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松戸市立総合医療センター

(千葉県 松戸市)

佐々木 みなみ 小児脳神経外科医長 の独自取材記事

最終更新日:2024/03/21

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専門的な知識・技術でその子に合った医療を

千葉県内でも大きな規模を誇る地域の基幹病院として、大学病院と遜色のない専門性の高い医療を追求している「松戸市立総合医療センター」。小児医療に注力する同院では、全国でも数少ないという小児神経外科に対応。脳腫瘍や奇形性疾患、神経外傷など、小児の脳神経外科疾患に対する高度な治療を得意とし、小児科や救急科、脳神経外科との協力のもと、24時間365日体制で重傷および最重症患者を積極的に受け入れている。小児神経外科医長を務める佐々木みなみ先生は、脳腫瘍と神経外傷を中心に、あらゆる小児の脳神経外科疾患に対応するとともに、世界標準の治療をめざして日々研鑽を積んでいる。優しい笑顔が印象的な佐々木先生に、「その子らしく、その子のために」を基本ビジョンに掲げ、その子に合った医療を提供する同科の特色、そして小児脳神経外科医としての思いを聞いた。(取材日2024年2月5日)

小児脳神経外科に対応できる病院は少ないと聞きました。

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私たち小児脳神経外科は、脳神経外科の中でも子どもの脳神経疾患を専門にする医師が集結した診療科になります。小児脳神経外科を標榜している病院は全国的に見ても数が少なく、小児脳神経外科を専門とする医師も決して多くはありません。私たち小児脳神経外科は、子どもに関わるすべての分野を扱います。そこが血管障害、腫瘍、脊椎疾患などに細分化されてそれぞれを専門の医師が診る成人の脳神経外科との違いですね。当科では、15歳以下、または15歳までに治療をして今は成人期に移行した人を対象にしており、あらゆる小児の脳神経外科疾患に対応するため、PICU(小児集中治療室)をはじめとする大学病院並みの設備をそろえ、重症もしくは重傷を負ったお子さんの治療にあたっています。患者さんは、千葉県東葛北部地域や都内はもちろん、全国から紹介患者さんを受け入れている他、アジア各国やナイジェリアといった海外から来る人もいます。

先生の専門である脳腫瘍と神経外傷の取り組みについて伺います。

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子どもの脳腫瘍は分類すると何百種類にもなり、正しく診断をしないと適切な治療ができない疾患です。治療も難しく、多くの場合で胃がんや乳がんのように決まった治療法はないため、ガイドラインや先進の研究・論文をもとに目の前のお子さんにとって今どれが適切かをプランニングし、外科的治療、化学療法、放射線治療を組み合わせた集学的治療を進めていきます。手術は宮川正医師を中心に高い専門性を要する手術治療を、放射線治療については地域のがん専門病院との連携で陽子線治療を取り入れ、神経学的な後遺症を最小限にできるような治療を心がけています。化学療法では、遺伝子診断の結果に基づく世界標準の治療をモットーに、すべての治療をするという心構えで、当院でできるところまでは私たちが行うことをめざしています。神経外傷については、専門的な知識と神経集中治療に精通している小児脳神経外科医だからこそできる質の高い治療を追求しています。

小児脳神経外科を専門にされたのはどうしてですか?

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脳神経外科でのトレーニング期間は小児も成人も関係なく診ていましたが、もともと子どもの医療をやりたくて小児科医や救急科の医師になろうと思った時期もあったんです。それを全部合わせたら小児脳神経外科にたどり着きました。この分野の魅力は、いい意味で予想を裏切る回復力を秘めた子どもの神経を扱う点にあります。一見、ちょっと厳しいかなと思われるお子さんでも諦めず、元気になって成長していってほしいと最善を尽くすことが私たちの使命であり、医師としてのやりがいにもなっています。当院の小児医療の魅力はなんといっても小児科領域に強いこと。救急科も充実していて、三次救急施設として多くの救急搬送を受け入れています。他の診療科との協力で、重症や最重症の子どもたちへの治療を得意としているのが大きな特徴ですね。私はそれがやりたくてこの病院へ来ました。

カナダや米国に留学するなど海外でも研鑽を積まれていますね。

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当科では、私も宮川医師も留学経験があり、その経験を生かして、国際的な診療を今も取り入れています。できるだけ世界で行われている治療に引けを取らないよう「世界標準」の治療をめざして、日々の診療に取り組んでいます。症例発表や研究発表も積極的に行い、そこで得た知識を地域に還元していければと思います。小児脳神経外科のミッションは、「きちんと診療をしましょう、研究もしましょう、そしてそれを世界へ発信しましょう、さらに優れた小児脳神経外科医を育てましょう」ということで、「臨床」「研究」「教育」を3本柱に、どれも過不足なく力を入れています。市中病院でありながら大学病院レベルの人材と設備で、世界標準の治療を松戸から発信できるように頑張っています。

最後に、今後の展望と地域の人へのメッセージをお願いします。

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私たちは、私たちの治療を受けた患者さんやご家族がその経験を地域社会に還元し、この国の未来につながっていくことを目標にしています。復学や社会に戻る準備については、医師、看護師、小児科病棟専属のソーシャルワーカー、院内学級の先生、臨床心理士がチームで地域にスムーズに戻っていけるように取り組んでいます。私たちの治療を受けた子どもたちが元気に社会に帰っていくことを一番に考え、これからも小児の脳神経疾患に向き合っていきたいです。小児の脳神経外科疾患は、非常に予後が悪いお子さんから数週間で回復が見込めるようなお子さんまで非常に幅が広いのが特徴です。その上、お子さんやご家族の背景もさまざまであるため、必ずしも教科書的な治療が正しいわけではありません。私たちは基本ビジョンに、「その子らしく、その子のために」を掲げ、その子とご家族にとってベストなオーダーメイドの治療を一緒に探していきたいと思います。

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佐々木 みなみ 小児脳神経外科医長

2016年大分大学医学部卒業後、松戸市立総合医療センター、千葉大学医学部附属病院、千葉県こども病院での勤務を経て、トロント小児病院脳神経外科、マサチューセッツ総合病院脳腫瘍研究室に留学。2023年1月より現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。専門は小児脳神経外科、脳脊髄腫瘍、神経外傷。

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