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公益財団法人 河野臨牀医学研究所 附属 品川リハビリテーション病院

(東京都 品川区)

渡辺 寛 院長

最終更新日:2024/03/01

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リハビリテーションを軸に医療と介護を提供

大崎駅南改札口から徒歩約7分の場所にあるのが、「品川リハビリテーション病院」だ。同院の公益財団法人河野臨牀医学研究所が運営する介護老人保健施設と、品川区立大崎図書館が同じ建物にある「品川リハビリテーションパーク」の中心的な施設である同院。渡辺寛院長は、「病気の方、健康な方を問わず、さまざまな人が集う公園のような場をめざしています」と話す。同院では、回復期リハビリテーション病棟と医療型療養病棟を運用しており、急性期の治療を終えた患者を在宅での生活へとつなぐリハビリテーションや在宅復帰が難しい患者の入院療養などを通じて、地域の医療・介護の充実を図っている。介護老人保健施設の施設長も務め、「当法人内での医療・介護の連携を深めるのはもちろん、今後は地域の医療・介護サービスとさらにシームレスに連携し、例えば高齢でも体と脳の機能を維持するといった健康づくりにも取り組みたいですね」と話す渡辺院長に、同院のリハビリテーションの特徴や地域医療に対する思いなどを聞いた。(取材日2023年9月22日)

病院の成り立ちや地域での役割を教えてください。

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当院は、公益財団法人河野臨牀医学研究所が持つ病院の一つで、回復期リハビリテーション病棟84床と医療型療養病棟46床を運用し、回復期と維持期の患者さんを対象に質の高い医療の提供をめざしています。法人内には、ほかに急性期医療を担う「第三北品川病院」や、当院と同じ建物に入る介護老人保健施設「ソピア御殿山」などがあり、近隣の医療機関や介護サービスとも密接に連携しながら、急性期から回復期、在宅療養までをサポートし、皆さまが住み慣れた場所で長く暮らせる地域づくりを進めたいと考えています。もともと当院は北品川で診療していましたが、品川区と締結した協定に基づき2018年に、現在の品川区立大崎図書館を含む複合施設「品川リハビリテーションパーク」内に新築移転しました。施設全体は病気や障害のある方、健康な方などさまざまな人が集う「インクルーシブな交流の場」として、運営や建築デザインの面からも評価されています。

リハビリテーションの特徴は、どのようなところでしょうか?

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回復期リハビリテーション病棟では、基本的な身体機能の回復訓練に加え、退院後に必要な能力の回復や獲得にも力を入れています。例えば、キッチンやお風呂、トイレ、ベッドなどを置いた在宅生活訓練室を使って、自宅での生活に近い環境での調理や入浴の練習のほか、内外での歩行訓練も行います。また、手すりの設置など室内環境の改善で生活しやすさを高める体験もできますし、さまざまな福祉用具も試用して、自宅でどうすれば生活しやすいかをイメージしていただけます。療養病棟では、回復期リハビリテーション病棟では対応が難しい重症度が高い患者さんなどを受け入れています。以前と同様の暮らしに戻ることが難しい場合でも、ご家族と車いすで外出できるようにすることをめざすなど、新たな生き方やご家族との絆をつなぐ視点を大切にしたリハビリテーションを提供しています。また、必要に応じて介護老人保健施設や訪問看護ステーションとも連携可能です。

先進的なリハビリテーションにも取り組んでいると伺いました。

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VR(仮想現実)やプロジェクションマッピング、ドライビングシミュレーター、拡散衝撃波なども取り入れたリハビリテーションにも力を入れています。VRやプロジェクションマッピングは、ゲーム感覚で取り組みながら身体機能の回復がめざせます。また、パーキンソン病に対する専門的なリハビリテーションプログラムも始めました。当院には、アメリカで開発されたパーキンソン病に対する専門的なリハビリテーションプログラムを学んだセラピストが在籍。2種類の専門プログラムを4週間の入院や2週間の入院と2週間の外来通院を組み合わせ、集中的な運動療法や発声練習など強度の高いリハビリテーションを実施しています。数ヵ月おきなど定期的なリハビリテーションで、低下してきた身体機能の底上げを図ることで、できるだけ長く自宅などの生活の場で、不自由が少なく生活が送れるよう努めています。

医療と介護の地域連携への取り組みをお聞かせください。

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現在の医療と介護の体制は、急性期病院での治療が終わったら回復期の病院で転院し、退院後は自宅や施設での療養と、患者さんの状況によって利用するサービスが変わるため、それら前後の情報共有が非常に重要です。当院では、入院時は法人内の第三北品川病院をはじめ急性期の病院と密接に連携しており、受け入れは非常にスムーズです。退院時は、地域包括室を中心に患者さんやご家族からの相談に幅広く応じるほか、入居する施設や訪問診療、訪問看護を担当する医療機関とも十分に情報を共有しています。特に、同じ建物に入る「ソピア御殿山」とはシームレスな連携に努めており、一体化した会議体を設けて、病院の社会福祉士が介護老人保健施設も兼務して、医学的なことや介護の情報を共有しています。また、退院時も必要な場合は一時的に老健に入居していただき、訪問看護なども含めて交通整理をすることで、スムーズに在宅復帰をしてもらえるようにしています。

今後の展望を教えてください。

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コロナ禍が落ち着いてきたこともあり、地域との関わりを強くしていきたいと考えています。その一つは、同じ建物の中にある品川区立大崎図書館との連携です。病棟の各フロアにはこちらの図書館の本が置いてある図書ラックを設置し、入院患者さんは自由に観覧できるほか、リハビリテーションの一環として、入院中の患者さんがリハビリテーションスタッフと一緒に図書館を訪れ、本を借りることもできます。また、コロナ禍になる前は、健康講演会や、笑うことが健康につながることから落語会などを共同で開催していましたし、図書館内には健康に関する書籍やパンフレットをそろえた「健康コーナー」を設置しています。これからは地域の健康情報の発信の場として、特にリハビリテーションや介護が必要にならないようにするにはどのような日々の生活や体の使い方をすれば良いのかなど、予防医学の方向にもアプローチしていきたいと考えています。

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渡辺 寛 院長

1989年日本大学卒業。同大学病院の脳神経外科や救命救急センターで研鑽を積み、1992年に第三北品川病院に非常勤で入職。主に、脳神経外科手術や術後管理に従事。1997年より常勤となり、療養病棟で患者管理やリハビリテーションにも携わる。2012年より現職。同法人の介護老人保健施設の施設長も務める。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。

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