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医療法人社団こうかん会 日本鋼管病院

(神奈川県 川崎市川崎区)

石川 大樹 副院長 の独自取材記事

最終更新日:2023/06/09

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膝関節治療で「生涯スポーツ」時代をめざす

半月板損傷の先進的な治療にも取り組み、サッカーをはじめ多様なアスリートの診療を担当してきた「日本鋼管病院」整形外科の石川大樹先生。専門性の高い知識・技術を頼って、羽田空港から車で20分ほどの同科に国内外から多くの患者が訪れている。スポーツ整形外科部門長と副院長を兼務し、昭和大学で客員教授も務める石川先生だが、その人柄は謙虚でざっくばらん。患者からも慕われ、診療の合間に趣味のルアーフィッシングの話題が出ることもあるそうだ。サッカーチームのチームドクターだった頃はもちろん、今もアスリートの現役時代から引退後まで寄り添い、シニアアスリートが生涯スポーツを楽しめるようサポートする。スポーツが人生を豊かにするとの思いも強い石川先生の話から、スポーツ整形外科の可能性と先生自身の魅力に迫った。(取材日2023年2月15日)

半月板など膝関節の治療がご専門と伺いました。

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膝の関節鏡視下手術をライフワークと考え、半月板損傷や膝靱帯損傷を中心に診療しています。前十字靱帯(ACL)再建術や半月板再建術といった治療に注力し、近年は中高年の方に多いMMPRT(内側半月板後根断裂)への先進的な治療も行い、全国の整形外科への普及にも努めています。MMPRTは階段を数段飛び降りるなど瞬間的に強い力がかかるとき、半月板の内側が損傷する疾患でこれまでは縫合による治療が中心。治療後は活発な活動は難しいとされていましたが、ここでは関節鏡下で別の腱を移植して半月板の再建を図り、治療後も高い活動性の回復が期待できる治療を行っています。当科はさまざまなアスリートの治療に携わってきた経験があり、現在も北海道から沖縄、離島、国外からも大勢の現役アスリート、シニアアスリートの患者さんが来院されます。今はインターネットの時代で、地方の方でもいろんな情報を得てこちらに通院される方が多いですね。

サッカーチームのチームドクターの経験もあるとか。

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横浜市のサッカーチームのチームドクターを務め、選手を10年間サポートしてきました。将来日本のサッカー界を支えるジュニアの育成に携われたのもいい経験でしたね。オスグッド病やシーバー病などのスポーツ障害、円板状半月板のような先天性の異常も診てきましたが、子どもたちに夢を諦めさせたくはありませんでした。医師は安全優先の決断を下しがちですが、本人や監督は1日も早い復帰を望むことがほとんど。トレーニングから一緒に考え、安全に配慮しながらギリギリのラインでゴーサインを出すのは責任重大ですが、チームドクターならではの醍醐味でもあります。チームが優勝したときは本当にうれしかったですね。また、ある格闘家がケガをした時は、セコンドとして復帰試合に立ち会いました。見事に勝利を収めた時は近くで見ていて感極まりました。現在は劇団、日本体育大学の相撲部、企業のラグビーチームなどのチームドクターを務めています。

治療後のリハビリテーションはどのように行われますか?

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リハビリテーションは体育館のような広い機能訓練室で、熱意あるリハビリテーション科の先生方が理学療法士や作業療法士などの専門職と一丸となって取り組んでいます。「手術3割、リハビリ7割。理学療法士と二人三脚で治すのが本当の整形外科医師」という恩師の言葉があるのですが、整形外科では薬の処方と同様、リハビリを処方して患者さんを治療するという考えです。そのため整形外科で治療した患者さんは担当医師が毎日リハビリテーション室を訪ね、同室の医師やスタッフと連携して回復を支援しています。また、アスリートの患者さんにはスポーツへの復帰を目標に、そのスポーツに必要な筋力トレーニングや、3Dのモーションキャプチャーを用いて適切な体の使い方の指導を行う「アスレチックリハビリテーション」を提供できるのは当院の強みです。親しみやすく温かみある雰囲気も特徴で、医師にとっても患者さんにとっても大きな魅力だと思いますね。

先生が整形外科を選ばれたのはなぜでしょうか?

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幼少期から手先が器用で、外科か整形外科に進もうと考えていたのですが、実習で外科を回ると医療者の力が及ばず亡くなるがん患者さんの姿にたまらない気持ちになって。一方、整形外科はうれしそうに退院していく方ばかり。活気があって明るく、自分に合っているのは整形外科だと思い決めました。スポーツ整形を選んだのは、学生時代にハンドボールをやっていた影響もありますが、スキーのチームドクターである恩師に憧れをもったためです。趣味はもっぱらルアーフィッシングですね。幻の魚であるイトウを釣るため北海道へ行くこともあります。ルアーフィッシングは釣りというよりスポーツなんです。魚を捕まえて食べることが目的の釣りではなく、魚とは対等の関係です。魚を傷つけないよう注意をして、捕まえた魚はリリースします。魚も自然も次世代に残していくという思いが釣り人の中で徹底していて、スポーツマンシップにのっとって楽しんでいます。

「生涯スポーツ」のサポートも目標にされているそうですね。

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シニアアスリートを中心に、年齢に関係なくスポーツをしたい方が増える中、今後は膝の治療も活動性を重視する必要があると考えています。人工関節も進化したとはいえ、アスリートの動きを支えるには不安が残ります。そのため、私は前述のMMPRTに対する半月板再建術のほか、変形性膝関節症にはロッキングプレートで術後の骨同士を固定する膝周囲骨切り術(AKO)などを用いて膝関節を温存し、スポーツができる状態まで回復をめざす治療を積極的に取り入れています。特に私の専門である膝の半月板損傷は、関節鏡下手術なら手術時の傷も小さく、患部を拡大して確認するため精度の高い治療が可能です。生涯スポーツができる方は健康寿命も長く保てると考えられ、その方の人生を豊かにしてくれると思いますし、アスリートも膝関節が温存できれば引退後の選択肢も広がるでしょう。膝関節の治療を通して、そうした方が増えてほしいと願っています。

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石川 大樹 副院長

1990年昭和大学医学部整形外科学教室入局。日本鋼管病院を経て、横浜市の佐々木病院でスポーツ整形や膝関節の治療に注力し、サッカーチームのチームドクターとしても活躍。2016年日本鋼管病院整形外科部長、2017年副院長兼スポーツ整形外科部門長。2023年から昭和大学医学部整形外科学講座客員教授も務める。日本整形外科学会整形外科専門医。専門分野は膝靱帯・半月板の損傷、膝蓋骨脱臼、変形性膝関節症など。

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