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医療法人財団 仁寿会 荘病院

(東京都 板橋区)

荘 隆一郎 院長

最終更新日:2023/11/09

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知識と経験、優しさで女性の健康を支える

1923年にこの地で荘隆一郎院長の祖父が開業して以来、100年変わらず伝統の温かさと優しさあふれる診療を続けてきた産婦人科病院の「荘病院」。医師は全員、慶應義塾大学医学部産婦人科教室出身で、4Dエコーなど先端の機器を使用しながら、出産を迎える母親や家族に安心感を与えられるお産に努めている。知識や技術、経験の豊富さに加えて、医師や看護師、助産師などすべてのスタッフが患者に身内のように接する温かさが印象的な同院。そんな居心地の良さから、親子代々で出産をする家族も多い。医師と患者のコミュニケーションを深めるための主治医制や母子別室といったサービスや食事のおいしさも人気の理由のようだ。「患者さんが笑顔で退院できるように、職員も毎日笑顔でいます」と穏やかな表情で話す荘院長に、病院の近況を聞いた。(取材日2023年7月12日)

こちらでのお産の特徴を教えてください。

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当院では、高齢出産の増加に伴い、お産の進行が遅い場合の帝王切開のハードルは低くしています。つまり体に負担のかかるような無理なお産はなるべくしないということ。当院の医師は皆、緊急の帝王切開にも慣れているので、夜間でもすぐに対応でき麻酔をかけて赤ちゃんが出てくるまでに数分ということもあります。基本的には主治医制で、妊娠初期から時間をかけて信頼関係を築き分娩に臨みますが、何か気になることがあるときは職員皆で相談し、手が空いている者が分娩をサポートすることも。看護師よりも医師のほうが多くて妊婦さんに驚かれたこともあるほどです。最近、ストップしていた立ち会い出産を再開しましたが、始めてみるといいものですね。妊婦さんと一緒に呼吸をしていた旦那さんが顔を真っ青にして倒れてしまうこともあるのですが、そうやってお産の場を少しでも体験することで、父親になる自覚が芽生えるのではないかと思っています。

妊娠・出産・産後のサポートが充実しているそうですね。

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新型コロナウイルス感染症の影響で母親学級はオンラインになっていますが、母乳相談、栄養指導などは感染症対策をした上で通常どおり行っています。産後2週間健診では、1ヵ月健診までの育児の悩みを解消するため、助産師や看護師が赤ちゃんの成長具合を見るほか、育児相談やお母さんのメンタルヘルスをサポート。初産の人は全員、経産婦の方は入院中に気になった方にお声をかけています。体重が増えている、母乳がしっかり与えられていることを確認できるだけで、お母さんたちも安心できると思いますし、「大丈夫だよ」と専門家が声をかけることは、今後の育児の自信や安心感にもつながると思っています。患者さんときちんと向き合い会話をしていれば、どこか様子が違うことにすぐに気づけます。「家に帰っても何か困ったときにはいつでも来て、夜中でも電話してね」というのがうちの病院。優しい職員がそろっているので、つらいときは頼りにしてください。

産婦人科の医師としてどのようなときに喜びを感じますか?

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いろいろな診療科がある中で、患者さんに「おめでとう」と言えるのは産婦人科だけだと思いますし、どんなに疲れていても赤ちゃんの顔を見れば疲れも吹き飛びます。陣痛で大騒ぎしていた妊婦さんが出産後は優しいお母さんの顔になってご主人と一緒にじっと赤ちゃんを見ている。その姿を見る私も幸せな気持ちになります。僕はお産が終わると必ず患者さんと握手してその場を去るようにしていて、手術のときは寝ている患者さんの手を握ってあげます。「手当て」という言葉がありますが、手当てとはそういうこと。今まですごく痛かったのに、やっと解放されて赤ちゃんに会えたという瞬間はお互いに祝福したいですし、自然に手をそっと差し出していますね。看護師についても、優しかった、丁寧だったと言ってくれている患者さんも多いですね。

お産以外ではどのような診療を行っているのですか?

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「母と子への安全な医療提供・女性のためのトータルヘルスケアの提供」という理念のもと、当院では、女性の健康を幅広くサポートしています。婦人科では月経不順や月経困難症、おりものの異常、クラミジアなどの感染症、子宮筋腫や子宮内膜症といった女性特有の疾患全般に対応していて、中高生で初めて産婦人科を受診するという患者さんも多いですね。不妊症治療では、妊娠を望む人向けの「ひまわり学級」の開催をはじめ、タイミング法と人工授精までを当院で、体外受精などの高度生殖医療を希望される場合は信頼できる医療機関をご紹介しています。子宮頸がんや子宮体がんなど悪性腫瘍は、ごく初期の段階に限って当院で治療をし、より高度な治療は関連病院やご希望の医療機関に引き継いでいます。今後は新たに流産や死産を経験した人のケアやその後の妊娠についての相談なども行っていきたいと考えています。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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当院ではこれまで無痛分娩をあえて取り入れてきませんでしたが、今息子の荘慎太郎医師が慶應義塾大学大学院で産科麻酔学を専攻していますので、戻ってきたら先端の知識を職員全員で共有し、安全に行うための万全の体制構築をめざし、無痛分娩をスタートしたいと思います。また、遅れてしまっている新棟の建設も徐々に進めていきたいです。息子や若い先生が他の病院で勤務をしてよかったと思ったことを取り入れて新しい病院をつくっていきたいですね。100周年を迎えた当院の一番の伝統は“人”です。患者さんから「私の祖母がここで生まれました」と言っていただくこともありますが、それは今までの職員が皆、患者さんの心を掴み信頼関係をきちんと築けてきたからです。これからも、安心感のあるお産を提供すること、痛みや苦痛をできる限り少なくすること、優しく親身に寄り添うことで、患者さんと一緒に楽しい入院生活をつくっていきたいです。

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荘 隆一郎 院長

東海大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部産婦人科学教室に入局。2011年から現職。日本産婦人科学会産婦人科専門医。母体保護法指定医。慶應義塾大学医学部産婦人科学教室非常勤講師。「母と子への安全な医療提供、女性のためのトータルヘルスケアの提供」という理念のもと、生涯現役だった父にならってできる限り診療を続けることを目標に、荘家では18代目、医師では7代目として次の100年に向けてさらに飛躍していく。

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