒中には脳の血管が詰まって脳の細胞が壊死してしまう「脳梗塞」、脳を栄養する細い血管が破綻して起こる「脳出血」が含まれます。

Qくも膜下出血の初期症状と、取るべき行動を教えてください。

A

同院の脳神経外科手術では、先進の医療機器を完備

くも膜下出血が起こると、突然、今までに経験したこともないような激しい頭痛や嘔吐に襲われます。そのまま倒れて意識が戻らない場合や、出血が続いたために脳の圧が高くなり、病院に運ばれても意識が回復せずそのまま亡くなる場合もあります。通常、くも膜下出血は前触れなく起こりますが、軽度な頭痛や頭のもやもや感、吐き気や嘔吐などの軽微な症状を自覚し、それが大きな出血の前兆であることもあります。また、動脈瘤のできる部位や大きさによっては、物が二重に見える、視野が欠けるなどの症状を自覚することもあるでしょう。いつもと違うと感じたら、すぐにCTやMRIのある脳神経外科の専門病院を受診してください。

Q貴院における脳卒中患者受け入れ体制は?

A

脳卒中専門の集中治療室であるストロークケアユニット(SCU)

脳卒中治療は時間との戦いですから、スピーディーに収容し、遅滞なく治療を開始することが重要です。当院の脳神経センターでは脳卒中ホットラインを24時間脳神経外科の医師が持っており、救急隊や近隣病院、クリニックからの脳卒中搬送要請をダイレクトに受けることができます。救急隊とは当院で脳卒中の勉強会を開催し、最新の治療や脳卒中搬送体制のシステムなどを一緒に勉強したり、われわれの取り組みを理解してもらったりしながら、スムーズな搬送をめざしています。脳梗塞に対する機械的血栓回収はもちろんですが、脳出血やくも膜下出血に対する治療も24時間体制で行うことで、死亡率を下げ、社会復帰率を上げることをめざしています。

Q脳卒中センターの院内連携の取り組みについて教えてください。

A

脳卒中相談窓口のメンバー。患者や家族へのきめ細かいケアを実践

毎朝のカンファレンス・回診には、医師、看護師のほか、理学療法士、栄養士、摂食・嚥下の専門知識を持つ看護師などが参加します。また週に1度は、医師、作業療法士、理学療法士、言語聴覚療法士、医療ソーシャルワーカー、事務員、薬剤師、看護師など、センターの全職種が参加するカンファレンスも実施しています。2022年度には、総勢19人の相談員から成る脳卒中相談窓口も開設。昨年相談支援を行った利用者数は500人を超えました。医師の技術や知識に加え、大勢のスタッフのおかげで治療やリハビリ、退院、その後の社会生活までスムーズにケアすることができており、まさに「チーム脳卒中」として機能していると自負しています。

Qくも膜下出血を防ぐには、どんなことに注意すべきですか。

A

24時間体制で埼玉県北部地域の脳卒中医療を支えている

肉親や兄弟にくも膜下出血の方がいたり、以前にくも膜下出血を起こしたことのある方は、発症のリスクが高い可能性があります。脳動脈瘤の有無を検査することを勧めます。また、「めまいや吐き気などがある」「いつもより強い気がする」「何日も続く」といったいつもと違う頭痛があるときは、早めに専門医療機関を受診してMRI検査を受けることをお勧めします。未破裂脳動脈瘤が見つかり経過観察となった場合も、半年から1年に1回は検査を受け、脳動脈瘤の大きさや形を確認することが大切です。経過観察中の動脈瘤が破裂する可能性は低いですが、くも膜下出血のリスクとなる高血圧を治療し、喫煙や大量の飲酒を避けましょう。

患者さんへのメッセージ

吉川 雄一郎 センター長

2002年長崎大学医学部卒業。九州大学脳神経外科入局。2010年九州大学大学院医学研究院修了。2014年より、埼玉医科大学国際医療センターに勤務し、高難度脳動脈瘤を含む脳動脈瘤手術を多く手がける。くも膜下出血後の脳血管攣縮の研究にも従事。2019年、脳神経センターの立ち上げに際して初代センター長として同院に着任。脳神経外科科長、脳卒中センター長も兼務。

くも膜下出血は起こるととても重篤である一方、未然に防ぐことも可能な疾患でもあります。当院でも脳ドックを行っていますので、不安を感じる方はぜひ検査を受けてください。脳動脈瘤はできた部位や大きさによって破裂率が明らかになっていますが、くも膜下出血のリスクだけでなく治療のメリット・デメリットを含めて治療を行うべきか否かしっかり検討することが重要だと考えます。治療する側の外科医師の視点から検査画像をじっくり見て適切に診断し、患者さんにご理解いただけるまで丁寧に説明することを心がけていますので、脳動脈瘤が見つかって不安に感じられている方や治療を迷っていらっしゃる方は、遠慮なく受診してください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

脳ドック/4万4000円(MRIとエコー含む)

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