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独立行政法人地域医療機能推進機構 東京山手メディカルセンター

(東京都 新宿区)

矢野 哲 病院長

最終更新日:2020/11/25

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地域のニーズにも「断らない」医療で応える

副都心・新宿のほど近く、新大久保駅と大久保駅の両駅から徒歩約5分圏内にある「東京山手メディカルセンター」。長年「社保中」(旧病院名:社会保険中央総合病院)の略称で親しまれてきたが、2014年独立行政法人地域医療機能推進機構、JCHO(ジェイコー)への移行とともに現在の名称に変更された。以前から注力する肛門疾患と炎症性腸疾患治療部門という2つの看板の診療部門の診療を受けに広い地域から患者が訪れる。2018年に院長に就任した矢野哲先生は、そういった全国から患者が集まる専門医療にさらに磨きをかける一方で、地域医療連携にも注力。2019年9月に地域医療支援病院となったことを機に、地域の開業医らとの医療連携の強化に取り組んでいる。住民の高齢化、独居高齢者の増加など、新宿区が抱えるさまざまな医療課題に対応するため、新たな診療科の開設においても先頭に立って尽力してきた矢野院長。就任以来、訴え続ける「断らない医療」の重要性や、地域医療への想い、将来の展望などさまざまな話を聞いた。
(取材日2020年9月8日)

病院の成り立ちと特徴について教えてください。

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当院は1947年に開設され、1987年に新病院として現在の地に移転しました。移転当時、私は時々、外勤の産科医師として新築の病棟で夜間当直をしていました。古風な大学の建物に比べ、なんて斬新できれいな建物なのだろうと感銘を受けたことを今もよく覚えています。2014年4月には独立行政法人地域医療機能推進機構への運営移管に伴い、病院名を社会保険中央総合病院から「東京山手メディカルセンター」に改称しました。区西部二次医療圏の急性期病院として医療提供に邁進し続け、現在では豊富な経験を有した20の診療科がそろいました。中でも肛門疾患、炎症性腸疾患、最近では間質性肺炎などに対して専門的な治療を数多く提供しています。

中心となる診療は何でしょうか?

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大腸肛門病治療部門を要する大腸肛門外科は、当院の看板の一つです。当院の医師によって開発された、ほぼ傷が残らない独自の手術法が脈々と受け継がれてきた歴史ある科で、痔でお悩みの方の最後の砦として、さまざまな地域から多くの患者さんがお見えになっています。「東京山手メディカルセンターと言えば痔の治療」と言っていただけるようにもなり、各地から医師が見学に訪れることもあります。併せて、炎症性腸疾患治療部門のある消化器内科も当院の柱の1つです。また、間質性肺炎やリウマチ肺など特殊な呼吸器疾患に対応する呼吸器内科も、当院の強みの1つです。ほかにも、整形外科領域全般をカバーする整形外科と脊椎脊髄外科、腹腔鏡手術・3D/4D胎児超音波画像診断が得意な産婦人科など、各診療科には専門の先生方がそろっています。

2019年には診療科がさらに充実したと伺いました。

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2019年度から形成外科のほか総合診療部門やメンタルヘルス部門、緩和ケア部門を新たに立ち上げました。また、外科は食道と胃、肝胆膵、乳腺に細分化しました。メンタルヘルス部門では、昨今急増している精神疾患・認知症を合併した患者さんへの対応、形成外科では東大形成外科のご支援のもとに、乳がん手術時の乳房同時再建が可能になっています。救命救急医療においては、総合的に診療を行う医師と領域別の専門家が協働する地域完結型医療に取り組んでいます。1947年11月に「社会保険山手病院」として内科、外科、産婦人科、歯科の4科で始まった当院も、診療科を広げて大きく変わりました。このほかにも、2019年6月から電子カルテシステムが稼働しています。電子カルテは、各診療科・各部門が同一患者さんのカルテ情報を共有できることが最大のメリットで、これは医療安全上においても非常に大切なことです。

地域医療連携への取り組みについてもお聞かせください。

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院長就任後、私がまず行ったのは「断らない医療」への意識改革です。近隣の先生方から急な患者さんの紹介があった際は、余程のことがない限り断らないで受け入れるよう徹底しました。次に、地域の各医療機関との連携の推進を目的に「登録医制度」を設けました。これは、地域の先生方よりご紹介いただいた患者さんの受入れや、開放型病床を利用した共同診療、施設・設備の共同利用、研修会の開催など、先生方との連携を充実させていく制度です。全国的に人口が減少して高齢化が進む中、今後も人口増加が続く新宿区において、区西部二次医療圏の急性期医療を担うことは地域医療支援病院である当院の使命だと考えます。私の実家は江戸時代には藩の御典医を務め、明治以降はいわゆる総合診療を行いながら主に在宅医療に関わってきました。地域の先生方に対して特別なシンパシーを抱いており、ともに地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいきたいと思っています。

今後の抱負をお聞かせください。

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今後も地域の中核病院として、当院の理念である「技(わざ)と心」を磨き、最善の医療を継続的に提供することで社会に貢献してまいります。最新版に更新したCT-MRI装置などを活用した高精度の人間ドックによって、がんなどの病気の早期発見にも努めます。在宅医療など高齢化に伴うさまざまな医療ニーズに応える仕組みづくりについても、地域の先生方と協力して医療・介護・福祉等のサービスが滞りなく提供できるよう努力していく所存です。新宿区は病病・病診連携が都内でも非常に進んでおり、実際にICTを使った医療連携システムなどを駆使して、当院とかかりつけ医の先生方が迅速かつ効率的に患者さんの情報のやり取りを日々、行っています。また、5~7年以内には老朽化した病院建物を新築する構想もあります。新型コロナウイルス感染症についても早期からさまざまな対策を講じています。

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矢野 哲 病院長

1980年東京大学医学部卒業。大学病院で産婦人科の医師として診療、研究、教育を行う。東京大学医学部附属病院女性外科科長・准教授、国立国際医療研究センター病院副院長・産婦人科科長などを経て、2018年より現職。小学生の頃から歴史に興味があり、歴史上の人物の人間関係から社会が見えることに関心を持つ。現在も歴史探訪が趣味で、自ら車を運転して城郭巡りに出かけ、写真撮影をする時間がリフレッシュになっている。

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