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胃がんにおけるロボット支援手術
チームで行う低侵襲の治療

船橋市立医療センター

(千葉県 船橋市)

最終更新日:2021/07/01

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  • 保険診療

胃がんの治療は、がんの進行具合や大きさによって内視鏡治療や腹腔鏡手術、開腹手術、化学療法と適した治療法が変わってくる。中でも最近出てきたのが2018年に保険適用となった胃がんへのロボット支援手術だ。ロボット支援手術は腹腔鏡手術の進化版で、従来の開腹手術や腹腔鏡手術よりも患者の体に与える負担や術後合併症によるダメージが少ないとされている。腹腔鏡下内視鏡手術において一定の経験とトレーニングを積んだ医師が行う専門的な医療であり、助手や看護師にも同じレベルの技量が求められチーム力も必要としている。そこで、ロボット支援手術を積極的に行っている「船橋市立医療センター」消化器外科部長の夏目俊之先生に、ロボット支援下手術についての詳細を聞いた。(取材日2021年6年18日)

腹腔鏡治療の経験豊富な医師の手技にロボットの精密さをプラス。細部まで配慮した治療で患者への負担も軽減

Q胃がんの治療法にはどのようなものがありますか?

A

消化器外科部長の夏目俊之先生

胃がんの治療法には、内視鏡下に切除する方法と手術で胃を切除する方法、そして抗がん剤治療があります。内視鏡治療は胃がほぼそのまま残せるため、患者さんの体への負担が少ない方法として注目されていますが、がん病変の深さや組織型によって適応が決まっていてごく早期がんを対象に、限られた患者さんにのみ用いられています。手術によって胃を切除する方法の中には、従来から行われてきた開腹手術と近年盛んに行われている腹腔鏡手術、そして、腹腔鏡手術を発展させたロボット支援下に胃を切除する方法があります。抗がん剤治療についてはステージ4に対して行うものと、ステージ2または3の患者さんに予防的に行う補助化学療法があります。

Q胃がんの手術はどのような患者さんが対象になりますか?

A

診察を行う夏目先生。じっくり患者の話に耳を傾ける

基本的には初期の段階で内視鏡で取れるものは取った上で、内視鏡では治療が難しいステージ1からステージ3の患者さんに対して根治をめざした手術が行われます。ステージ4の患者さんでも、がんから出血をしている場合や狭窄して食事が取れない場合などに手術することもあります。持病がある人や高齢の人にはできるだけ体に負担の少ない方法ということで腹腔鏡手術を採用することもありますが、あまりにも持病の状態が悪ければ手術を選択しないこともあります。どういった状況の人まで手術を行うかというのは非常に悩ましいところですが、最近は80代半ばでも手術をする人もいて、高齢者の手術の割合は増えてきていると感じています。

Qロボット支援手術を行うことでのメリットを教えてください。

A

術部でロボットアームを調整する様子

ロボット支援手術は、腹腔鏡手術に開腹手術の良さを加えるというイメージで、もとの技術にさらに磨きをかけて精度の高い治療を提供するためのツールです。手術器具を装着するロボットアームの先端には前後左右に54°ほど動く小さな関節がついていて、手首以上の可動域と柔軟でブレが少なく、人の指先以上の動きを実現できるといわれています。また執刀医が座ってカメラを通して体の中の画像を見ながら手足を使って鉗子類の操作を行う際、立体的な3Dモニターで術野を10倍に拡大して見ることができ、細部の手技が正確に行われることが期待できます。その様子は執刀医が患者さんの体内に入って手術をしているようだと言われるほどです。

Qロボット支援手術ではどれくらいの入院や療養が必要ですか?

A

執刀医は操縦席から3D画像を見ながらロボットアームを操作する

一般的には10日ほどで退院になり、早期にお仕事に復帰される方もいらっしゃいますが、長めに入院することが望ましい人や丁寧にリハビリテーションをしたほうがいい人もいるので、個人の回復状態によって入院期間や療養期間を決めていくのが良いでしょう。私がお伝えしたいのは、ゆっくりじっくり回復をめざすということ。ロボット支援手術だと早く家に帰れるということばかりがクローズアップされたり、見た目は元気そうに見えるので周囲も治ったものとして扱ってしまいそうになりますが、胃が切られる、がんになるということはご本人にとっては想像以上に負担が大きいものなので、許される範囲で時間をかけていくことも大切だと考えています。

Qこちらでの治療・手術における強みはどこにあるとお考えですか?

A

高齢化が進む社会の中、地域への貢献も大切だと考えているそう

従来の開腹手術から、腹腔鏡、ロボット支援手術と医学は進化してきました。それまでは一人の医師の技量で手術が行われてきましたが、内視鏡治療が始まった頃から、それに加えてチームとしての力量も問われるようになってきました。外科の医師だけではなく、助手や看護師や薬剤師、管理栄養士など多くの職種が手術前から患者さんに関わることで手術は成り立っています。特にロボット支援手術は、医師一人の力ではなく、これまでの技量とチーム力の両方による医療です。病気の患者さんを治してあげたいという思いを私のみならず当院スタッフから感じることも多く、チーム力こそが当院の強みだと考えています。

患者さんへのメッセージ

夏目 俊之 消化器外科部長

1992年神戸大学医学部卒業。国立がんセンター肝胆膵外科、千葉大学大学院第二外科(先端応用外科)を経て2000年船橋市立医療センター外科医長に。2003年埼玉県厚生連幸手総合病院外科副医長を務め、2004年再び船橋市立医療センター外科医長、2005年同センター外科副部長。2008千葉大学食道胃腸外科助教、2010年同先端応用外科助教、2011年東邦大学医療センター佐倉病院助教、2013年より現職。

胃がんと言われれば誰しも頭が真っ白になり不安でいっぱいになると思いますが、外科を受診したからといってとにかくいきなり切るということはありません。まずはお話を聞き、現状を把握していただいた上で治療方針を決めていきます。患者さんにとって気になる胃を残せるかどうかということですが、胃上部の早期がんであれば腹腔鏡手術で下部を残す方向で治療を進めることもあれば、進行がんの場合は根治をめざして全摘出を勧めることもあります。何が良い治療かというのは、がんの病状とご本人の全身状態の2つによって決まるので、全身を総合的に判断をすることで、患者さんそれぞれの適切な治療を提供していきたいと考えています。

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