保存加療から手術まで
痛みや痺れの改善をめざす脊椎外科的治療
医療法人社団 明芳会 横浜新都市脳神経外科病院
(神奈川県 横浜市青葉区)
最終更新日:2024/11/14
- 保険診療
背骨や背骨の中を通る神経の疾患や外傷を診る脊椎外科。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの脊椎疾患は、発症すると痛みや痺れが起こり、悪化すると日常生活に支障を来すこともある。そのため、早い段階で病態や症状に合った治療を行い、生活の質を改善することが重要になる。脳神経外科病院でありながら整形外科を標榜し、高齢者の骨折などの救急にも広く対応する「横浜新都市脳神経外科病院」では、2023年4月に脊椎治療部門を新設し脊椎疾患の専門的な治療に取り組んでいる。そこで、同院の脊椎外科部長である中島崇之先生に、同科の特徴について聞いた。(取材日2024年9月19日)
目次
腰の痛みや坐骨神経痛など、背骨や背骨の中の神経の疾患や外傷に対応。病状に合った治療で生活の質の改善を
- Q脊椎疾患を専門的に扱う脊椎治療部門を新設されたと聞きました。
- A
脳神経外科病院の整形外科というのはなじみがないため、患者さんが救急搬送されたり来院されたときに、専門的な治療ができますよと安心感を与えられるように脊椎治療部門を新設することになりました。独立した診療部門のようですが、整形外科の一部門として治療を行っています。脳神経外科と脳神経内科の医師がすぐそばにいることは大きな強みで、例えば、外傷で来られた際の手足のしびれなどは脳血管疾患でも起こるため、どちらが主たる原因なのかを連携して診ることができます。また、脊椎の疾患のようで実は神経筋疾患のこともあるため、気になるときは脳神経内科にすぐに相談をするなど、診療科の垣根も低く迅速に動くことができています。
- Qどのような疾患を対象としていますか?
- A
腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、首では、頸椎症性脊髄症や頸椎症性神経根症など、変形性の腰椎症や変形性の頸椎症といった脊椎の変性疾患全般を対象としています。加えて救急搬送されてくる腰椎や頸椎の骨折など脊椎の外傷にも対応しています。
- Q疾患や病態によってさまざまな治療に取り組んでいますね。
- A
「整形外科=手術」のイメージがあるかもしれませんが、脊椎外科では手術は最終手段であり、手術はあくまでオプションの1つだと考えています。そのため、まずは患者さんにしっかり病状・病態を理解していただくことが重要です。特に神経痛などは手術や薬ですべての症状に対処できるわけではないため、神経を休ませるような保存的な治療の重要性も理解していただいています。いよいよ手術をすることになった際には、脊柱管狭窄症であれば、脊柱管という神経の通り道を広げ神経の圧迫の除去を図る徐圧術、脊椎のぐらつきがあれば脊椎固定術を行います。また、脊椎圧迫骨折に対するBKP(経皮的椎体形成術)にも対応しています。
- Q治療後はどのように過ごすことになりますか。
- A
術後は基本的には入院していただき、経過を見ながらリハビリテーションに取り組んでいきます。当院の特徴は、リハビリの体制がしっかりしていて、理学療法士はもちろん作業療法士や言語聴覚士がそろっていることです。救急搬送された患者さんや地域の先生からの紹介患者さんは、当院でしっかりとリハビリを行った後、元のかかりつけのクリニックに戻っていただき、リハビリを続けていただけるようにしています。
- Q その他、注力していることや特徴的なことはありますか。
- A
当院では救急搬送されてくる方が多く、変性疾患でも切羽詰まった状態の方が多いのが特徴です。そういった方については早めに治療の方針を立て、病状・病態を把握した上で患者さんに保存的加療あるいは迅速に手術対応をしています。エックス線やCT、MRI検査などもすぐに撮影ができますし、当院は比較的お待たせすることなく、手術室の看護師や麻酔科医も含めたチームワークで迅速に対応しています。だからこそしっかり保存治療を行った上で、改善が見られないときは速やかに手術に切り替えようというお話ができています。