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40歳を超えたら受診を考えたい
大腸内視鏡検査と早期がんの治療

医療法人敬愛会 西宮敬愛会病院

(兵庫県 西宮市)

最終更新日:2024/05/15

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  • 保険診療
  • 大腸ポリープ
  • 大腸がん

近年の国立がん研究センターの統計調査では、大腸がんの発症者数はさまざまながんの中でも常に上位となっている。一方で、早期に発見して必要な治療を行うことで、治癒が期待できる病気でもあり、早期発見には大腸内視鏡を使った検査が役に立つ。つらい検査、痛い検査といったイメージで語られがちだが、最近はそうした心配は不要と「西宮敬愛会病院」の嶋吉章紀先生。内視鏡や技術の進化によって、検査時の苦痛も大幅に軽減されているという。さらに同院の低侵襲治療部門「COKU」では、早期がんが見つかった場合も、患者の負担がより小さい方法を選び治療を実施している。大腸がんの予防・早期発見のために知っておきたいことや、同院の大腸内視鏡検査、治療の特徴について、嶋吉先生に詳しく教えてもらった。(取材日2024年2月27日)

豊富な診療経験と先進的な設備を生かし、できるだけ負担の少ない検査・治療の提供をめざす

Q何歳になったら大腸内視鏡検査を受けるべきですか?

A

大腸内視鏡検査について語る嶋吉先生

一般的に、40歳を超えた方は内視鏡検査を受けたほうが良いとされています。ただし、若くして大腸がんになった家族がおられる方や、お酒やたばこをたしなまれる方は、大腸がんのリスクが高く、30代から受けていただいても早くはないと思います。また、健康診断の便潜血検査で陽性となった場合は、必ず早期に内視鏡検査を受けるようにしてください。便潜血検査陽性の方が内視鏡検査を受けて、大腸がんが見つかる確率は2〜3%といわれていますが、半分程度の方には大腸ポリープが見つかります。大腸ポリープが必ずがんに移行するわけではないのですが、切除することで、大腸がんのリスクの低減が期待できることは研究によりわかっています。

Q大腸がん以外の病気も見つかるのですか?

A

大腸から小腸の入り口付近まで観察できる大腸内視鏡検査では、大腸がんや大腸ポリープの他、炎症性腸疾患と呼ばれる潰瘍性大腸炎やクローン病などの発見に役立ちます。血便や腹痛を訴えて受診された方を検査してみると、虚血性大腸炎だと判明することもありますし、まれではありますが、激しい下痢と血便を訴える患者さんが感染性腸炎を発症しているというケースもあります。また、血便があるという方を検査してみると、痔による出血だった場合もあります。その一方で、血便が続いているのは痔のせいと自己判断されて、大腸内視鏡検査を受けられない方もおられます。血便は大腸がんの典型的な症状の一つなので、早期に検査を受けてほしいですね。

Q注意したい症状を教えてください。

A

症状が現れないことも。小さな変化でも伝えることが大切

血便の他、便通の変化にも注意が必要です。下痢が続く、便秘と下痢を繰り返す、おなかが張るような便秘が続くなど、以前と便の出方が変わってきた場合、おなかの痛みが続く場合は注意してください。よく便が細くなると要注意といわれますが、そうした訴えで受診される方は少ないのが現状です。一方、便通に何の異常もなく、腹痛などもないのに、大腸がんになる方もおられますので、必ずしも明らかな症状が現れるとは限らないことを知っていただきたいと思います。例えば、便潜血反応が陽性にもかかわらず、便に異常がないからと検査を受けない方がおられます。血便はすぐにわかりますが、便潜血は目で見てわからないことも多いので要注意です。

Qどのような治療をされますか?

A

大腸内視鏡検査で直径2cm以内下の大腸ポリープが見つかった場合は、ポリープの下に生理食塩水などを注入してポリープを浮き上がらせた上で、電流で焼き切る内視鏡的粘膜切除術(EMR)などの方法で切除します。一方、ポリープが2cm以上の場合は、治療後の合併症のリスクを考え、別の日に1泊入院あるいは日帰り入院の体制を整えて切除します。当院では内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も可能です。これはある程度規模のある病院を中心に行われている方法で、難易度はあがりますが精度が高く、内視鏡で行うので体への負担が少ないのがメリットです。

Q大腸がん予防のために心がけたいことは?

A

日常のチェックや検査を活用し、何かあれば気軽に相談を

お酒とたばこは大腸がんと明らかな関わりがあるので、過度の飲酒を避け、禁煙をお勧めします。また、血縁の近い方に大腸がんの経験者がおられるかどうかも、確かめておいたほうがいいでしょう。最近は自動で流れる便器もありますが、ちらっとでもいいので便の状態を確かめるようにしていただきたいですね。そして、何より大切なのは、大腸がん検診を受けて、便潜血反応が見られた場合は、必ず大腸内視鏡検査を受けることだと思います。当院でも可能ですし、お住まいの自治体の検診も利用可能です。便潜血検査には、一回の便をチェックする1回法と、異なる日の便を検査する2回法があり、2回法のほうが検査の精度が高いとされています。

患者さんへのメッセージ

患者さんにとって、大腸内視鏡検査は比較的ハードルが高い検査だと思います。当院では、寝ているような状態で検査が受けられるように静脈内鎮静や直径が細い内視鏡を導入するなど、つらい検査にならないように、できるだけ負担の少ない検査の提供に努めています。カメラの性能も高くなっており、細い内視鏡でも検査の精度が格段に向上しています。もし、これまでの検査などでつらい思いや不快な思いをされた経験があるなら、そのことをどうぞ遠慮なく私たちにお聞かせください。これまで多くの患者さんを診てきた経験を生かして、どうすればより負担が軽減できるのかを考え、患者さんと相談しながら検査・治療を進めさせていただきます。

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