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独立行政法人国立病院機構 長良医療センター

(岐阜県 岐阜市)

加藤 達雄 院長

最終更新日:2024/06/13

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時代に応える医療で患者とその家族を支える

長良病院と岐阜病院が統合し開設された「長良医療センター」は、岐阜の象徴的な風景といえる金華山と岐阜城を望む、長良川からほど近い立地に位置する。昭和初期創設の岐阜市立の診療所を始まりとする100年近い歴史の中で、時代に求められる医療を提供し続けてきた同院。岐阜市はもとより県内外に暮らす人たちの健康的な生活を支えている。豊富な診療科を備えるが、中でも力を入れているのが小児科と小児外科および呼吸器内科と外科の専門的な診療、重症心身障がい者医療。前身の2つの病院の特色を色濃く継承し、2023年1月からは緩和ケア内科の診療を開始するなど、少子化が進み高齢多死社会を迎えた現代に必要とされる医療の提供にも積極的に取り組む。2024年4月には加藤達雄院長が就任したのを機に、「その人らしく『生きる』を支える」を新たな理念に掲げた。新たな一歩を踏み出した同院の歴史や強み、今後の展望について、加藤院長に話を聞いた。(取材日2024年5月7日)

こちらの病院の歴史や特徴をお聞かせください。

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当院は、1927年開設の長良病院と1939年開設の岐阜病院という2つの国立病院の統合により開設された病院です。長良病院では主に小児科・小児外科、重症心身障がい児などを診療し、対して岐阜病院は肺や循環器といった胸部疾患、結核の診療が専門でした。前身の流れをくみ、小児科と重症心身障がいの診療、呼吸器疾患の領域は、現在も当院の診療の柱であり、専門性を生かした診療で地域医療に貢献してきました。2020年以降は国立病院機構の方針に則り、新型コロナウイルス感染症患者の診療にも積極的に取り組みました。そんな当院では近年、一つの転機を迎えました。2021年、産科の医療資源の集約・重点化の推進を受け、診療の柱の一つであった周産期医療を終了。2023年に緩和ケア病棟を開設し、緩和ケア内科を新たな診療の柱に据えました。そして2024年4月には「その人らしく『生きる』を支える」という理念を新たに掲げたのです。

新たに掲げた理念にはどのような思いを込めたのでしょうか?

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当院の診療の柱である呼吸器疾患は、必ずしも完治するものばかりではなく、肺がん患者さんの中には就労しながら外来で治療を続ける方もいらっしゃいます。小児の神経・筋疾患、あるいは発達障害なども「付き合っていく」意味合いが大きいといえます。障がい者病棟の患者さんも、障害があることは不便だけど、決して不幸ではないと感じられるようにチームで支えていきたいです。緩和ケアも、患者さんやご家族が抱える痛みや苦しさに寄り添うための医療です。病気や障がいのある人やご家族に寄り添い、支えることは当院の柱となる診療に通底する姿勢といえるでしょう。緩和ケア内科の診療スタートを機に、新たに理念として掲げるのに最もふさわしいフレーズはどんなものかスタッフ一同で意見を交わし、最も賛同のあったものを採用しました。どんな病気、障がいがあっても、その人らしさをかなえていける、そんな医療を提供していきたいという思いを示しています。

呼吸器や小児、重症心身障がいの診療の強みをお聞かせください。

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呼吸器に関しては疾患を絞らず、全般の診療に対応できる体制を整えています。外科治療にも力を注ぎ、京都大学医学部から常勤医師を招き、胸腔鏡を用いた肺がんの低侵襲手術に対応しています。2024年度は間質性肺炎の診断に役立つクライオバイオプシー(凍結生体組織検体採取)の導入や放射線治療機器の更新も予定するなど、診療内容のアップデートにも取り組んでいます。小児科では、てんかんなどの小児神経疾患やアレルギー疾患に加え、近年相談数の多い発達障害に関する診療にも力を入れています。地域の開業医の先生方からの紹介も多く、地域からの信頼も厚いと自負しております。また重症心身障がいのある方の中には当院を暮らしの拠点とする人もいらっしゃいます。そういった方の受け皿としての機能を果たすべく力を尽くしています。

緩和ケア内科の診療にはどのような特色がありますか?

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患者さんとご家族が最期の時間を安らかに、気疲れせず過ごせる環境にしたいと考え、病室はすべて個室仕様とし、広々としたホテルのような造りにしました。患者さんが過ごすベッドは脈拍や呼吸の状態をモニタリングするセンサーが搭載されており、医療機器で患者さんを拘束するようなこともありません。医師や看護師も熱意のある人材がそろっているのも自慢です。特に看護師は緩和ケア病棟を立ち上げることが決まった際に自ら志願した人たちで、ありがたいことにご遺族から感謝のお言葉をいただく機会もあります。緩和ケア病棟は、すなわち最期の時間を過ごす場と捉える人も少なくないかと思いますが、病棟での緩和ケアを経て自宅に戻り、最期の時間を迎えるということも可能です。病院と自宅を行ったり来たりすることも、終末期の在り方の一つではないでしょうか。緩和ケア病棟という受け皿ができたことが、選択の幅が広がるきっかけとなれば幸いです。

今後の展望をお聞かせください。

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まずは既存の診療の柱のさらなる充実を図り、緩和ケアの成長も促していきたいと考えています。診療がスタートして1年余りが経過した今も名古屋市立大学精神科の医師を招き、薬剤の扱い方やグリーフケアの指導を受けるなどしてノウハウを蓄えているところです。また、長年力を注いできた地域連携も今後一層の充実を図っていく考えです。加えて、住民の皆さまに対する情報発信や啓発に今後も力を入れていきたいと考えています。数年前から取り組んでいる「どう生(逝)きるかい(会)」と題した講演は、最期の時間をどのように迎えるかを考えるきっかけになればと行ってきました。元気なうちに最期の時間について考え、思いを言葉にしておくことは、ご本人だけでなく残されるご家族が後悔のない選択をする上で欠かせないものでもありますから。将来的には、柱となるそれぞれの診療のエッセンスを織り交ぜた、より独自性のある診療も展開できたらと考えています。

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加藤 達雄 院長

1987年岐阜大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院第一内科入局。岐阜県立岐阜病院(現・岐阜県総合医療センター)や、国立病院機構岐阜病院の呼吸器内科で研鑽し、国立病院機構岐阜病院と国立病院機構長良病院の統合後は長良医療センターに勤務。2022年に同センター副院長に就任し、2024年より現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医、日本感染症学会感染症専門医。

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