医療法人敬愛会 西宮敬愛会病院
(兵庫県 西宮市)
嶋吉 章紀 消化器内科部長 の独自取材記事
最終更新日:2025/04/25


病状や希望に応じたフレキシブルな検査を
阪急神戸線の西宮北口駅から徒歩圏内にあり、便利な立地の「西宮敬愛会病院」。2023年12月に新設された「低侵襲治療部門COKU」で2024年4月から診療を開始したのが、「内視鏡部門」だ。消化器内視鏡検査は、その必要性をわかってはいるものの、受診の手間や痛みなど不安から気が進まない人も多い検査の一つだろう。同部門には、高度急性期病院で内視鏡診療に携わってきた嶋吉章紀消化器内科部長のもと、経験豊富なスタッフが集結。先進的な診療環境で患者の負担軽減を大事にする、同部門ならではの内視鏡検査をめざしている。「これまでの経験を生かせる当部門ならではの内視鏡検査や消化器内科診療に、手応えを感じています」と笑顔を見せる嶋吉先生に、診療内容や検査の実際、日々の診療で大事にしていることなどを詳しく聞いた。(取材日2025年3月21日)
内視鏡部門の診療内容を教えてください。

消化器の内視鏡検査、いわゆる胃カメラと大腸カメラを軸に、消化器症状の診察にも広く対応しています。「低侵襲治療部門」として、内視鏡検査では質の高い検査を、患者さんの負担が少なく、楽に受けられることを重視。検査機器の性能や検査の技術はもちろん、検査前後の処置や短期入院などのサポート、受診のしやすさなどにもさまざまな工夫があります。また検査を希望される方では、腹痛や下血など、気になる症状がある場合も少なくありません。私はこれまで急性期病院で、緊急性の高い消化器疾患の診察や専門的な内視鏡治療にあたってきました。ですので、診察の上、内視鏡より先にCT検査を行う、消化器以外の病気が疑われればほかの診療科と連携するなど、病状に応じた判断や対応も大事にしています。高水準の内視鏡検査が受けやすいだけでなく、受診された方に適切な診断をつけ必要な治療へスムーズにつなげていくことも、当部門の役割だと考えています。
苦痛の少ない検査のために、どのような点を工夫されていますか?

胃カメラ、大腸カメラともに、カメラを挿入する際には痛みや不快感を経験したことのある方もいるでしょう。当部門ではご希望があれば鎮静薬を使いますし、過去に薬が合わなかったという方には別の薬を選定。うとうとした状態で検査を受けていただけるよう工夫しています。胃カメラは、口から入れる場合も直径の細い経鼻カメラを使いますので、違和感が少ないと思います。また、胃や腸で腫瘍やポリープなどが見つかった場合、クリニックによっては処置ができるサイズや数に限度があり、あらためて大きな病院へ紹介になる場合もあるでしょう。ですが、当院には入院環境がありますし、私は以前、病院で紹介を受けた患者さんを治療する側でしたので、当部門では私が内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行います。原則は1泊2日の短期入院ですが、ご希望や病状によっては日帰り手術も選べるようにしています。
では、大腸内視鏡検査についてはいかがでしょうか?

大腸でもなるべく寝ている間に検査が受けられるように、ご希望に合わせて鎮静薬や鎮痛薬を併用します。また大腸カメラの挿入では、当院では水浸法といって水流とともにカメラを送り込む方法を採用。滑りが良いので、痛みの軽減に手応えを感じています。さらに、撮影時に腸を膨らませるのに、空気ではなく体内へ吸収されやすい炭酸ガスを使います。内視鏡検査に続いてCTを撮ることもありますが、短時間で膨らみが治まっている様子が画像からも確認できます。それから、大腸カメラでは検査前に下剤を飲んで腸をきれいにしますが、ご自宅を希望される方には事前にわかりやすい説明を行いますし、院内には下剤を飲む専用のスペースや個室もあります。特に強い不安がある方は、前日の夜から検査入院をして、サポートを受けつつ下剤を飲むこともできます。
こちらでご勤務されて約1年、現在の思いをお聞かせください。

私は医師になって間もない頃に内視鏡治療と出会い、自分の目と手で診断して治療ができる達成感や、手技の奥深さに魅了され、ライフワークとして取り組んできました。ですので、自分が良いと思える診療を、患者さんにとって良い環境で受けていただきたいとの思いで、当院に就職しました。大きな病院では治療や検査の方法が定まっていることもありますし、受診の手間や待ち時間、入院期間などで患者さんの希望や利便性を優先できないことも。ですが、当部門では安全性を遵守しながら、病状や患者さんのニーズに合わせたフレキシブルな診療、一歩進んだ医療に取り組んでいます。特に内視鏡は検査から入院治療までほぼ私が担当しますので、別の病院で再度診察や検査を受ける手間や費用面でのロス、「誰が手術するのだろう」という不安も少ないと思います。この環境を生かすためにも、患者さんのお話や表情をよく見て、ご希望や不安をくみ取る診療を心がけています。
検査や受診をためらっている方にメッセージをお願いします。

内視鏡検査自体は基本的には鎮痛薬を使いますし、当部門では苦痛が少なく安全に検査を受けていただくためにさまざまな選択肢を用意しています。私自身は急性期診療も長く経験しており、必要に応じてCTや血液検査も院内で実施できますので、症状がある方も安心して受診してください。また、「病院が苦手」という方も多いと思いますが、せっかくハードルを乗り越えて来ていただいたのですから、嫌な思いや不快な状況は極力避け、穏やかな気持ちで心地良く過ごしていただける対応をスタッフの共通認識にしています。当院は交通の便の良い西宮北口駅から近く、前日まで予約が可能な24時間のウェブ予約システムもあります。予約枠が多く予約も比較的取りやすいようです。そのせいか「初めて内視鏡検査を受ける」という方や、30~40代、中には20代の若い患者さんも結構多いですよ。もし気になる症状があるのでしたら、ぜひ来ていただければと思います。

嶋吉 章紀 消化器内科部長
2009年大阪大学医学部卒業。東大阪市立総合病院、大阪大学医学部附属病院、関西労災病院、大阪警察病院、近畿中央病院などで消化器内科の診療や内視鏡治療に従事。精度の高い手技と患者のニーズに応える診療がモットー。趣味の庭仕事では、子どもと収穫を楽しむ。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本肝臓学会認定肝臓専門医、日本内科学会認定総合内科専門医。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査/胃:2万円、大腸:3万2000円