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地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立荏原病院

(東京都 大田区)

後藤 隆久 院長

最終更新日:2026/07/15

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かかりつけ医との連携による地域密着の医療

1898年、世田谷区に伝染病病院として開設された「東京都立荏原病院」は、1934年に現在の敷地に移転し、その後、都立の総合病院として発足。2006年に東京都保健医療公社に移管され、地域のかかりつけ医と連携しながら、質の高い医療の提供に努めてきた。2022年に地方独立行政法人に移行してからは、より柔軟な病院運営や診療体制の充実に取り組んでいる。新型コロナウイルス流行時には、感染症の専門病院として多くの患者の治療に尽力した一方、一般診療を制限せざるを得ず、地域との関係性が希薄になった時期もあった。しかし、病院一丸となってその逆境を乗り越え、現在は再び地域密着の医療に力を注いでいる。そうした中、2026年4月に後藤隆久先生を院長に迎え、新たなスタートを切った同院。これまでどおり、救急医療を含む急性期医療の充実を図るとともに、緩和ケア内科を開設、幅広い地域のニーズに応えている。今後さらに医療需要の高まりが予想されるこの地域で、同院がどのような役割を果たしていくのか、後藤院長に話を聞いた。(取材日2026年4月23日)

病院の現在の取り組みについてご紹介ください。

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当院は120年以上の長い歴史のほとんどで地域に密着した医療を提供してきました。しかし、一時期、新型コロナウイルス感染症の対応に特化し一般診療をほぼ停止したことで、連携するかかりつけ医の先生方とのやり取りも必然的に希薄になってしまいました。感染症流行の終息後、地域連携の回復に努め、ようやく流行前の姿に戻りつつあります。そんな中、私たちが使命として取り組んでいるのが救急医療です。2024年には救急科を立ち上げ、地域の先生方からの救急患者を全員応需すべく、総力を挙げて体制の充実を図っています。救急車搬送は2年連続して年間5000台以上を受け入れました(2024年4月~2026年3月)。また、大田区では小児が入院できる病院が数少ないことから、小児医療にも注力し、夜間も含め積極的に患者さんを受け入れています。

主な診療科の特徴を教えてください。

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内科系は、循環器内科、呼吸器内科、消化器内科、糖尿病・内分泌内科などに加え、今年から緩和ケア内科を標榜して入院患者さんを受け入れ始めました。来年度には、緩和ケア専門病棟を開設します。外科系では、消化器外科をはじめ、脳神経外科、産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、整形外科、歯科口腔外科などが充実の人員体制で診療にあたり、がん医療では、手術、化学療法、放射線治療とトータルな医療を提供しています。産婦人科では、陣痛から産後の回復まで同じ部屋で過ごすことができるLDR室が整備されて、快適な環境で、人生の大切なイベントの一つであるお産をしていただけるようになりました。無痛分娩には、産婦人科と麻酔科が協力して対応しています。そのほか、入院早期からのリハビリテーション、歯科口腔外科での鎮静法による治療、高気圧酸素療法など専門的な治療も当院の特徴です。

緩和ケア内科を標榜したことで、これまでとの違いはありますか?

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当院では何年も前から、緩和ケア病棟をつくることを目標にしてきました。この一番のメリットは、緩和ケアの専門家が常勤でいることです。専門家による緩和ケアは、使用する薬の種類や使うべきタイミングの見極めが一味も二味も違いますし、専門の看護師も、患者さんお一人お一人の状況をしっかり把握し緩和計画を立てる能力に長けています。そのような人材が集まり組織として機能することで、医療のレベルが上がります。がんや腎不全などで苦しむ患者さんに緩和医療を届けることで、自宅に戻って自活し、その人らしい人生を長く送っていただけるように、取り組んでいきたいです。

地域の医療機関との連携はどのように取り組んでいますか?

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患者さんをご紹介いただく前方連携では、かかりつけ医の先生との顔の見える関係の構築とその継続が重要です。当院の医師は地域の先生方への訪問を熱心に行っています。また、新型コロナウイルス流行時には休止していた地域連携の会や、共同の勉強会を復活し、交流を深める機会を積極的に設けています。さらに、地域の先生方から患者さんのご相談をいただいたときには、スムーズにお受けし、診療後は速やかに診療情報提供書を作成し情報共有することで、円滑な医療連携に努めています。現在、連携登録させていただいている医療機関からの急患のご依頼に対する応需率は90%程度ですが、100%をめざして取り組んでいきます。

最後に、院長としての抱負や地域へのメッセージをお願いします。

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この病院は長く地域から愛されてきた病院です。そう思ったのは、患者さんの退院時のアンケートがほぼ感謝の言葉で埋まっていたのを見たときでした。今、医療の世界は厳しい局面にありますが、そのような中でも、当院は患者さんにご満足をいただける文化を維持できている。これは一朝一夕でできるものではありません。そして、こんなに素晴らしい文化を、もっと多くの人に届けることが当院のミッションと院内で話しています。今後も、地域の先生方との連携で、より多くの人に手を差し伸べ、私たちの医療を届けていきたいです。東京都立荏原病院は、「三世代が安心してかかれる病院」を合言葉に、再出発しました。物価高や戦争など不安定要素が多い世の中ですが、地域の住民の皆さまや社会の安定に貢献する病院をめざしていますので、よろしくお願いいたします。

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後藤 隆久 院長

1987年東京大学医学部卒業後。1988年米国マサチューセッツ総合病院麻酔科レジデント、1992年同病院麻酔科集中治療医学フェロー。1993年帝京大学医学部附属市原病院麻酔科助手、講師、助教授を経て2002年同教授に就任。2006年横浜市立大学医学部麻酔科学教授。2016年横浜市立大学附属市民総合医療センター病院長、2020年横浜市立大学附属病院病院長。2026年4月現職。医学博士。教育学修士。

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