松戸市立総合医療センター
(千葉県 松戸市)
岡部 真一郎 病院長
最終更新日:2025/12/29


スタッフと患者に「選ばれる病院」をめざす
松戸市が運営する公立病院として、救命救急医療と小児・周産期医療を中心に専門性を要する医療を担う「松戸市立総合医療センター」。2017年12月に上本郷から千駄堀に新築移転し、技術面に加えて機能面・環境面も充実した。救命救急センター、周産期母子医療センター、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院、千葉県災害拠点病院の役割も担い、地域医療の要として存在感を発揮している。「少子高齢化で人口減少が進む日本にあって、松戸市を含む東葛北部保健医療圏は中期的に人口の維持が見込まれる地域。医療環境のさらなる発展は不可欠です」と話す、2025年に就任した岡部真一郎病院長。高度医療の継続に向け、どのように同院のかじを取っていくのか。岡部病院長に話を聞いた。(取材日2025年10月27日)
まずは、こちらの歴史からお聞かせください。

当院の前身は、松戸市上本郷で1967年から診療していた「松戸市立病院」です。2017年、老朽化に伴って現在の千駄堀に新築移転し、再スタートを切りました。私は2010年から当院の消化器内科に勤務していますが、移転で設備を一新し、患者さんの動きを踏まえてレイアウトを整備したことで、機能面と療養環境がかなり充実したと感じています。現在は、市民の皆さんの健康の砦を担う公立病院として、救命救急センター、小児医療部門、地域周産期母子医療センターで専門的な医療を提供しています。そのほかにも、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院、地域災害拠点病院としても地域医療に貢献しています。
病院長就任にあたって、どのようなビジョンを掲げられましたか。

人件費や物価の高騰、診療報酬の制約などで医療を取り巻く環境は厳しい状態にありますが、公立病院として必要な医療を公平に提供できる体制を堅持し、地域の発展に貢献していくことが重要です。そのためには、優秀な若い医師や看護師、コメディカルが「働きたい」と思える病院でなければなりません。幸い、当院の強みの一つである救急医療は、小児・周産期医療や国民の健康に重要な影響がある分野として国が力を入れる政策医療の一つです。その上、「社会に求められる医療に携わりたい」「専門性の高い、希少な技術を身につけたい」という意欲を持って入職してくれる若い医師が多いのです。中長期的な病院運営の安定に向け、こうした人材をしっかり育成し、高い技術と当院の理念“すべての人に「来てよかった」と思われる病院を目指す”に対する共感性を併せ持つ医療者を増やしていくことに、力を注いでいくつもりです。
小児・周産期医療や救急医療の特徴をお聞かせください。

当院の周辺では子育て世帯の流入が続いていますが、小児・周産期医療を提供している施設は多くはありません。その中にあって、当院の小児・周産期分野は新生児集中治療室(NICU)、新生児回復治療室(GCU)、小児集中治療室(PICU)を設置し、小児科、小児外科、小児脳神経外科、小児心臓血管外科といった特殊な診療科をそろえて、ハイリスク分娩や新生児治療にも対応できる環境を整えている点が最大の特徴です。また、救急においては、救急救命センターとして東葛地域から救急患者を受け入れるほか、足立区、葛飾区、埼玉県三郷市といった近接する地域からの受け入れ要請にも柔軟に応じています。救急を担う医師の数も豊富で、外傷、ショック、心肺停止、集中治療を専門とする救急医療のエキスパートが多数在籍しているんですよ。行政や救急隊との連携も強化し、全身管理を必要とする患者さんへの対応も非常にスムーズです。
高齢化で増加するがんや整形外科疾患についてはいかがですか。

がん治療では、外科、化学療法内科、強度変調放射線治療(IMRT)が行える放射線科の3つが連携して集学的治療を行っています。近くに専門的ながん医療を提供する病院があるため、当院では高齢者や、慢性疾患を持つ患者さんを診ることが多いですね。整形外科は、専門分野が細分化されていて、背骨、膝関節、股関節など各領域に専門性を持つ医師がそろっています。外傷などで搬送されてくる患者さんへの救急対応と並行して、慢性的な痛みや不具合に悩む患者さんを積極的に受け入れ、適用があれば先進の治療や手術を提案してQOLの改善につなげてきました。特にニーズの多い脊椎・脊髄疾患と人工関節治療については、2011年に専門部門を新たに開設し、より良い治療を提供しています。
ありがとうございました。最後に今後の展望をお聞かせください。

患者さんに信頼され、選ばれる病院であるために、まずはスタッフがやりがいをもって生き生きと仕事に取り組める環境づくりに取り組みたいと考えています。また、診療科ごとの強みや現状をしっかりと把握し、地域の人口動態や周辺病院の状況を踏まえた医療の提供につなげていくことも重要です。そこで、病院長に就任してからはできるだけ各診療科に足を運び、現場の意見を聞く時間を取るようにしています。各診療科の部長にビジョンや注力している点、課題などを聞き、病院としてきちんとフィードバックすることで、持続的な病院運営に向けてすべきことを整理していきたいですね。公立病院として地域に不可欠な医療を柔軟に提供しつつ、高度で専門的な医療の質を維持・向上させることができるよう、引き続き努力を続けてまいります。

岡部 真一郎 病院長
1990年に千葉大学医学部を卒業後、同大学消化器内科学(旧・第一内科学)教室入局。関連病院での臨床研修を経て、千葉大学大学院医学研究科博士課程修了。昭和医科大学江東豊洲病院助手、千葉大学医学部附属病院講師を経て、2010年10月より松戸市立総合医療センターで消化器内科部長を務める。2025年4月より現職。





