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独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院

(神奈川県 横浜市港北区)

三上 容司 院長

最終更新日:2022/12/20

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救急医療や周産期医療で地域を支える

新横浜駅から徒歩約10分。緑あふれる大きな公園の隣で、地域の人々の安心の拠り所となるような医療に30年以上にわたって取り組んでいるのが「横浜労災病院」だ。勤労者医療や高度な医療の実践、救急医療の充実、優れた医療者の育成などを基本方針に、労働者に限らずすべての市民に開かれた地域中核病院である同院。多様な診療科と各領域の専門家をそろえ、先端の医療にも取り組んでおり、地域がん診療連携拠点病院や災害拠点病院、地域医療支援病院の指定も受けているほか、若い世代も多い横浜市北東部を支える病院として子育て世代のニーズに応える小児・周産期医療にも力を入れている。そんな同院の院長を務める三上容司先生は、「みんなでやさしい明るい医療」との同院の理念を、「みんなで」はチーム医療、「やさしい」は患者中心、「明るい」は職員が明るく透明性が高いことと捉え、その実践をめざしている。「地域住民の皆さんの医療の砦としての機能を果たすとともに、患者さんと職員一人ひとりの幸せに尽くせるように努めたい」という三上院長に、同院の特徴や今後の展望を聞いた。(取材日2022年7月11日)

最初に貴院の概要や特色を紹介していただけますか?

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当院は、横浜市の要請を受けて約30年前に開設された市北東部地域の中核病院です。その象徴的な部門が、24時間365日体制の救急医療です。三次救急に加え、一次や二次の救急にも対応する「北米型ER」で、救急患者さんは救急車か徒歩かといった来院方法に関わらず、すべて救命救急センターが対応し、必要に応じて適切な診療科に引き継いでいます。また、若い世代も多い当地域の小児医療や周産期医療へのニーズに応えるため、NICU(新生児集中治療室)も備え妊娠26週から対応可能な地域周産期母子医療センターも運用。24時間365日の分娩はもちろん、合併症のある妊婦さんも他科と密に連携して安心・や安全性に配慮した分娩をすることができるほか、母体や胎児の急変にも対応。さらには、産婦人科病棟をリニューアルしアメニティを充実させたほか、出産後のお祝膳も用意するなど入院中の食事も改善して、より快適に出産ができるよう整えました。

地域がん診療連携拠点病院としての取り組みも教えてください。

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幅広い臓器のがんに対し治療の3本柱である手術療法と放射線治療、薬物療法を高いレベルで提供することをめざしています。各臓器のがんが専門の医師による集学的ながん治療に取り組んでおり、泌尿器科や婦人科などでは手術支援ロボットを用いた低侵襲手術に力を入れているほか、放射線治療では、脳腫瘍に対する定位放射線治療や、目的の場所だけに強く放射線を照射できる先進の直線加速器も導入しています。緩和ケアにも力を入れており、がん患者さんたちが持っている治療や体、社会的、気持ち、人生などに対するつらさをできるだけ少なくできるよう取り組んでいます。さらに、がん支援センターも設置しており、「外来化学療法室」「緩和ケアチーム」「がんゲノム医療室」「がん相談支援センター」の4つの部門が連携し、患者さん本人やそのご家族への相談支援や情報提供を行っているなど、患者さんの心と体を手厚いサポートで支えることに努めています。

ほかに力を入れている分野はありますか?

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勤労者医療や糖尿病などの生活習慣病対策、脳卒中急性期医療、心血管系疾患、高齢者医療なども重点領域としています。労働災害などの治療に重要な整形外科も充実しており、脊椎・脊髄、手・末梢神経、人工関節を含む股・膝関節、外傷、リウマチなどに対して専門的な診療を行っています。勤労者に急増しているメンタルヘルスへの対応にも力を入れており、心療内科を中心に心身の健康づくりを支援しています。生活習慣病対策では、糖尿病を含む内分泌疾患や脂質異常症、骨粗しょう症などの代謝疾患を総合的に診療する体制も整えています。脳卒中に対しては、脳神経外科と神経内科、救命救急センターが連携しながら治療にあたっているほか、急性心筋梗塞なども循環器内科が24時間体制でに対応しています。脳血管内治療など低侵襲な治療を積極的に行っていることや、スムーズな社会復帰をめざし早期からのリハビリテーションに注力していることも特徴です。

地域医療連携や患者さんへのサポートについてはいかがですか?

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当院は、地域医療支援病院として地域医療連携室を窓口に、近隣のクリニックや病院との医療連携を進めています。同時に、以前は別組織となっていた入退院支援や治療就労両立支援、がん相談支援、医療福祉相談、医療安全相談などの機能を「患者サポートセンター」に集約し、患者さんの入院前から退院後までを見越したトータルなサポートを積極的に行っています。患者サポートセンターでは、入院前に紹介いただいた患者さんの情報を整理し、院内で情報共有を図ることでスムーズな受け入れ体制を整えているほか、退院後に在宅療養へ円滑に移行するための相談や支援、医療ソーシャルワーカーによる医療機関や施設など受け入れ先選定の援助、社会復帰支援などを行っています。外来から入院、退院後の在宅療養までを一元的に管理することにより、患者さんに安心して治療に専念していただき、療養生活がより安全で質の高いものになるようお手伝いをしています。

コロナ禍への対応も含めて、これからの展望を聞かせてください。

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当院では、新型コロナウイルス感染症専用病棟を設けるとともに、通常の急性期医療も両立しながら対応してきました。一方で、感染を心配して健診や早期受診を控える傾向があり、今後は進行がんなどが増えることが予想されますので、流行の収束後も視野に、地域の医療施設とも連携して病気の早期発見ができるような体制も構築したいと考えています。患者さんを待つだけでなく、積極的に働きかける病院へ、時代に合わせて病院のあり方も変えていく必要がありますからね。また、開院から30年を経て建物も老朽化してきましたので、10年以内の新病院設立に向けて具体的な計画もスタートしました。相鉄線の延伸計画で新横浜エリアと相鉄線沿線とのアクセスも向上しますので、いっそう地域に貢献できる病院をめざします。そして、地域を支える「医療の砦」としての機能を果たすとともに、患者さんと職員一人ひとりの幸せに尽くせるように努めたいと考えています。

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三上 容司 院長

1983年東京大学卒業後、同医学部整形外科に入局。1997年より横浜労災病院整形外科部長。同副院長、運動器センター長兼任を経て2021年より現職。日本整形外科学会整形外科専門医。専門は末梢神経外科、手外科、マイクロサージェリー、機能再建外科等の分野。2019年より日本末梢神経学会理事長も務めている。「木を見て森を見る医療」がモットー。中学から大学までサッカー経験があるスポーツマン。

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