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医療法人社団こうかん会 日本鋼管病院

(神奈川県 川崎市川崎区)

宮尾 直樹 副院長 の独自取材記事

最終更新日:2022/12/20

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慢性閉塞性肺疾患の入院治療を実施

川崎駅、京急川崎駅からバスで8分。「日本鋼管病院」は長年にわたって周辺の工場で働く人々とその家族の健康を守ってきた川崎区の中核病院だ。副院長で呼吸器内科部長を務める宮尾直樹先生は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)・SAS(睡眠時無呼吸症候群)部門の開設に関わった、病院内のキーマンの一人だ。特にCOPDの治療では、チーム医療による教育入院やリハビリテーションを積極的に推進するなど、先進的な取り組みを行っている。自らの診療がルーチン化しないよう、臨床研究を続け、国内外の勉強会等での発表を怠らない一方、院内から希望者を募って毎年、登山やスキーなどを企画。「僕は単なるお世話役です」と笑う宮尾先生だが、院内の人望は厚い。川崎という地域に根差した同院呼吸器内科の特色からプライベートまで、余すことなく語ってもらった。
(取材日2017年8月1日/情報更新日2022年1月31日)

この地域と病院の特性について伺えますか。

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川崎市川崎区は工場が非常に多い地域です。日本鋼管病院という名称のとおり、当院は企業立病院としてスタートし、周辺地域の工場で働く人たちとそのご家族の健康を支えてきました。今でもその傾向に変わりはありません。喫煙歴の長い人が多く、COPDや喘息、肺がんなどの呼吸器疾患の患者さんが多い土地柄です。難病指定されている、間質性肺炎もみられます。それから、意外と多いのは、結核です。国内でも上位に入るほど、結核患者の数が多いことは一つの特徴で、肺炎の患者さんが来られたときは必ず結核を疑います。また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、居眠りによって労働災害を起こしやすい病気です。こうした地域性を踏まえて、当院では喫煙、大気汚染などを背景とした幅広い呼吸器疾患の診療を行い、COPDとSASの診療に特化した「COPD・SAS部門」も開設しました。

特色を1つあげるとすると、どのようなことになるでしょうか。

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当院は、地域に根差しながらも大学病院のような高度医療の提供をめざしています。例えば、COPDの呼吸器リハビリテーションは、まだ取り組んでいる病院が少ない、高度な医療の一つといえると思います。呼吸器リハビリテーションは週に1、2回通っていただきますが、自転車や徒歩で行けるような身近な距離だからこそ継続できると思うんです。身近な病院で、そういった新しい医療も受けられるところが特色ではないでしょうか。僕自身も診療がルーチン化しないように、常に新しいことに向けて研究を続けています。国内の呼吸器に関する勉強会や海外に向けて研究内容を報告・発表することで、目の前の患者さんも常に研ぎ澄ました目で見ることができると考えています。「この治療でどういうふうに変わるか」などと疑問を持つこと、それにつながる研究をするというのは、医師としてすごく大事なスタンスだと思っています。

COPDという病気と治療について教えてください。

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COPDというのは、肺の中の肺胞という、血液中の二酸化炭素と酸素を交換する機能を持った風船状の部分が壊れて起きる病気のことです。日本のCOPDの90%以上は喫煙が原因といわれています。肺胞が壊れると肺に弾力がなくなり、その影響で気管が狭くなって、咳や痰、息切れが起こります。治療はまず禁煙が大前提。加えて、薬物療法では、気管支を広げるための吸入薬を使います。また、風邪やインフルエンザにかかると重症化しやすいため、感染症予防も重要なポイント。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種も重視しています。近年は、薬よりもリハビリのほうが重要だと注目されるようになってきているように、当院もリハビリに力を入れています。外来だけでなく、入院でもCOPD患者さんの呼吸器リハビリに取り組んでいることが大きな特徴です。

呼吸器リハビリ入院ではどのようなことをするのですか?

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COPD教育入院という言い方もするのですが、さまざまな検査を通して肺の機能や合併症の有無などを評価し、患者さん一人ひとりに合わせて呼吸器リハビリの導入や食事の見直しを行っていくものです。呼吸器リハビリでは、専門のスタッフが呼吸困難の軽減や日常生活動作能力の改善をめざして呼吸法の指導や筋力トレーニングなどを行います。また、患者さん自身で洗髪する時は、息苦しくならないように片手で洗うとか、おなかを圧迫しないようにシャンプーハットを使ってまっすぐの姿勢で洗い流す、などといった生活面での実際的な指導も交えます。さらに、COPDの患者さんは呼吸にエネルギーを使うので体重が減りやすいため、栄養士が体重減少を抑える栄養指導も行っています。退院後も週に1、2回はリハビリに通っていただきます。COPDの呼吸器リハビリは、継続がとても大事で、そういう意味でも通いやすい病院であることが大切です。

先生の診療ポリシーやプライベートについても聞かせてください。

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診察の際には必ず、患者さんにタッチします。患者さんに触れ、体温を感じて、今の体調を判断したり、肌の艶やむくみの有無を見たりすることで、また違う病気が見つかる可能性がありますから。また、患者さんの日常生活の話をカルテに残しておくことも心がけています。例えば、どんな治療をしても改善の兆しが見えなかった喘息が、ペットが亡くなったことで軽減された、などということもあるんですよ。趣味は、写真やそば打ち、ピザ作り、日曜大工など。今はなかなか時間がないのですが、年1回、院内の仲間たちと一緒に登山したりスキーに行ったりしています。大学時代は山岳部に入っていたので、山登り企画では僕が自然と先導役になってしまいます。単なるお世話係ですよ(笑)。でも、部署の垣根を越えて一緒に楽しい時間を過ごすのは、すごく良いことだと思っています。

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宮尾 直樹 副院長

1995年浜松医科大学卒業後、慶應義塾大学内科学教室に入局。関連病院で呼吸器内科の経験を積み、2002年日本鋼管病院呼吸器内科で勤務開始。2007年呼吸器内科部長就任。現在は副院長・内科統括部長を兼務する。慶応義塾大学客員講師。呼吸器疾患全般の診療と気管支鏡検査、気管内ステント、睡眠時無呼吸検査が専門分野。日本呼吸器学会呼吸器専門医。研究や論文発表なども行い、常に研鑽を続けている。

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