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体への負担が軽い新たな手術で
前立腺肥大症の改善をめざす

医療法人敬愛会 西宮敬愛会病院

(兵庫県 西宮市)

最終更新日:2026/05/29

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  • 保険診療
  • 前立腺がん
  • 前立腺肥大症
  • 膀胱炎

残尿感や頻尿など、年齢を重ねた多くの男性が直面する排尿のトラブル。その主な原因となるのが、前立腺肥大症だ。加齢とともに大きくなった前立腺が尿道をふさいだり膀胱を刺激したりして、排尿のトラブルを招くのだという。薬物治療で改善が難しい場合は手術治療を検討するが、近年では体への負担が軽く合併症の少ない手術も増えている。「西宮敬愛会病院」の低侵襲治療部門「COKU」でも、水蒸気を用いた前立腺肥大症の手術を2026年の初夏から開始。診察から手術まで一貫して担当する野々村大地先生は「出血やトラブルがほとんどなく日帰りで行えることもある、チャレンジしやすい手術です」と話す。そこで前立腺肥大症の基礎知識や治療法、同院で受けられる手術の特色などを、野々村先生に解説してもらった。(取材日2026年4月21日)

水蒸気を用いて肥大した前立腺を治療。出血量や手術による合併症が少なく、チャレンジしやすい手術を導入

Q前立腺肥大症とは、どのような病気ですか?

A

前立腺肥大症に対する低侵襲治療に注力している

前立腺は男性の精子を保護する前立腺液を作っていますが、生命維持に直結する大きな機能はないと考えられています。前立腺は下腹部、具体的には膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むような形になっています。ミカンの皮と実のような構造で、加齢に伴って内腺と呼ばれる実の部分が徐々に膨らみ、前立腺肥大症になることがあります。前立腺の腫れは60代以上の男性の多くで見られますが、もっと若い時期から進行している方もいます。前立腺肥大症は生活習慣や遺伝との関係もいわれていますが、年齢が大きな要因です。また前立腺が肥大する時期やスピード、腫れの程度、症状の出方は個人差が大きいです。

Q前立腺肥大症の症状や、受診のタイミングを教えてください。

A

前立腺が肥大すると、内腺の中心を通っている尿道が圧迫されておしっこが出にくくなったり、膨らんだ前立腺が膀胱を刺激したり膀胱を狭めることで、排尿回数が増える頻尿が見られることもあります。残尿感や、夜中に何度もトイレに起きてしまう夜間頻尿などでお困りの方は多いですね。ただ、排尿の感覚は主観的なものですので、少ししか出ていなくても「しっかり出ている」と感じる人もいます。また、前立腺が肥大していても症状はないという方もいますし、一方で前立腺の腫れがわずかでも、症状は強く出る人もいます。排尿関連の症状はQOLを大きく損なうことが多いので、何らかの不都合があれば、受診を考えてほしいと思います。

Q検査や初期の治療について教えてください。

A

症状の感じ方は個人差が大きい。気軽に相談することが大切だ

問診でお困りの症状やこれまでの経過をお聞きした後、尿検査や血液検査などを行います。膀胱炎などの尿路感染や前立腺がんの有無を確認する必要があるからです。また、超音波検査を行い、前立腺の大きさや排尿後に膀胱内に尿が残っていないかどうかを調べます。また、おしっこの勢いを測定する尿流量検査も行います。超音波は下腹部に当てますし、尿流量検査は専用のトイレで排尿してもらうだけですので、さほど恥ずかしくはないと思います。以上の検査で前立腺肥大症の診断がつけば内服薬、まずは筋肉を緩めて尿道を広げるためのαブロッカー(α遮断薬)で治療を始めます。

Qその後、治療はどのように進むのでしょうか。

A

αブロッカーによる症状の改善が見込めない場合は、ほかのαブロッカーに切り替えるほか、前立腺を小さくするための薬や炎症を抑えるのに役立つ薬、適応があれば膀胱の活動を抑えるための薬などを試すこともあります。これらの服薬治療でも思うように症状が改善しない場合は、手術治療を検討します。電気メスで前立腺を削るTURPのほか、レーザーで前立腺を蒸散させるCVPやPVP、また前立腺が大きければ内腺のみをくりぬくHoLEPやTUEBという手術もあります。これらはいずれも尿道から内視鏡を入れて行われますが、手術時の出血量が多くなる点や、合併症として尿漏れや射精障害が生じる可能性がある点が懸念されていました。

Qこちらでは、新しいタイプの手術が受けられるそうですね。

A

多くの選択肢を用意し、一人ひとりに適した治療を提案していく

当院では、メスやレーザーではなく、水蒸気を用いたWAVE(経尿道的水蒸気治療)、インプラントを用いたUrolift(経尿道的前立腺つり上げ術)を導入しました。WAVEは出血がほぼなく、手術室で過ごす時間も30分ほど。従来の手術では4日~1週間入院が必要でしたが、条件によっては日帰りでも実施できます。術後4日ほどはカテーテルを入れて生活していただきますが、1~3ヵ月後には症状の改善が期待できるでしょう。Uroliftは前立腺にインプラントを打ち込み広げる手術で、カテーテルも不要です。治療対象に関して、このほど制限が大きく緩和されましたので、今後は実施される機会が増えていくと思います。

患者さんへのメッセージ

野々村 大地 泌尿器科部長

2009年和歌山県立医科大学卒業。大阪けいさつ病院、中部徳洲会病院、市立東大阪医療センターなどの泌尿器科で診療経験を積んだ後、2020年から勤務した大阪医療センター泌尿器科では前立腺・膀胱・腎疾患でのロボット支援手術に注力し、指導にもあたる。2026年4月より現職。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。

前立腺肥大症による排尿障害は、日常生活での不便さや不快感は大きいものの、命に関わることはありません。それでも「症状を改善したい」と願う患者さんが思い切って手術を受けたのに、これまでの手術では尿漏れ、射精障害、出血などの新たなトラブルに見舞われることがあり、非常に歯がゆく感じていました。しかしWAVEは先に挙げたようなトラブルは非常に少なく、気軽にチャレンジしやすい手術だと実感しています。当院は、ほぼ予約制で待ち時間も短く、より快適に検査や手術を受けていただける環境を整えています。「年だから」と諦めてしまうことなく、ぜひ気軽にご相談ください。

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