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東京医科大学八王子医療センター

(東京都 八王子市)

田中 信大 病院長

最終更新日:2024/02/02

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優しい医療を通じて、地域で頼られる病院に

八王子市の誘致を受けて、1980年に開院した「東京医科大学八王子医療センター」。その後、増築・増床を重ね、現在では36の診療科、許可病床数610床の規模を持つ、先進医療と地域医療を兼ね備えた中核病院として、南多摩エリアの医療を支えている。特に「救急医療」「移植医療」「がん治療」を柱に掲げ、地域の各医療機関とも連携。地域医療支援病院、三次救命救急センター、地域災害拠点病院、がん診療連携拠点病院など、さまざまな拠点病院としての役割も果たす。同院で約1400人の職員を束ねる田中信大病院長は、循環器内科科長や副院長を歴任し、2023年10月に病院長に就任した。信頼される病院であるために、安心・安全な医療を基本に、「優しい医療」を提供していきたいと話す田中病院長。どのような取り組みを通じて、地域での役目を担っていきたいかについて、じっくり話を聞いた。(取材日2023年11月13日)

こちらの病院の特徴について教えてください。

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八王子市は人口が56万人もあり面積も広いですが、近隣で三次救命救急センターがある基幹病院は当院だけです。たくさんの市民の健康を守る、その責任は非常に重いと思っています。救急ヘリを活用する奥多摩などの山間部も含め、私たちが医療を担っているという意識がありますね。八王子市民のみならず、南多摩エリアの方々が当院で医療を完結できるようにという思いのもと、「先進医療」と「地域医療」を兼ね備えた病院として、最善の治療ができるように努めています。注力する分野は「救急医療」「移植医療」「がん治療」の3つです。特にがんについては、治療が進化した分、治療終了後の人生が長くなりやすく、新たに動脈硬化のような別の症状や病気になるケースが増えています。がんを含めて複数の病気を持った時、われわれのように多くの診療科がある病院でないと診られないことが起こってきますので、多角的な面から患者さんを支えていきたいと思います。

常に安心・安全な医療に尽力していくお考えだと伺いました。

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安全はすべての医療の基本です。その基本を徹底するには、何が必須なのか改めて確認する。そして、当たり前を当たり前とせず、繰り返しできるように全職員に働きかけることが大事です。患者さんの多くは、先端の医療を望む以前に、病気をしっかり診てほしくて来るわけですから、まずは安心してかかってもらえるように安全な医療を提供し、信頼してもらえる病院でありたいですね。また、そうした基本を整えるとともに、温かみを感じる優しい病院をめざしたいとも思っているんです。例えば医師として、治療の結果はどうあれ、努力に対して患者さんやご家族からお礼の言葉をいただくことがあります。つらいことがあっても「この仕事をやっていて良かった」と思う瞬間です。温かみとは、患者さんたちに当院で良かったと思ってもらえて、職員がそこにやりがいを持てることで生まれるものかもしれません。優しい医療を通じてそんな場所にしていけたらと思います。

大勢の職員をまとめる立場としてどんなことを心がけていますか?

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自分の考えを約1400人の職員全員に伝えるには、なるべくわかりやすい言葉で伝える必要があると思っています。それが先ほどふれた、患者さんに「優しい」、あるいは地域の先生方や、職員同士に対しても「優しい」医療、病院をめざそうということですね。そういう私の気持ちに同調して、当院を良くしていきたいと思ってくれる特に若い人たちには、もっと活躍してもらえたらと考えているところです。また現在、優秀な研修医の先生が集まって頑張っていて、それを見た後輩もここに入ってくるという好循環が生まれています。スタッフも一生懸命教えてくれていてとても雰囲気がいいので、教育に力を入れることもぜひ継続していきたいですね。同時に、先述した「救急医療」「移植医療」「がん治療」と、もう一つ大事だと考えている「災害対策」を加えた4領域にしっかり特化して、この地域で私たちが貢献できるように、みんなで取り組んでいかないといけません。

災害対策にも注力していかれるのですね。

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そうですね。特にコロナ禍で、当院の役割を改めて認識できたと思っているんです。というのも、幸い八王子市は行政や保健所が中心になって、大規模病院、中小病院、クリニックとうまく役割分担してやっていくことができました。コロナは「災害」ではありましたが、地域全体で乗り越えようという雰囲気ができたことは良かったと思います。いまだにウェブ会議での情報交換が続いていますし、これからも地域内の各医療機関と互いに協力していけたらと思っています。当院は、地域医療支援病院や地域災害拠点病院としての役割を担っていますが、関東大震災から100年がたつ今、改めて臨場感を持った対策を意識してやらないといけない、という思いがあるんです。訓練は年に何回もやりますが、本当に今日、明日に大災害が起きた時、全職員がそれに向かって対応できるのか。少しでも不安を解消できるように、対策していかないといけないと思っているところです。

最後に今後の展望や読者へのメッセージをお聞かせください。

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一つは先ほどお話しした、優しい病院をめざすということですね。「もう少し優しくしたほうがいいんじゃないかな」と思う部分を改善して、「ここにかかって本当に良かった」と思ってもらえる病院を早く完成したいです。重症な疾患だけ診ればいいという姿勢ではなく、「患者さんが困っているのは本当にそこなのか」と想像力を持てるようになることが大切だと思います。また、柱に掲げる3本柱プラス災害対策に力を入れるために、地域の医療機関との連携も大事なポイントになるでしょう。さらに、開院以来40年がたつので、新病院の建設についても企画を練っているところです。当院について今の時点で、「すべてができあがったいい病院ですよ」と言うのは難しいかもしれません。でも、どの診療科もどのスタッフも、患者さんの病気を治すために真剣で一生懸命です。そこを信頼していただきたいですし、困った時に頼っていただけたらと思っています。

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田中 信大 病院長

1989年東京医科大学医学部卒業。神戸市立中央市民病院などを経て、2007年オランダ・カテリーナ病院に留学。2015年より同大学八王子医療センター循環器内科科長、2016年循環器内科教授、2017年副院長などを歴任し、2023年10月より現職。専門は、虚血性心疾患、心血管カテーテル治療、心臓弁膜症など。日本循環器学会循環器専門医。

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