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胃がんステージ3に対する
腹腔鏡下手術

松戸市立総合医療センター

(千葉県 松戸市)

最終更新日:2023/07/18

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  • 保険診療
  • 胃がん

⼀昔前に⽐べ、死亡者が減少傾向にある「胃がん」。しかし、⾼齢化もあって罹患者は依然として増加しており、死亡率低下は医学の進歩を背景とした早期発⾒・早期治療のたまものだといえるだろう。早期であれば、体に負担の少ない腹腔鏡下⼿術で対応し、速やかな社会復帰につなげられるが、進⾏がんでも多くの場合治療⽅法の⼀つとして選択が可能だという。同院外科では、消化器がんの中でも特にニーズの多い胃がんと⼤腸がんの専⾨チームを設置。⼿術実績と知⾒が豊富なプロフェッショナルが⼿術を担当することで、より良い予後の獲得をめざしている。外科部⻑として、胃がんチームを率いる⽵内男(たけうち・だん)先⽣に、同院で⾏っている胃がん治療について話を聞いた。(取材日2022年11月11日)

進行度や深さ、大きさなどを総合的に診て適切な術式を決定。できる限り腹腔鏡下手術の可能性を追求する

Q胃がんの予防方法と検査方法について教えてください。

A

多角的に検査を行うという

胃がんを予防するには、塩分の少ないバランスの良い⾷習慣を維持することが⼤切です。また、萎縮性胃炎の原因になるヘリコバクターピロリ菌の検査も受けていただきたいです。ピロリ菌チェックをして感染がわかったら、胃がんがないかどうかチェックの上、除菌治療を⾏います。ただし、除菌したら胃がんにならないというわけではないので、定期的な検査は⽋かさないようにしてください。胃がんの検査は、内視鏡検査や造影剤を使ったエックス線検査で⾏われます。疑わしい病変があれば組織を採取して、顕微鏡で診断する⽣検を実施します。

Q胃がんのステージはどう決まるのでしょうか。

A

胃がんは、がんの深さやリンパ節転移の有無、遠隔転移の有無などの要素によってステージ1から4に分けられます。ステージ1は、粘膜下層までにとどまる早期がんでかつ転移がないものです。筋層にとどまってリンパ節転移がなければステージ1になります。胃がんの深さが筋層までにとどまるがリンパ節転移があるもの、あるいは深さが漿膜下層や漿膜面に達しているがリンパ節転移はないものはステージ2になります。胃がんの深さが漿膜下層や漿膜面に達し、リンパ節転移があるものはステージ3です。胃がんが漿膜面を越えて直接他臓器に浸潤している場合、遠隔臓器に転移しているなどの場合はステージ4です。

Qステージによって治療方法は異なりますか?

A

さまざまな治療法を用いるという

ステージ1の中でがんが⼩さく粘膜に限局している場合は、内視鏡治療を行います。胃の機能が温存されるので、治療前後で食生活に変化はありません。ただしがんの範囲が広かったり、深さが粘膜よりも奥まで及ぶ場合はステージ1でも外科切除を行うことになります。ステージ2、3の場合はステージ1より広い範囲のリンパ節を郭清し、再発する可能性が高そうな場合は、まず化学療法を行ってから切除を行う術前化学療法を選択する場合があります。⼿術前の体⼒があるうちに抗がん剤治療を⾏い腫瘍の縮小を図ってから胃切除を行う方法ですね。ステージ4の場合は、胃切除を行っても病変をすべて取り除けないので、化学療法を選択することになります。

Q腹腔鏡下手術を行うかどうかの判断基準について教えてください。

A

⼿術⽅法は、がんのステージや患者さんの状態を診て総合的に判断して決定します。ステージ1の場合は腹腔鏡下⼿術で治癒が期待できるでしょう。ステージ2、3のがんであっても、傷が⼩さく痛みが少ないこと、術後の回復が早く⼊院期間が短くて済むことなどのメリットがあるため、主腫瘍やリンパ節転移状況や患者さんの状態を加味しつつ、当院では適応があればなるべく腹腔鏡下⼿術を選択するよう心がけています。

Q手術後の流れについて教えてください。

A

がんに対するサポート体制について語る、竹内先生

退院後は定期通院をしていただき、画像検査や血液検査で再発の有無を確認していきます。ステージ1の場合は経過観察のみですが、ステージ2、3の場合はガイドラインに則り、再発予防の術後補助化学療法をご提案します。ステージ2の場合は内服の抗がん剤治療を1年間行うのが標準です。ステージ3の場合は内服薬に点滴薬も加えたプロトコルをご提案します。胃がんの術後経過観察期間は5年が原則ですが、貧血、低栄養、逆流性食道炎、ダンピング症候群などの後遺症が遷延して治療継続が必要な場合が多く、5年目以降でも当院では患者さんの希望により後遺症の治療と併せて5年以降のフォローアップも⾏っています。

患者さんへのメッセージ

竹内 男 外科部長

1995年千葉⼤学医学部卒業、千葉⼤学臓器制御外科学(旧第⼀外科)⼊局。関連病院、学位取得、米国留学、大学での臨床・研究を経て2012年より現職。専⾨は胃外科、肝胆膵外科。

近年胃がんで亡くなる⽅が減少傾向にあるのは、検診による早期発⾒・早期治療の成果と⾔ってよいでしょう。定期的に検査を受け、万が⼀罹患してもできるだけ早期に発⾒できるようにしましょう。早期であれば、内視鏡下切除によって治療後に体の変化がほとんどなく済ませられる場合があり、そうでなくても負担の少ない腹腔鏡下⼿術で治癒が期待できます。当科では、病状や⼿術の説明、さらには⼿術前の説明もすべて担当医が担い、納得していただけるまで時間をかけて⼿術内容や予想される後遺症について説明します。術後も原則の5年にとどまらず、後遺症の不安があるうちは当院できちんと診てまいりますので、ともに胃がんと闘っていきましょう。

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