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60代以上の高齢者に多い
脳卒中の予防と治療方法

独立行政法人地域医療機能推進機構 東京高輪病院

(東京都 港区)

最終更新日:2025/01/22

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  • 保険診療

脳の血管が詰まってしまったり、破れてしまったりするのが脳卒中。日本人の死因の3位で年間約10万人が亡くなっていることに加え、後遺症が残ることも少なくないため注意が必要だ。そんな脳卒中に対して、専門性の高い治療に取り組んでいるのが、「東京高輪病院」。同院の脳神経内科では、脳卒中になったときやくも膜下出血の原因である脳動脈瘤などに対し、血管内に通したカテーテルによって行う血管内治療で、救命や後遺症が少なく社会復帰させることなどをめざしている。そこで、神経内科を専門とする沼尾紳一郎先生と森瀬翔哉先生の2人に、脳卒中の基本的なことや治療方法などについて、詳しく教えてもらった。(取材日2024年11月12日)

予防が大切になる脳卒中。発症してしまった場合には、血管内治療で救命や後遺症の低減をめざす

Q高齢者に多い脳卒中とは、どのような病気ですか?

A

脳卒中について説明する沼尾先生

【沼尾先生】脳卒中には、脳梗塞と脳出血、くも膜下出血などがあります。頭の中の血管に血の塊が詰まり、その先に血液が行かなくなり、脳の組織が壊死してしまうのが脳梗塞です。脳出血は、頭の中の細い血管が破綻して破れてしまい、頭の中で出血する病気です。出血することによって脳の正常な組織がダメージを受け、麻痺や意識障害などが起こります。くも膜下出血は、脳の動脈に小さな動脈瘤と呼ばれるコブのようなものができてしまい、それが破裂することで脳内の圧力が高くなり、意識障害や麻痺を起こします。脳卒中は年齢とともに発症率が高くなり、60〜70代が特に多くなります。

Q脳卒中のリスク要因について教えてください。

A

近年、塞栓症が増えていると話す森瀬先生

【森瀬先生】脳梗塞の要因として多いのが、動脈硬化を起こして細くなった血管に血栓ができる場合。また、近年増えているのが、不整脈の一種である心房細動でできた血栓が脳の血管に飛んできて詰まってしまう塞栓症です。脳出血の場合は8割前後の患者さんが高血圧で、それによって動脈硬化になった血管が圧に耐えられなくなり、破れてしまいます。くも膜下出血の原因となる動脈瘤は、遺伝的な要因のほかに高血圧もあるとされています。つまり、脳卒中の共通したリスクは動脈硬化です。動脈硬化を起こす原因には、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、喫煙や過度な飲酒などがありますので、それらをしっかりと管理することが重要です。

Q脳血管内治療とは、どのようなものですか?

A

【沼尾先生】脳血管内治療とは、手首などの血管からカテーテルと呼ばれる細い管を通して行う治療方法です。脳梗塞の場合には、詰まっている血栓の吸引、あるいは専用の器具を使って血栓を絡め取り、血流の再開を図ります。また、頸動脈が細くなっている場合には、そこを風船で広げて、ステントと呼ばれる金属の筒を置いて、詰まるのを予防するための治療もあります。くも膜下出血の場合は、再出血を予防するために破裂した脳動脈瘤にコイルを入れる治療もあります。また、脳動脈瘤の中にコイルを入れたり、メッシュ状のステントを脳動脈瘤の近くにおき、血流を改変することによって破裂を回避するための、予防的治療も行うことができます。

Q脳血管内治療は、どのようなときに行いますか?

A

MRI検査。一人ひとりに合わせた丁寧な治療を行っている

【沼尾先生】脳血管内治療は、脳梗塞とくも膜下出血の治療で行われます。脳梗塞の場合は、目安として最後に元気だった時点から8時間以内に治療をするのが適応があるとされています。また、最後に元気だった時点から24時間以内なら、MRI画像などを確認した上でカテーテル治療の適応となることもあります。治療後に心配される後遺症は、自力で日常生活を送ることができる状態から、寝たきり、もしくは車いすなど、生活をする上で何かしらの介助が必要な重い状態まであります。だからこそ脳卒中にならないように予防することが大切だと言えるでしょう。

Q脳卒中を予防するには、何に気をつけたら良いですか?

A

定期的に健康診断を受けることが重要だという

【森瀬先生】まずは、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病をしっかり管理すること。そのためには、健診を定期的にしっかりと受けた上で、血圧やコレステロールなどの値を、決められた範囲に管理する。必要な場合には、生活習慣の見直しや投薬などによる治療をしっかりすることが重要です。また、タバコは動脈硬化の一番高いリスクと言われていますし、過剰な飲酒も同様です。さらに、くも膜下出血は40代以降に増えてきますが、脳動脈瘤はMRI撮影などで発見することができます。40代以降は5年に1回、50代以降は2年に1回の検査が推奨されていますし、特に家族歴のある人には積極的に検査を受けることをお勧めします。

患者さんへのメッセージ

森瀬 翔哉 先生

2019年日本医科大学卒業。東京労災病院での初期研修を経て、日本医科大学脳神経内科・脳卒中集中治療科に入局。NTT東日本関東病院や東京労災病院など勤務を経て、2024年より現職。日本内科学会総合内科専門医。専門は脳神経内科一般、集中治療管理、内科一般など。

沼尾 紳一郎 先生

2016年獨協医科大学卒業後、日本医科大学付属病院での初期研修を経て、同病院脳神経内科・脳卒中集中治療科に入局。NTT東日本関東病院勤務や筑波大学附属病院脳卒中科への国内留学などの後、2024年より現職。日本神経学会神経内科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本脳神経血管内治療学会脳血管内治療専門医。専門は、脳卒中、血管内治療など。

【森瀬先生】脳卒中は、発症すると命に関わったり、後遺症が残ったりすることもある重大な病気です。そのため予防が重要ですから、若い頃から健康診断を受けて高血圧や糖尿病、脂質異常症、脳梗塞の原因となる心房細動などがあれば、しっかりと治療を受けましょう。
【沼尾先生】脳梗塞や脳出血はいつ発症するかというのは推測しにくい病気である一方で、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤はMRI検査で確認することができ、予防的な治療も可能です。当院では、救急を含む脳卒中への対応に加え、血管内治療による脳卒中の予防や地域の開業の先生とも連携して生活習慣病の管理にも力を入れています。必要なときには、気軽に受診してください。

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