全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,944件の情報を掲載(2026年9月01日現在)

  1. TOP
  2. 岐阜県
  3. 岐阜市
  4. 西岐阜駅
  5. 医療法人澄心会 岐阜ハートセンター
  6. 難治性高血圧の新しい治療 カテーテルを使った腎デナベーション

難治性高血圧の新しい治療
カテーテルを使った腎デナベーション

医療法人澄心会 岐阜ハートセンター

(岐阜県 岐阜市)

最終更新日:2026/08/31

Mt2 main z73638 20260803 084Mt2 main z73638 20260803 084
  • 保険診療
  • 高血圧症
  • 心不全
  • 脳卒中
  • 心筋梗塞

心不全や脳卒中などさまざまな病気の原因となる高血圧。これまで高血圧の治療は、減塩や肥満の改善、禁煙、適度な運動、飲酒の制限といった生活習慣の改善と薬物療法が中心だったが、そこに新たな治療の選択肢として登場したのが、腎デナベーション(腎交感神経除神経術)だ。この治療は、難治性の高血圧患者を対象にしたカテーテル治療で、血圧の改善や降圧薬の減量が期待できるという。循環器疾患の専門病院である「岐阜ハートセンター」もこの治療を導入し、医師や看護師、薬剤師、管理栄養士による腎デナベーションチームが、適切に診断し治療を進めている。そこで、同院の心不全センター長の中川正康先生と副院長の大久保宗則先生に、腎デナベーションの概要を聞いた。(取材日2026年7月27日)

複数の薬を飲んでも改善しない難治性高血圧に対するカテーテル治療で、薬の減量や合併症のリスク軽減に期待

Q腎デナベーションはどんな治療ですか?

A

左から、中川正康先生、大久保宗則先生

【中川先生】高血圧はこれまで、生活習慣の管理や服薬によって治療してきましたが、そこに加わる新しい治療法が腎デナベーションです。高血圧の一因として、腎臓の動脈の周りにある交感神経が過剰に働き、血圧を上昇させることが関与しています。この治療は、太ももの付け根からカテーテルを入れ、腎臓の動脈まで進め、超音波あるいは高周波のエネルギーを送ることでその神経の活動抑制を図り、血圧の上昇の抑制をめざすものです。
【大久保先生】腎デナベーションは、カテーテルを用いて行う低侵襲な治療で、合併症が少なく安全性により配慮しながら行える治療の一つといわれています。傷も小さく、比較的短時間で治療ができるのが特徴です。

Qどのような人が対象になりますか?

A

同院では高血圧の外来を設置し、専門の医師が診察を行う

【中川先生】生活習慣の改善を行い、なおかつ3種類以上の降圧薬を適切に内服していても血圧が下がらない人が対象になります。また、お薬の副作用が心配な方や、お薬の飲み忘れなどでしっかり内服するのが難しい方、あるいは血圧の変動が大きくて日常生活に不安を感じている方なども治療の対象になる可能性があります。一方、腎機能が高度に低下している方や合併する疾患の病状などにより、適応とならない場合もあります。薬がどんどん増えていってつらい、血圧がなかなか下がらない、今後の脳卒中や心臓病が心配だという方は、一度かかりつけの先生にご相談ください。

Q受診のタイミングや方法を教えてください。

A

先進の機器をそろえ、迅速に検査できる体制が整う

【中川先生】まずはかかりつけの先生に相談をしましょう。当院には高血圧を専門に診療する外来があるので、近隣にお住まいの方はそちらを受診していただくこともできますが、基本的には、かかりつけの先生を通じて当院を受診していただいたほうが、それまでの治療の経緯などが正しく伝わり、検査や治療方針の決定がスムーズです。受診後は、一般的なエックス線検査や心電図、CT検査のほか、高血圧に関する特殊な血液検査や尿検査、腎臓の動脈の形に異常がないかを調べていきます。また、重要なのが24時間血圧計を使用した血圧の測定で、診察室やご自宅での日中の血圧だけではなく1日の血圧の変動を調べる検査が必須になっています。

Q基本的な治療の流れと入院期間を教えてください。

A

術後も早期に社会復帰が見込める

【大久保先生】入院期間は2泊3日から3泊4日ほどが目安となります。外来での検査で治療が適していると判断された方には、治療の前日に入院していただきます。治療の当日は、カテーテル治療に伴い少し痛みを感じることがあります。そのため、痛みを和らげるためのお薬を前もって使いながら、足の付け根からカテーテルを挿入し、治療をしていきます。手技自体の時間は1時間程度で終わります。治療の翌日、体調に問題点がないことが確認できれば、その日、または翌日に退院になります。

Q腎デナベーションをすれば薬は飲まなくてよいのですか?

A

【大久保先生】腎デナベーションは、治療後1年、2年と時間がたつにつれて血圧の低下作用が期待でき、ゆっくりと安定した状態をめざしていく治療です。治療直後から血圧がどんと下がり、これまで血圧の薬を飲んでいた方がまったく薬を飲まなくてもよくなるという治療ではないため、これまでどおりに薬を飲み続けることが大前提になります。期待できる変化としては、これ以上薬を増やすことなく血圧を管理できることや、血圧が高いことによって引き起こされる脳卒中や心筋梗塞、心不全などの予防に役立つことが期待されます。結果として、健康寿命の延伸をめざす治療といえます。

Q東海エリアではどこで受けられますか?

A

経験豊富な医師とスタッフがそろい、適切な診療体制の整備が整う

【大久保先生】愛知県、三重県に数ヵ所、岐阜県では、当院を含め数ヵ所が治療を実施していくと思われます。今後、実施施設は増えてくると思いますが、当院には、高血圧治療で非常にたくさんの実績を持つ医師がそろっています。またカテーテル治療は私たちの得意分野であり、質の高い治療の提供を追求しています。
【中川先生】当院では2025年4月から2026年3月までの期間に種々のカテーテル治療を1445件施行しており、県内でも多くの実績を誇ります。患者さんの肉体的、精神的な負担の軽減をめざし、不安なく治療を受けられるようにするためのチーム体制を整えていますので、安心して治療を受けていただければと思います。

Q治療後、定期的に通院をする必要はありますか?

A

地域の医療機関とも密に連携を取り、術後のフォローも丁寧に行う

【中川先生】治療後も血圧の経過をきちんと追っていく必要があります。治療をしたからといって元の不適切な生活習慣に戻して良いわけではありませんから、引き続き生活習慣の管理とお薬をきちんと飲んでいるかを、かかりつけの先生とともに当院の高血圧専門の外来でフォローアップさせていただきます。この外来では、難治性の高血圧の患者さんに対して腎デナベーションの適応を適切に判断します。過剰な治療をするのではなく、必要な人に必要な治療を提供しています。きちんと精査させていただき、適切な治療を行っていますので、お困りのときはご相談ください。

患者さんへのメッセージ

【中川先生】高血圧は心臓や大動脈などにいろいろな悪影響を及ぼします。腎デナベーションの適応を判断する過程で、心臓や血管の病気がないか検査も行いますので、異常があればそちらの治療も併せて受けることも可能です。今の治療に不安を感じている方はぜひ一度ご相談していただければと思います。
【大久保先生】腎デナベーションは、時間の経過とともに血圧の改善が期待できる治療として、2026年3月に日本でも保険適用となりました。今後、より多くの方がこの治療を受けていただけるようになっていくと思われます。高血圧治療の一つの選択肢として、安心して選んでいただける治療になると確信しています。

access.png