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地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立荏原病院

(東京都 大田区)

芝 祐信 院長

最終更新日:2024/03/08

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医療を通じて地域住民の豊かな人生を支える

1898年の開院以来、時代に合わせて少しずつ形を変えながら、多様な診療で地域のさまざまなニーズに応えてきた「東京都立荏原病院」。地域医療支援病院や二次救急医療機関として多くの医療機関や救急隊との連携を強化しつつ、大田区や品川区、目黒区、世田谷区などの地域に必要とされる医療を提供し続けている。2022年7月に地方独立行政法人化し、より柔軟な病院運営や診療体制が可能となった中、「医療で地域を支える病院になる」というミッションを遂行するため、24時間365日対応の救急医療、多職種によるチーム医療で行う脳血管内治療、包括的ながん診療など都の重点医療とともに地域のかかりつけ医と密に連携を図るなど地域医療にも積極的に取り組み、地域完結型医療をめざしている。患者の意向に寄り添う医療を大切に、地域住民が「この地域に住んで良かった」と思えるように医療を通じて貢献したいと話す芝祐信院長に、病院がめざす医療について聞いた。(取材日2023年9月29日)

病院の近況を含め、現在の病院の取り組みを教えてください。

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2022年から2023年にかけて新型コロナウイルス感染症が5類になりましたが、そこからの医療は、コロナ禍前に戻るのではなく、コロナ禍で大きく変わった常識や、求められる医療、病院の在り方そのものを考え、前に進んでいく必要があります。その中で当院がすべきことをトータルに考えると、原点である、地域が必要としている医療をしっかりと提供することにたどり着きます。医療従事者は当然、患者さんのためになる医療を提供していますが、そこに患者さんの思いや意向が十分に反映されていなければ本当の意味での患者本位の医療とはなりません。患者さんの思いを考慮し、寄り添う医療という原点を改めて大切にしていきたいと考えています。コロナ禍の3年間はまさに失われた時間でした。今一度、手放さざるを得なかった一般診療に主軸を置き、職員も目標を新たに本来の自分たちの仕事ができることでモチベーションを高めて、取り組んでいます。

診療時に重視されているポイントは何でしょうか?

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一つは、退院は患者さんにとってゴールではなく、ご自宅や施設といった生活の場で暮らしを再開するスタートだという意識を持つことです。医療の進歩により、がんなど治療が難しいとされた病気も、完治はしなくても共存が可能になる一方で、超高齢社会では複数の慢性疾患をお持ちの患者さんも多くなりました。そうした方が最期まで住み慣れた地域で暮らせるよう、私たちは退院後の生活の質まで意識して治療を行う必要があると思っています。また、ここ数年のことでは、受診控えでがん検診を受ける方が減り、がんの早期発見が難しくなるのではないかと懸念しています。これから検診者数が元に戻るにつれ、一時的にがんの発見率が増えた場合も、当院は十分な対応ができる体制を整えています。早期がんの内視鏡治療は経験豊富な中堅医師が担当するほか、がん患者さんにはリハビリテーションで体力の維持・向上、痛みの緩和などを図っていきます。

力を入れている診療分野について教えてください。

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当院では24時間365日対応の救急医療、脳卒中など脳心血管の病気への専門的な治療、がんの集学的な治療を重視しています。救急医療は、救急車による患者さんを可能な限りお引き受けし、対応が難しい症例は適切な医療機関にスムーズに転送するなど、救急隊の信頼に応えるよう努めています。お引き受けできなかったケースは再検討し、次に生かすことを考えています。脳血管の治療は総合脳卒中センターが備える専門病床のSCUも使って、多くの診療科が緊密に連携して迅速に治療します。血栓溶解療法やカテーテルによる血栓回収療法に加えて、早期からのリハビリテーションによる回復支援、在宅復帰後の再発予防まで総合的に対応できるのが強みです。がん医療は、5大がんを中心に、手術療法、化学療法、放射線療法、免疫療法を適切に組み合わせる集学的治療に加え、緩和ケア提供体制も強化し、専用病棟を含めた包括的がん医療をめざしています。

地域医療連携についてはいかがでしょうか?

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1つの病院ができることは限られていますが、チームになることでできることは増えてきます。スポーツの大会ではチームプレーによって奇跡的な試合になることがありますが、医療現場の日常もそのもので、命のバトンをつなげていくためには、個人プレーよりもチームプレー、多くの地域の医療機関が協力し合うことによって大きな力を発揮し、困難なケースも諦めずにつなぐことで成果を上げることができるのです。この病院のミッションは、医療で地域を支えること。つまり、地域を支えられる病院となることです。利用者や地域の人からここに住んで良かったと思っていただけるような病院になっていくためには、相応の努力と覚悟が必要になりますが、それが職員にとっての大きな共通の目標となり、地域に貢献できることでまた頑張れるという、良いスパイラルになればと、3年間のつらかった時期を振り返って思っています。

最後に地域へのメッセージをお願いします。

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コロナ禍以前の荏原病院に戻るのではなく、世の中の変化に柔軟に対応し、新しい荏原病院になるという覚悟を持って、地域医療に従事しています。そのためにはいくつかのステップがあり、その1つは職員が自分の職場にやりがいを感じられるようにすること。地域への責任を継続的に果たせるように、働き方改革についても真剣に取り組んでいます。地域の患者さんや医療機関から「荏原病院がないと困る」と言われるように、日々を積み重ねていくことに尽きると思います。一方で、なんでも新しいことに次々にチャレンジすればよいということでもなく、限られたリソースの中で、高齢の患者さんへの負担の少ない治療や侵襲の小さい治療をそろえ、今の当院の環境を駆使してできることは何かを考えています。医療を通じて地域の皆さんの豊かな人生を支えていければと思います。

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芝 祐信 院長

1987年東京慈恵会医科大学卒業。武蔵野赤十字病院で研修後、東京都立府中病院にて救急施設の立ち上げに従事。同院内科部長、東京都立多摩総合医療センター内科部長を経て2022年より現職。専門分野は包括的がん医療。「がんになったとき患者と家族が仕事も生活も自分らしく両立することを支える緩和ケア」がモットー。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本救急医学会救急科専門医。

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