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乳児の頭の変形は早めに専門家へ
頭蓋縫合早期癒合症の可能性も

松戸市立総合医療センター

(千葉県 松戸市)

最終更新日:2024/03/21

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  • 保険診療

子育てをしていると子どもの健康への不安はつきもの。特に新生児の間は心配事が多いが、その中でも特に気になるのが頭の形だ。絶壁頭と呼ばれるような後頭部の扁平や、片方に曲がっているなど何かしらの変形があると病気が隠れているのではないかと心配になるが、多くの場合は寝癖による変形で病気の可能性は低いという。しかしまれに頭蓋縫合早期癒合症など重篤な病気が隠れていることもあるため、早期に受診し、病気とわかれば適切なタイミングで治療を行うことが重要だ。全国でも数少ないという小児脳神経外科を標榜する「松戸市立総合医療センター」では、脳腫瘍の他、こうした奇形性疾患にも注力し専門的な診断・治療を行っている。同科の佐々木みなみ先生に、新生児の頭の形に関わる病気とその治療法を聞いた。(取材日2024年2月5日)

小児の頭の変形には病気が隠れていることも。専門家による診断と適切なタイミングでの治療が重要

Q新生児の頭の形に悩むご家族が増えているそうですね。

A

脳脊髄腫瘍や神経外傷を中心に小児脳神経の診療を行う佐々木先生

赤ちゃんの頭の形を気にするご家族は増えていて、頭の形を専門にしたクリニックもあるほどです。新生児の時はもちろん、大きくなるにつれていわゆる“絶壁頭”や形のゆがみが気になるようになり、クリニックを受診されることが多いようですが、私たち脳神経外科の立場からお伝えしておきたいのは、中には病気が隠れていて、早く治療をしないとお子さんの知的発達に影響を及ぼすこともあるということです。そのため、頭の形専門のクリニックを受診する前に、まずは地域の小児科の先生に特異的な病気がないかどうかを診ていただくことをお勧めします。もしも病気が疑われる場合は、専門の医療機関を受診してください。

Q頭の形がいびつだとどんな病気が隠れている可能性がありますか?

A

見逃してはいけない病気の一つに「頭蓋縫合早期癒合症」があります。これは、人の頭蓋骨は皿状の骨がつなぎ合わって形成されていますが、そのつなぎ目である頭蓋縫合が何らかの原因で通常よりも早い時期に癒合し、頭蓋骨の正常な発育が阻害され頭蓋が狭くなってしまうことで頭が変形する病気です。放置すると、変形が残るだけでなく、発達が遅れる可能性や、顔の形がずれることで、噛む、飲み込む、話すといった機能面で支障が出ることもあるため、脳の発達、機能、見た目といった3つの観点から診察し、治療する必要があります。また、脳内の髄液の流れが悪く過剰にとどまることで脳室が拡大する水頭症も疑うべき疾患の一つです。

Qどのような検査を行い診断しますか?

A

一般的には専門家が一目見れば、ある程度は異常があるかどうかの判断がつきますが、正確に診断するためにはエックス線検査、CT検査、MRI検査が必要になります。病気には原因遺伝子が特定されているものとされていないものがあり、遺伝子とは関係ないものについては頭の形だけを治療することになります。一方で、原因遺伝子が特定されているものは、頭だけではなく多発奇形を伴う重篤な疾患の場合も。治療開始が遅れると予後にも影響することから、早期に治療を開始します。ただ、そのような重篤な疾患であるケースは非常にまれですので、心配しすぎず気になれば検査を受けましょう。

Q病気が見つかったときはどのような治療を行いますか?

A

治療の際には小児病棟スタッフがチーム一丸となって患者を支える

手術をするかどうかについては、先ほど挙げたように、知的発達、機能面、整容性の3つの観点から、決定します。手術では骨の形を組み替えることになりますが、その方法はいくつかあり、1つは、骨延長器という特別な機器を使って、頭の短い所や全体を伸ばすことを目的とした特殊な手術。そしてもう1つは1回の手術で頭の形を整えるためのトータルリモデリングという方法で、どちらも一般的に行われています。基本的には外科的な手術が主流になりますが、病気が早く見つかれば大きな手術ではなく低侵襲の内視鏡手術も可能で、内視鏡で中の様子を見ながら骨を切って、その後治療用のヘルメットで頭の形の矯正を図っていきます。

Qこちらの病院の小児脳神経外科にはどのような特徴がありますか?

A

佐々木先生と小児病棟の看護師チーム

私たちは小児の脳神経外科疾患を広く扱っており、中でも、ここまでお話しした頭の形の疾患をはじめとする奇形性疾患の他、脳腫瘍の治療を得意としています。小児脳神経外科は標榜する医療機関もスペシャリストも少ないのが現状ですが、当院では、豊富な人材とPICU(小児集中治療室)8床を含む大学病院並みの設備で専門的な治療を提供しています。病気を発症する背景はさまざまで、必ずしも教科書的な治療が正しいわけではありません。オーダーメイドの治療が非常に重要になる中、宮川正小児脳神経外科部長を中心に、「その子らしく、その子のために」というモットーを忘れず、その子とご家族にとってベストな治療を一緒に探しています。

患者さんへのメッセージ

佐々木 みなみ 小児脳神経外科医長

2016年大分大学医学部卒業後、松戸市立総合医療センター、千葉大学医学部附属病院、千葉県こども病院での勤務を経て、トロント小児病院脳神経外科、マサチューセッツ総合病院脳腫瘍研究室に留学。2023年1月より現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。専門は小児脳神経外科、脳脊髄腫瘍、神経外傷。

お子さんの頭の変形の原因で一番多いのは寝癖で、どちらか片方の後ろ側がへこんでいるのは病気でないことが多いです。しかし、縦長の頭や、頭が大きいまたは小さいなどいびつだと感じたときは乳幼児健診や、近くの小児科で相談してみるとよいでしょう。健診は短い時間で終わってしまうため見つけられないこともあるので、気になっていることがあれば、遠慮せずに聞いてみてください。頭の形自体は手術によって改善が期待できますが、治療が遅くなると、将来的に高次機能の発達に障害を残すこともあります。過度な心配はいりませんが、隠れている病気を見逃さず良いタイミングで治療をするためにも、早めに小児科を受診することをお勧めします。

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