患者の“あったらうれしい”に応える
荘病院ミライプロジェクト
医療法人財団 仁寿会 荘病院
(東京都 板橋区)
最終更新日:2024/11/25
- 保険診療
- 自由診療
女性の人生の中で何度とない妊娠・出産。赤ちゃんの誕生は大イベントであり、求めるかたちやこだわりポイントは人それぞれだ。板橋で101年の歴史を持つ「荘病院」では多様化する妊娠・出産のニーズに応えるため、「荘病院ミライプロジェクト」を開始。患者がうれしいサービスとは何かを多職種で考え実現し、選ばれる病院としてあり続けることをめざす。家族3代同院を出産場所に選んだという人も多く、地元ではなじみのある同院。地域のお祭りでは同院で生まれた子たちが集まり、その成長ぶりに医師が目を細める姿は地域密着の産婦人科ならではの光景だ。同院の第2章のスタートとも言えるプロジェクトについて荘慎太郎先生、看護主任の平野美香さん、看護師の関口千代路さん、栄養士の川奈部真衣さんに話を聞いた。(取材日2024年10月30日)
目次
101年の歴史の中で培った知見を生かし、時代に合った妊娠・出産のニーズに応えるプロジェクトに注力
- Qプロジェクト発足の背景や、概要を教えてください。
- A
【荘先生】当院は2024年に開院101周年を迎えました。100年以上続けてこられたのは、今まで通ってくださった患者さんがいて、地域の皆さまからのご信頼があってのことです。一方で新しいクリニックと比べると、今の時代に合わせて設計されたハード面や患者さんのニーズに合ったサービスといった点で差が生まれてしまっているのが現状です。そこで今まで培ってきた知見を生かし、より患者さんのニーズに応えられる病院にしようということで、「荘病院ミライプロジェクト」を開始しました。一度来た人が「また来たい」と思える病院づくりとともに、産婦人科を探している人が「荘病院に行ってみたい」と思える病院づくりをめざしています。
- Qプロジェクトはどのようなメンバーで構成されていますか。
- A
【荘先生】多角的な視点が持てるように、医師、看護師、助産師、管理栄養士、医療事務に加えて、マーケティングに長けている外部スタッフの協力を得て、多職種でプロジェクトを進めています。さらにその中で、産後の退院時のギフトをよりお母さんたちにとってうれしいものにするためのチーム、当院の魅力をSNSを使って発信するチーム、患者さんが快適に過ごせたり入院生活が楽しくなったりするように環境を整えるチーム、お食事のメニューや食器をリニューアルするチームに分かれ、それぞれが得意なこと、やってみたいと思うことに取り組んでいます。また、患者さんが看護に何を求めているかという観点から産後ケアもスタートしました。
- Q現在の取り組みで、特に力を入れていることはありますか。
- A
【平野さん】1つはSNSの活用です。妊娠・出産の相談のための外来や、マタニティフォト撮影会のお知らせ、お食事やフォトブースなどの写真を発信し荘病院の様子をお伝えしています。また、患者さんからのアンケートで頂いたうれしいお言葉を掲載することで、病院選びの参考になればと思っています。もう1つは退院時のギフトのベビードレスで、当院の助産師が赤ちゃんとお母さんのことをイメージしながら型紙から作り上げました。小さく生まれた赤ちゃんでも着心地が良い設計になっているほか、肌着と一体型なので初めてのお母さんも楽にお着替えができるようになっています。縫い目もレインボーカラーでとてもかわいらしく仕上がっています。
- Qお祝い膳の内容も変えられたそうですね。
- A
【川奈部さん】お祝い膳に関しては今まで洋食と和食から好きなほうを選んでいただいていましたが、それによってオペレーションが煩雑になってしまったり、食材のクオリティーを上げにくいといった課題がありました。そこでメニューを1つに絞り、デザートの盛り合わせをつけるなど内容を一新しました。食器もこれまでほとんどがメラミン製のものだったのに対して陶器のものを使用することで、見た目でもおいしさを感じてもらえるように工夫をしています。また、レシピを知りたいという方には、簡単な手作りのレシピ集にちょっとした一言メッセージを書き添えてお渡しするようにしています。
- Qプロジェクトに取り組むことで何か変化はありましたか。
- A
【関口さん】プロジェクトが発足され、活動して良かったのは、いろいろな職種を超えて話す機会ができたことです。今までは、もっとこうしたい、これってどうしてなのかなと思っても提言する場がありませんでしたが、みんなで解決策や、こうするほうが患者さんは喜ぶんじゃないかと話を重ねていく中で、それぞれが病院に対してどんな思いを持っているか、患者さんにどういう姿勢で接しているのかが見えるようになりました。結果、チームワークがさらに強まり、みんなで同じ方向を向いて歩み出すことができました。101周年にして当院が大きく変わろうとする中で、職員も楽しみながら協力し合うことが、良い医療や看護につながると思います。
- Qどんなゴールをめざしていかれますか。
- A
【荘先生】できる限り患者さん一人ひとりに対応できる病院をめざしていきたいと考えています。一度ご評価いただけたとしてもそれを維持するだけでなく、さらにその先に目を向けニーズをキャッチアップしながら、何が目の前の患者さんにとってベストなのかを常に考えられる組織でありたいです。 「荘病院で診てほしい」「荘病院で産みたい」と思ってくれる患者さんが途切れることなく、多くの患者さんにとって当院がより良いチョイスであり続けるために、歩みを止めず進んでいきたいです。そして、組織が続いていくことで地域にも還元でき、職員の仕事に対する満足度も上がり、みんながハッピーになるという好循環が生まれればいいなと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは正常分娩/59万円〜