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くも膜下出血の防止に有用
脳動脈瘤・未破裂脳動脈瘤の治療

医療法人社団 明芳会 横浜新都市脳神経外科病院

(神奈川県 横浜市青葉区)

最終更新日:2024/11/25

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  • 保険診療

脳の血管の壁が薄く脆くなることで血液が入り込み膨らんだ状態の脳動脈瘤。くも膜下出血の原因の9割が脳動脈瘤であることから、破裂する前の未破裂脳動脈瘤の段階で手術をすることも増えている。脳動脈瘤は必ずしも治療が必要なものばかりではないため、治療対象となるかを適切に見極めることが重要だという。治療法には開頭手術とカテーテル治療があり、安全性に配慮しつつ、より適切な方法を選択して行われることになる。脳神経外科の専門病院である「横浜新都市脳神経外科病院」では、開頭手術とカテーテル治療の両方に対応できる医師がそろい、個々の患者に合った治療法で脳動脈瘤および未破裂脳動脈瘤の治療を提供している。そこで、同院の院長であり脳神経外科を専門とする森本将史先生に脳動脈瘤について聞いた。(取材日2024年9月19日)

治療が必要な脳動脈瘤かどうかを見極めた上で、カテーテル手術か開頭手術から適切な方法を選択

Q脳動脈瘤とは何ですか? 原因やリスクについて教えてください。

A

「遺伝など総合的な判断で治療をするかを決める」と話す森本院長

動脈瘤は脳の中の比較的太い血管にできるこぶで、破裂するとくも膜下出血を起こします。くも膜下出血の原因の9割以上が脳動脈瘤であるため、近年は破裂してくも膜下出血になってから治療するよりも破裂する前の未破裂脳動脈瘤の状態で治療する人が増えています。脳動脈瘤の原因に明確なものはなく、遺伝や高血圧、喫煙のほか、ストレスなども関連しているといわれています。脳動脈瘤はほとんどの場合、頭痛やめまい、痺れといった症状をきっかけに受けた脳の精密検査や脳ドックで偶然見つかることが多いですが、大きさや場所によって治療しなくても良い脳動脈瘤もあるので、遺伝なども含めて総合的な判断で治療をするかを決めていきます。

Q脳動脈瘤が見つかった場合はどうすればいいですか?

A

カテーテル治療または開頭手術のどちらか適した治療を選択

まずは治療対象になるかどうかを専門家に相談することが大切になります。基本的には70歳以下で5mm以上の脳動脈瘤があれば治療対象と考えますが、小さくても形がいびつで破裂の危険性が高い場合や、年齢が70歳以上であっても患者さんの不安が強く、医師が安全性を考慮した上で治療ができると判断した場合には治療を行うこともあります。どんな手術も100%安全ではないため、明らかに破裂しないものを治療する必要はありません。治療が必要なケースについては、カテーテル治療または開頭手術のうちどちらがより適切かを考え最適と思われる治療を選択します。このように2段階で判断していくことが重要になります。

Qどのような治療を行うのですか?

A

脳動脈瘤の治療には大きく分けて開頭手術とカテーテル治療があります。カテーテル治療はこれまで、動脈瘤の中にコイルを入れて血流を固めることで破れないようにすることをめざす血管内コイル塞栓術が主流でしたが、最近は脳動脈瘤のある正常な血管にフローダイバーターステントという網目が密なステントを留置することで破裂の防止を図る治療も行われています。カテーテル治療は非常に小さな傷で治療ができるため、当院ではまずはカテーテル治療が可能なものはカテーテル治療で、血管の状態などからリスクが高い場合は、脳動脈瘤の根元を金属のクリップで挟んで破裂・出血を止めることをめざす開頭クリッピング術を検討します。

Q治療後の生活や再発の可能性についても知りたいです。

A

退院翌日から普通の生活に。定期的に検査を受けてもらい経過観察

基本的に未破裂脳動脈瘤のカテーテル治療の場合、入院期間は4〜5日で、退院翌日から普通の生活を送ることができます。金属のステントを入れた場合は血液をサラサラにするための薬を半年から1年服用することになりますが、それ以外はまったく行動に制限はなく、定期的に検査を受けていただき経過を診ていきます。脳動脈瘤の再発の可能性はゼロではありませんが、40歳や50歳で1個しかなかった脳動脈瘤が新しくできる可能性はそれほど高くはありません。一方、複数のこぶが見られる多発性脳動脈瘤で大きいものだけを治療した場合は、定期的に小さいこぶの状態を診ていく必要があります。

Qこちらの病院ではセカンドオピニオンにも対応されていますね。

A

脳動脈瘤の中には判断に迷う症例も。患者の意見をくみ取り提案

当院では、こんな治療を勧められたがその治療でよいのか、本当に治療をしなければいけないのかなどさまざまな相談を受けています。脳動脈瘤の中には誰が見ても治療の必要がないものもありますが、中には判断に迷う症例もあり、専門家の中でも意見が分かれることもあります。そのような症例について当院では、患者さんの不安度がどれぐらい強いかと、自分たちが本当に安全性に配慮して治療できるかを判断材料としています。脳動脈瘤があることで不安が高まればそれだけで生活の質が下がってしまうため、無理なく治療ができると判断した場合は、治療をすることをご提案しています。

患者さんへのメッセージ

以前は40代でくも膜下出血を起こす人は少なかったのですが、今は40代での発症が増えていて、くも膜下出血の若年化が進んでいます。そのため、40歳になる前には一度はMRA検査を受けて脳の血管を調べておくことをお勧めします。もし脳動脈瘤が見つかった場合、注意は必要ですが、すぐに治療しなくてはいけないというわけではありませんので、治療をするかしないか、どのような治療が一番適切か落ち着いて専門家に相談してください。できればカテーテル治療も開頭手術も行っている病院の意見を聞くのが良いと思います。また、1人の専門家の意見だけではなく、セカンドオピニオンも活用してみてください。

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