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医療法人財団アドベンチスト会 東京衛生アドベンチスト病院

(東京都 杉並区)

西野 俊宏 院長

最終更新日:2024/06/13

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地域の声を聞き、奉仕の心で社会に尽くす

1929年設立の「東京衛生アドベンチスト病院」は、戦前から杉並の医療を支える基幹病院の一つだ。2023年にはJCI(Joint Commission International)が行う認定の取得もした。キリストの愛に根差した奉仕の心で地域の声に耳を傾け、人々の健康と暮らしを守ってきた日々の賜物だろう。患者の7割が杉並区民であることからは、地域との間に固い信頼関係があることがうかがえる。古くから米国の先進的な医療を取り入れてきたことでも知られ、中でも産婦人科では1972年から硬膜外麻酔による無痛分娩に取り組んできた。「これからも自分たちの得意分野で力を尽くし、ますます地域に貢献したい」と話すのは、自身も米国の医学を学んだという西野俊宏院長。病院の歴史や、強みとする診療、温かく優しい愛ある診療姿勢について話を聞いた。(取材日2023年11月1日)

病院の歴史と診療体制についてお聞かせください。

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当院の設立は1929年。母体は米ワシントンD.Cに本部を置くキリスト教・プロテスタント教会「セブンスデー・アドベンチスト」で、現在当院がある場所にかつての日本の本部がありました。現在、本部は横浜に移転しています。教会が病院を造ったのは、私たちが「医療伝道」と呼んでいる医療の普及のため。イエス・キリストが大勢の病人を癒やした聖書の記録に基づき、「愛に根差した医の奉仕」を理念に掲げて世界中に病院を設立したのです。現在は外来機能を担う附属の「教会通りクリニック」、不妊治療専門「めぐみクリニック」、「アドベンチストデンタルクリニック」と連携して診療にあたり、健診や予防医療にも注力しています。東京都2次救急医療機関に指定されており、内科・外科は24時間、小児救急は深夜を除き受け入れを実施。また、緩和ケア病棟、および在宅での緩和ケアで、がんとともに生きる皆さんの暮らしをサポートしています。

貴院の大きな特徴である産科について教えていただけますか。

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産科では、1972年から硬膜外麻酔を用い、お産の痛みのコントロールを図りながら行う分娩法を採用しています。欧米ではすでに浸透していますが、技術ある麻酔科医を常時配置する難しさもあって、日本では今も自然分娩が主流ですね。ただ、無痛分娩が妊婦さんの肉体面・精神面に及ぼすメリットは大きいと考えています。痛みの緩和が期待できるので、不安が軽減され落ち着いて出産に臨めることは最大のメリットです。また、他職種のチームで食事・生活指導を行い、妊娠糖尿病や妊娠高血圧の発症を防ぐなど、産前産後のサポートも充実しています。同じ月例のお子さんを持つお母さん同士のおしゃべりの場であり、小児科医や保健師への無料の相談室でもある「ママの心のブレークタイム」も人気ですね。オンライン開催で、家を空けられない方にも気軽に外とのつながりを持っていただけるようにしています。

緩和ケアにも注力されています。

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東京23区内でも早期に開設された緩和ケア内科病棟には、緩和医療を専門とする医師と看護師をはじめ、薬剤師、管理栄養士、社会福祉士、チャプレン(病院つき牧師)が在籍しています。ボランティアの方も加わって、総力を挙げて身体的、精神的、社会的な求めに寄り添う全人的医療を実践しています。2020年からは、在宅医療に長くかかわってきた医師の加入で訪問診療が可能になり、在宅での緩和ケアに着手することができました。痛みがなく自宅療養が可能なときは住み慣れた家で暮らし、疼痛がひどくなった場合に緩和ケア内科病棟に入院するなど、個別の社会的背景や思いに寄り添った療養の形を実現することが可能です。病室は緑豊かな中庭を望む位置にあり、ゆっくりとくつろげる家族室や、祈りをささげるためのチャペルなどを完備。患者さんの人生や価値観をできる限り尊重し、心穏やかに、その人らしい生活を全うできるよう支えていきたいですね。

外国人の患者さんも多いそうですね。

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米国の先進的な医療を取り入れてきた歴史に加え、1980年代の初めまでは米国人のドクターが院長を務めていました。現在も各診療科のドクターが英語を話せますので、外国人の患者さんには安心なのだと思います。私も米国での在住経験が長くありますから、専門は消化器外科と乳腺外科での診療でも、院長としての職務においても、おかげさまで英語には不自由しません。姉妹病院が台湾や香港、マレーシアのペナンをはじめ世界各国にありますから、海外への駐在が決まった方などのご紹介も可能です。気軽にご相談いただきたいですね。姉妹病院は、紛争が続くウクライナのキエフにもあるんですよ。厳しい環境の中で踏みとどまって医療活動を続ける仲間、そして現地の皆さんのために、当院でも早くから募金などの支援にも力を入れてきました。現地からお礼の手紙と、紛争の激しさを物語る武器のかけらが届き、支援の継続を胸に誓ったところです。

今後の展望をお聞かせください。

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開院当初わずか20床だった病床数が、今では186床を数えるまでに拡大しました。当院のモットーである「こころとからだのいやしのためにキリストの心でひとりひとりに仕えます」という奉仕の精神も、職員全員に浸透しているのを感じます。患者さんから「医師やスタッフが優しい」と言っていただくことが多いのは、非常にうれしいことですね。これからも、産科やホスピス、深夜を除き受け入れを行っている小児救急といった当院の強みを生かし、地域の中で果たすべき役割を誠実に果たしていきたいと思います。理想は、他の病院や開業医の先生方と連携を図り、お互いに足りない部分を補い合えるような関係を築いて地域医療に貢献していくこと。診療科や入院床の制限がある中でも、病気を抱え、不安を抱え、助けを必要としている患者さんをできる限り迎え入れられる病院でありたいですね。

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西野 俊宏 院長

1988年アメリカロマリンダ大学医学部卒業。1995年から東京衛生アドベンチスト病院に勤務。2013年より現職を務め、理事長と緩和ケア内科部長を兼任。在米中に培った英語力を生かした診療で、多くの外国人患者に対応する。専門は消化器外科、乳腺外科。外科分野のやりがいを「直観的な判断が求められること」と語る。プライベートでは3人の子どもの父。

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