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松戸市立総合医療センター

(千葉県 松戸市)

尾形 章 病院長

最終更新日:2024/06/10

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高度医療と地域医療の双方に全力を傾ける

幅広い機能を持つ、松戸市運営の公立病院「松戸市立総合医療センター」。1993年から同院で外科医療をけん引し、2021年に病院長に就任した尾形章先生は、就任からの3年を「新型コロナウイルスとともにあった」と振り返る。世の中がかつての暮らしを取り戻しつつある中でも、病院に油断の2文字はない。「かからない、うつさない」の原則を徹底しながら、状況に応じて面会時間を長くするなど行動指針をコントロールし、患者とスタッフにとって最善の在り方を探る。同時に、東葛北部の三次救急医療を担う病院として、また松戸市立の病院として、地域で医療を完結するための取り組みにも邁進してきた。同院のこれまでの歩みと現在、および今後の展望について、尾形先生に聞いた。(取材日2024年3月7日)

就任から3年、改めて病院運営の方針をお聞かせください。

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この3年は、新型コロナウイルスとの闘いに明け暮れた年月だったといっても過言ではありません。地域の皆さんの手が回らない部分、敬遠しがちな部分を率先して引き受けることが公立病院である当院の役割と考え、多くの患者さんを受け入れながら一般診療を継続してきました。先の見えない不安な時期、最前線に立って対応してくれたスタッフには感謝の思いでいっぱいです。5類感染症に移行したことで世の中は落ち着きを見せつつありますが、病院では依然として徹底した感染症対策を続けています。日本感染症学会感染症専門医が2人おり、院内での感染症のアウトブレイクを防ぐための取り組みや、アウトブレイクが発生した際に備えた訓練などを進めてくれているのは心強いですね。引き続き、患者さんとスタッフを守るための感染症対策と、スタッフにとって働きやすく患者さんにとって居心地の良い環境づくりのバランスを探りながら病院を運営していきたいですね。

頻発する地震に対して、災害拠点病院としての取り組みは?

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地震がよく発生する時間帯と当院の状況を照らし合わせてみると、ほとんどの地震は私が院内にいない時間帯に発生していることがわかりました。ということは、私がいない間に緊急事態が起きても焦らず対応できる体制をつくらなくてはなりません。現在は、コメディカルの1人が中心となって、毎日定時に訓練を実施しています。院内放送を使い、訓練であることを説明した上で医師やスタッフを招集していますから、よく受診されている患者さんには「またやってる」と思われているかもしれません(笑)。それでも、地域のためには欠かせない、意義のある訓練だと思っています。初動や、患者さんへの伝え方、スタッフ同士の連携の仕方といったところを繰り返し学んで、万が一に備えてほしいですね。

改めて、診療面の強みと特徴についてお聞かせください。

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大きく3つあります。1つは、ハイリスク分娩や新生児治療にも対応する小児・周産期分野です。新生児集中治療室(NICU)、新生児回復治療室(GCU)、小児集中治療室(PICU)を設置し、小児科、小児外科、小児脳神経外科、小児心臓血管外科をそろえて、先天性の疾患や難病にも対応しています。少し前には、院内の有志で「新生児蘇生法(NCPR)」を学ぶ機会を設けました。NCPRは、出生時、胎外呼吸循環に順調に移行できない新生児に対して行う蘇生法です。こうした技術を平時に身につけておくことで、緊急事態に遭遇したときにためらわずに動ける人を増やしたいと思っています。2つ目は、救命救急センターとしての救急医療。今年4月からは精神科のドクターが常駐し、精神的な疾患にも対応します。そして3つ目はがん治療。外科、化学療法内科、強度変調放射線治療(IMRT)を行える放射線科が集学的に治療を行っています。

地域のニーズに合わせて、常に進化しておられますね。

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そうですね。難度の高い手術を手がけてきた外科系では、2023年1月からロボット支援下手術を導入しました。泌尿器科の前立腺がんの治療を皮切りに、大腸、腎臓へと適用範囲を広げています。内科では「どこに行けばいいかわからない」という方のため総合診療科の診療に対応しているほか、糖尿病・代謝 ・内分泌内科、リウマチ科、アレルギー科といったニーズの多い分野は切り分けて対応しています。今後は、高齢化社会において欠かせない、高齢者の慢性疾患への対応も強化していかなければなりません。回復期や慢性期医療を担ってきた松戸市立福祉医療センター東松戸病院が老朽化で長い歴史に幕を引くことになり、当院に複数人のドクターとリハビリテーションスタッフが移ってきますので、彼らの活躍に期待しています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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公立病院としての責務を果たしつつ、高度で専門的な医療の質を維持・向上させていくことがわれわれの使命だと考えます。近隣の病院、クリニックとの連携をさらに強化し、住み慣れたこの地域で完結する医療を今後も提供していきたいですね。変化し続ける世の中において、その時々で求められる医療を柔軟に提供していきたいと思います。また、病院としては、病床にまだ余力がある状態です。新生児科、小児科のスタッフを来年度中に増強し、600床のフル稼働をめざします。患者さんにも職員にも「ここに来て良かった」と言ってもらえる病院づくりに邁進してまいりますので、今後も引き続き松戸市立総合医療センターにご期待ください。

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尾形 章 病院長

1985年千葉大学医学部卒業。1993年に同大学医学部臓器制御外科(旧第一外科)より赴任し、肝臓・胆嚢・膵臓分野など消化器疾患を中心に外科診療に携わる。2021年4月より現職。専門分野は外科一般、肝胆膵の外科および胃の内視鏡外科を中心とした消化器外科、乳腺外科。医学博士、日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。

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