
プロフィール1998年福島県立医科大学大学院修了、医学博士。日本神経学会認定神経内科専門医。1998年福島第一病院、2000年米国留学(Northwestern University, Research Fellow)、2002年大原病院、2009年屛風ヶ浦病院(診療部長兼神経内科医長、副院長)、2012年横浜なみきリハビリテーション病院副院長を経て、2014年より現職に至る。
互いの信頼の医療で「頼り頼られる病院」

1986年に磯子区に一般的な総合病院として開院した「屛風ヶ浦病院」を前身に、医療施設の機能分化という時代のニーズに応じる形で2012年、リハビリテーションに特化した「横浜なみきリハビリテーション病院」として現在地に新築移転しました。現在は構造・機能をさらに充実させ、発症早期の脳卒中や骨折等の患者さんを受け入れる「回復期リハビリテーション病棟(144床)」、パーキンソン病などの神経難病や重度の障害のある方を受け入れる「障害者病棟(44床)」、在宅での療養が困難な方などを受け入れる「医療療養病棟(36床)」があります。横浜市で特に多い病床数を備え、当院の中核をなす「回復期リハビリテーション病棟」は一般の方が直接入院するのではなく、横浜南共済病院や横浜市大附属病院、横須賀共済病院など周辺の病院で急性期医療を受けた患者さんが病病連携により、在宅復帰をめざして転院されてくるケースがほとんどです。

診療面では脳卒中や整形外科領域での急性期医療を熟知した医師が治療の経緯や再発のリスクを踏まえてリハビリテーションの指導にあたっているので、患者さんの状態に最適なリハビリテーションを行うことができます。リハビリテーションでは224名の患者さんに対して10名の常勤医、約200名の看護師・介護福祉士・看護助手、そして約130人の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が疾患の特異性に合わせてきめ細かく対応しています。また、退院された患者さんがリハビリを通して身体機能の維持・向上を図るための通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションや、訪問看護などの在宅医療にも力を入れています。外来の患者さんには内科や整形外科などに加え、通院でのリハビリテーションも行い、さらに各種がん検診や眼底カメラ、胃内視鏡検査など人間ドックや健康診断にも対応しておりますので気軽にお問合せください。

医師は患者さんを治療するだけでなく、患者さんに勇気づけられ、看護師やセラピスト等に助けられ医療を行っています。看護助手はトイレ介助や入浴介助等で患者さまから感謝され、その感謝や評価が仕事のやりがいになっています。つまり病院は患者さんから頼られるだけでなく、実はわれわれ医療者も患者さんを頼っているのです。当院は患者さん、ご家族、そして多職種の職員すべてが互いに尊重し、信頼し合って医療を行うこと、患者さんを含む「病院」というコミュニティの全員が医療に関して一丸となること、そして、多様な価値観を認め合い共生することを大切にしています。「院内のお互いの助け合いの医療」、病病連携(病院と病院)や病診連携(病院と診療所)など「当院と他院のお互いの助け合いの医療」、「当院と近隣のコミュニティとのお互いの助け合いの医療」これらを総じて「頼り頼られる病院」として理念に掲げています。

医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などがチームとなって患者さんをみる「他職種連携によるチーム医療」が一般的だと思いますが、当院では全職員がチームとなって患者さん一人ひとりの病気を理解し、適切な対応をとれるよう務める「全職種連携によるチーム医療」に取り組んでいます。例えばパーキンソン病患者さんが声が小さかったり動作がゆっくりしていることを全職員が正しく理解することで、受付など直接治療に関わらないスタッフが「早くしてください」と思うようなことはありません。あるいは、左右どちらのまひの方にも対応できるような特注の入浴機器や、リハビリの一環となるよう視界からの刺激を受けられる大きな窓などはスタッフの発案によるもので、対応面だけでなく、全職員が自分が患者さんの立場だったらどう思うかを考え、患者さん一人ひとりにとってよりよい環境になるよう努力しています。

当院は脳卒中や骨折だけでなく、パーキンソン病のリハビリにも力を入れています。前者のリハビリは次第に回復していく回復期リハビリですが、パーキンソン病は徐々に進行していく病気でリハビリの考え方は全く異なります。その両極端を知ることで全職員がリハビリに対する考えを深め、患者さん一人ひとりに合わせた最善の対応をすることで日本一のリハビリ病院になれるのではないでしょうか。また、病気発症後、速やかに適切なリハビリを受けることはその後の日常生活の向上や寝たきり防止、在宅復帰に大きく関わります。ところが現在の医療体制ではある日突然病気を発症して入院しても、患者さん本人もご家族も心の準備も整わないうちにリハビリ病院への転院を求められ、どうしたらよいか途方に暮れるケースも少なくありません。リハビリのシステムや当院のような病院を知っていただくことで、いざという時の一助になれれば幸いです。