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救急・手外科・神経外科を3本柱に
他科と連携して質の高い治療を

地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立広尾病院

(東京都 渋谷区)

最終更新日:2024/02/20

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  • 保険診療
  • 腱鞘炎(ドゥ・ケルバン病、ばね指)
  • 手根管症候群
  • ガングリオン
  • 骨折
  • 頸椎症性神経根症

肩凝り、膝の痛み、手のしびれなど、扱う疾患が多様な整形外科。超高齢社会を迎えた今、高齢者はもちろん、在宅勤務の増加などで体の不調に悩む人も増え、その需要はさらに高まっている。「東京都立広尾病院」の整形外科では、地域のニーズに応えるべく高い専門性を持つスタッフが、24時間365日精力的に診療を行っている。中でも力を入れているのが、骨折をはじめとする「救急外傷」、上肢の障害を扱う「手外科」、末梢神経外科と脊椎外科の運動感覚障害を扱う「神経外科」の3つの分野の診療だ。この3本柱について、同科の部長を務める川野健一先生をはじめ、医長の原由紀則先生、程原誠先生、佐藤敏秀先生に詳しく話を聞いた。(取材日2022年9月15日)

救急外傷や上肢の疾患、神経疾患、骨折の後遺症などに対応。精密な診査・診断に基づく精度の高い治療が強み

Q救急外傷の治療における貴院の特徴を教えてください

A

チーム体制によるメリットについて語る程原誠医長

【程原医長】当院の特色は、診療科同士の連携体制が非常に良いことです。これは私が当院に着任した頃から一貫していることで、実は救急、外傷治療においては最も重要な部分だと考えています。例えば、整形外科医だけでは治療ができないケースに遭遇した際、当院では他科の医師が嫌な顔一つせずに協力してくれます。そのおかげで、私たち整形外科医は重症外傷や多発外傷につきものの、開放骨折を含む複雑な四肢外傷、脊椎損傷、骨盤骨折、腕神経叢損傷などに対しても、集中して対応することができています。こうしたチーム体制が整っているからこそ、患者さんにも安心して治療を受けていただけるのではないかと思います。

Q手外科で扱う病気にはどのようなものがありますか?

A

川野健一部長によると、緊急手術が必要な場合もあるという

【川野部長】上肢の肘関節以下の部位の疾患を扱います。救急科外来では、切り傷、骨折、腱断裂、神経断裂、血管断裂などの外傷を診療しており、皮膚が切れて骨折部が露出した開放骨折などは、緊急手術が必要になります。
【原医長】一般外来では慢性的な手の痛みを引き起こす腱鞘炎や関節の変性疾患なども治療しています。手の麻痺を生じる神経障害やガングリオンを含めた腫瘍や類似疾患も守備範囲です。

Q末梢神経外科の分野ではどんな診療を行っていますか?

A

末梢神経の分野について語る原由紀則医長

【川野部長】交通事故が原因で生じる重篤な末梢神経麻痺に、腕神経叢損傷があります。当院は1980年代からこの治療を行っており、現在は神経外科の中に末梢神経外科専門の外来を設け、手外科を専門とする4人の医師が神経損傷後の上肢の機能再建術を行っています。
【原医長】ほかに、手根管症候群、前骨間神経麻痺など末梢神経疾患の紹介も多いですね。一般的に神経疾患は、他の整形外科疾患と比べて診断が難しいこともあるのですが、丁寧な診察に加え、画像検査や電気生理学的検査なども行いながら適切な障害部位診断を行っています。豊富な経験をもとに、手術だけにこだわらず一人ひとりに最適な治療を提供できるよう努めています。

Q骨折の後遺症に対して、こちらではどんな治療ができますか?

A

【程原医長】数が多いのは、骨折した部分の骨が癒合しない「骨癒合不全」。骨は癒合したものの、変形している「変形癒合」も治療対象ですが、近年は骨折の治療技術の進歩によって減っています。また、難治性の高いものとしては「骨髄炎」があります。これは骨折の治療中などに、骨の髄の部分に細菌が入り込んでしまい、皮膚に瘻孔(穴)ができて骨の髄から膿が出続けてしまうというもの。いずれの病態も、治療に非常に時間がかかることがあるので、まずは患者さんとの話の中で、その方がどういったことに困っているのかを知り、そこからより良い治療を選択したいと考えています。

Q超音波を使用したブロック注射とはどのようなものですか?

A

痛みの緩和について語る佐藤敏秀医長

【佐藤医長】頸椎の神経根が圧迫されて生じる頸椎症性神経根症は、肩甲骨から上肢にかけて痛みやしびれが出ます。こうしたケースでは痛みのある部位の神経付近に麻酔薬を注射し、痛みの緩和を図ります。その際、身体所見やMRIを用いて原因となる神経を確認した後、首に超音波を当てて、注射針をリアルタイムで確認しながら薬液を注入することができます。これにより、危険な血管を避けて適切な位置に麻酔を打ちやすくなるのです。痛みも少なく診察室内で行うことができますので、患者さんの負担を軽減できるのがメリットといえるでしょう。

患者さんへのメッセージ

川野 健一 整形外科部長

1991年東京大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院整形外科へ入局。湯河原厚生年金病院、東京都立府中病院などに勤務。1997年より東京大学整形外科助手。博士号取得後、JCHO東京高輪病院整形外科部長などを経て2016年より現職。医学博士、日本整形外科学会整形外科専門医、日本手外科学会代議員、日本末梢神経学会評議員。30年にわたる大学病院での臨床経験から、情報提示しつつ患者に寄り添った診療をめざす。

原 由紀則 整形外科医長

1996年山梨医科大学卒業後、東京大学医学部附属病院整形外科に入局。静岡県・茨城県・長野県・千葉県の各地で一般整形外科についての研鑽を積む。2003年から末梢神経外科を専門分野とし、本格的に修練を開始。同大学医学部附属病院での勤務後、2011年から東京都立広尾病院で末梢神経外科を中心とした診療を行っている。

程原 誠 整形外科医長

1997年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、東京都立多摩老人医療センター、西埼玉中央病院、日立総合病院、帝京大学医学部附属市原病院整形外科、東京都立墨東病院救命救急センターを経て、2006年より東京都立広尾病院整形外科に勤務。2010年より現職。救急、外傷治療を担当し、特に難治骨折治療やリング型創外固定器などを用いた変形矯正治療を専門とする。

佐藤 敏秀 整形外科医長

2004年自治医科大学卒業。東京都立府中病院で初期研修後、小笠原・伊豆諸島の島嶼診療所勤務。その後、東京都立駒込病院、町田市民病院、日本赤十字社医療センターを経て、2018年より東京都立広尾病院勤務。専門は脊椎一般。救命救急センターでの重度多発外傷の脊髄損傷から骨脆弱性骨折まで、脊椎外傷を多く診療。島嶼での「一人診療所」ならではの経験も生かしながら、患者の生活背景を考慮した治療を心がける。

当院は重点医療機関として、スタッフ一丸となって新型コロナウイルス感染症の診療に取り組んできました。そのため一時期は、救急診療や手術の中止、一般病棟の縮小を余儀なくされ、従来の診療ができませんでした。しかし現在は一般診療も徐々に拡大し、元の病院機能を取り戻しつつあります。健康寿命を延ばすためには、早期診断・治療が欠かせませんので、急なけがはもちろんのこと、少しでも手足のしびれや関節の痛みなどがあれば、遠慮なくご相談ください。必ず手術が必要なわけではなく、患者さんと一緒にその方の症状や希望に合った治療を提供できるよう、かかりつけ医と密に連携しながら、診療を行っていきます。

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