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潰瘍性大腸炎、クローン病の違い
診断、薬、手術について徹底解説

独立行政法人地域医療機能推進機構 東京山手メディカルセンター

(東京都 新宿区)

最終更新日:2021/10/19

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  • 保険診療
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病

消化管が慢性的な炎症を起こし、腹痛や下痢、発熱、体重減少、血便などの症状が出るのが、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患。近年、患者が増加しているが、国からも難病に指定されている病気であり完治させることは難しいという。そして、「炎症性腸疾患の治療では、日々の生活の中で起こるさまざまな出来事に対応し、より豊かに過ごすために病気のコントロールをめざしていくことが大切です」と話すのが、「東京山手メディカルセンター」の深田雅之IBDセンター長。大腸と肛門の病気に高い専門性を持つ同院では、炎症性腸疾患の内科的治療から外科的治療に至るまで、一貫して質の高い治療の提供をめざしているという。そこで、同院における炎症性腸疾患の治療について、深田先生に詳しく話を聞いた。(取材日2021年8月19日)

適切な鑑別診断と治療で、より豊かに過ごすための病気のコントロールをめざす

Q潰瘍性大腸炎とクローン病の違いについて教えてください。

A

豊富な知識と経験を持つ深田雅之IBDセンター長

潰瘍性大腸炎とクローン病などをまとめて炎症性腸疾患と言いますが、ともに慢性的に経過する消化管の炎症性疾患です。クローン病は、口から肛門までの消化管のどの部分にも炎症を起こし得る病気で、炎症は連続性がなく点々と起こります。一方で、潰瘍性大腸炎は主に大腸に炎症を起こす病気で、通常は肛門から始まり徐々に奥のほうに広がっていきます。ともに下痢や腹痛、発熱、体重減少などの症状があり、潰瘍性大腸炎は血便が出ることが特徴的ですが、クローン病でも血便が出ることがあります。また、内視鏡的所見のほか、組織学的所見も非常に似ており、炎症性腸疾患を専門とする病理の医師でないと正確な診断は難しいこともあります。

Q炎症性腸疾患では、検査や診断が重要だと伺いました。

A

患者に寄り添い、思いやりを持って接することを心がけている

炎症性腸疾患は、症状の出方や程度がさまざまなため、しっかりと鑑別し確定診断を行わないと適切な治療が困難になってしまうことがあります。その一番の鍵となるのが画像診断です。中でも近年、急速に発展を遂げているのが内視鏡検査で当院でも行っていますが、従来のエックス線撮影検査も当院では重視しています。内視鏡検査は、リアルタイムで大腸を観察できる一方で、その一場面しか見ることができません。しかし、バリウムなどの造影剤を用いたエックス線撮影検査なら腸の全体像が見えるのです。炎症性腸疾患の診断では、炎症の範囲を特定することが非常に重要であり、エックス線撮影検査の技術にこだわっているのが当院の特徴の一つです。

Qどのように治療を行うのですか?

A

看護師、薬剤師、栄養士らも一丸となって治療を行っているという

近年、炎症性腸疾患の治療は急激に進化しています。基本は、食事・栄養指導に加え、内服や点滴などの薬による治療です。最近は、抗体製剤や低分子医薬品による治療も注目されています。従来の薬には、炎症を全体的に抑えていくものが多いですが、新しい薬では、原因となっているある一つの物質にターゲットを絞り炎症を抑えていくのです。そのため、臨床症状や画像、血液の検査などの所見、薬の反応性などから患者さん一人ひとりの病状を十分に把握した上で、どの薬が最適なのかを見極めていくことが重要になります。その結果、多くのケースで日常生活を送る上で困らない程度に症状をコントロールすることがめざせるようになります。

Q手術をすることもあるのですか?

A

定期的にカンファレンスを行い、一人ひとりに合った治療を選択

薬剤による治療が非常に進化してきている一方で、手術をしたほうが生活面や病気の活動性においても、その後に良い状態が長く保たれると期待できる場合があります。また、とにかく手術を避けるために、強い症状があるにもかかわらず合わない薬を続けたり、変えてみたりするのは、良い治療ではないと考えます。つまり、必要であれば手術をベストなタイミングで行うことも重要なのです。当院の大腸肛門病センターは、炎症性腸疾患の手術における実績が極めて豊富であり、炎症性腸疾患が専門の内科の医師と大腸肛門外科の医師は、治療をスムーズに行うために週に1度はカンファレンスを設けて、手術の症例について話し合うなど連携を深めています。

Q入院での治療や多職種連携についても教えてください。

A

シームレスな多職種連携を図っているという

当院に入院した場合、炎症性腸疾患の患者さんは専門の病棟で経験豊富な看護師によるケアを受けられます。看護師や薬剤師、検査技師、栄養士、医療事務、ソーシャルワーカーを含むコメディカルも炎症性腸疾患の患者さんに関わってきた経験が豊富であり、多角的なサポート体制を整えています。また、転居や忙しさなどから通院が困難になり治療が中断してしまう方が少なからずおり、そのために病状が悪化し、その後の治療に時間がかかったり、入院が必要になることもあります。当センターでは、より多くの患者さんが負担も少なく継続した治療を受けられるよう、地域の医療機関との連携にも力を入れて取り組んでいます。

患者さんへのメッセージ

深田 雅之 部長

1994年東京慈恵会医科大学卒業後、同大学第三病院内科学講座第1に入局。2003年に渡米し、米国ニューヨークマウントサイナイ病院内科講師、米国マイアミ大学消化器内科講師、米国シーダスサイナイ病院炎症性腸疾患センター内科研究教員、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校臨床内科講師などを経て2017年に帰国。ちびき病院副院長を経て2020年より現職。日本消化器病学会消化器病専門医。医学博士。

炎症性腸疾患の症状は腹痛や下痢、発熱、体重減少、血便など多岐にわたり、慢性的に進行するなど日常生活に大きな影響を与える病気で完治は難しいですが、早期に診断して適切に治療をすることで良い状態を長く保つこともめざせます。私は15年にわたり米国で炎症性腸疾患について学んできましたが、当時米国でしか使えなかった薬が現在は徐々に日本でも使われるようになってきましたので、私の米国での経験が当院で患者さんに還元できると考えています。排泄に関わる症状は相談しづらいこともあると思いますが、それらの症状が続いているのなら一人で悩まずに、かかりつけの医師などに相談する中で、必要なときには当院も受診してみてください。

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