手術支援ロボットによる人工関節手術
痛みの軽減を図り早期回復へ
医療法人讃高会 枚方東整形外科病院
(大阪府 枚方市)
最終更新日:2026/07/30


- 保険診療
年齢を重ねるごとに悩む人が増える関節の痛み。加齢や使いすぎなどが原因で軟骨がすり減ると、痛みが起こりやすいという。特に膝や股関節の痛みは日常生活に大きな支障を来すだけでなく、活動性の低下が全身疾患につながる恐れも。保存的な治療で改善が得られなければ外科的な治療も視野に入るが、現在広く行われているのが傷んだ関節を人工関節に置き換える手術だ。近年ではロボットによる手術支援システムも登場し、「枚方東整形外科病院」でも2025年に手術支援ロボットを導入。股関節では同院が以前から注力する「前方アプローチ」をロボット支援下手術で行っているという。そこで高井亮輔理事長に、関節の痛みの原因や治療法、ロボット支援下手術を活用した人工関節手術の特徴などを、詳しく解説してもらった。(取材日2026年6月9日)
目次
早期受診で痛みの悪化の予防を。手術では手術支援ロボットを活用し、痛みの軽減と早期の日常復帰をめざす
- Q関節が痛む原因としては、どのようなことが考えられますか?
- A
骨と骨とを連結する関節の周囲には、骨をつなぐ筋肉や靱帯、クッションの役目を果たす軟骨などがあります。加齢や関節の使いすぎで関節の軟骨部分がすり減ると、衝撃が伝わりやすく、痛みが起こりやすくなります。関節痛の原因となる病気は多岐にわたりますが、例えば肩関節では五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎や、腱板断裂などによる痛みもよく見られます。また、膝や股関節で多いのは、変形性股関節症や変形性膝関節症による痛みです。ほかにも事故やスポーツでの損傷、血流障害、股関節では生まれつきの形成不全などで、痛みが起こることも。痛みを我慢して関節を使い続けても、自然に良くなることは少なく、痛みも徐々に悪化していきます。
- Q関節の痛みに対しては、どのような治療法があるのでしょうか。
- A
加齢による膝関節の痛みは、50歳頃から増え始めます。早期には主にリハビリテーション、動かし方など体の癖の改善、薬物治療といった保存的なアプローチで悪化の予防をめざしていきます。痛みが悪化した場合にも、膝については関節鏡手術や膝周囲骨切り術、人工関節手術など、さまざまな選択肢があります。当院でも、初期の患者さんでは手術に至らないような治療やリハビリに力を入れますし、手術でも患者さんの症状や希望に合った方法を検討し、ご提案しています。また股関節の痛みは女性では40代でも見られ、早期にはリハビリや服薬などを続けながら変形の変化を経過観察し、人工関節手術に進むタイミングを見極めることが多いです。
- Q人工関節手術のメリットを教えてください。
- A

人工股関節の選択肢を用意し、患者のQOL向上をめざす
関節の骨が変形したり軟骨がすり減ったりすると、痛みが強まり、日々の生活動作がつらくなりがちです。さらに痛みのために運動や歩行を控え続けていると、運動不足から内科的な疾患を招く可能性も高まります。これに対して人工関節手術では、傷んだ関節部分を金属などでできた人工関節に入れ替えることで、痛みの改善をめざせることが何よりのメリットです。さらに当院では以前から、傷が小さく手術時間が短い最小侵襲手術に努め、早期回復や自宅退院を図ってきました。また股関節の手術では、一般的に行われることが多いお尻の筋肉を切る手術ではなく、体の前側から筋肉の隙間を通って股関節に至る「前方アプローチ」に力を入れています。
- Q手術支援ロボットによる人工関節手術を開始したそうですね。
- A

手術支援ロボットの導入により低侵襲で高精度の治療が可能に
人工関節手術では、人工関節を打ち込む角度が重要なポイントになります。わずかな角度の違いが手術の成果を左右しますが、骨の形や位置には個人差も大きく、従来は明確な指標が乏しいことが手術を難しくしていました。これに対し手術支援ロボットでは、術前の画像検査データからデジタル上で手術計画を作成。術中はナビゲーション指示に従って0.5mm単位で微調整しますので、精密で安全性の高い手術が期待できます。また操作の精度も高く、周囲の組織を傷つけることがほぼないため、術後の痛みも大幅な軽減が見込めます。当院ではロボット支援下手術でも股関節では「前方アプローチ」を採用し、短時間で傷口の小さい手術をめざしています。
- Q術後のリハビリやサポートも充実していると伺いました。
- A

一人ひとりの生活背景を考慮したリハビリを実施
一般的に、人工関節手術後の入院期間は2週間前後が目安ですが、当院では早期離床からの早期退院、日常生活への復帰をめざします。股関節では約1週間、膝関節では10日程度での退院をめざすことが多いですね。手術で痛みの軽減は図れますが、低下した筋力を補強し、正しい動作を習得して可動域を広げるためには、術後のリハビリが不可欠です。そこで手術翌日からリハビリを開始し、同時に患者さんの術式に応じた生活動作のアドバイスや、ご自宅でできる運動の指導なども行います。さらに退院後も数ヵ月間は週1回のペースで外来リハビリを実施。理学療法士が困り事などをきめ細かにお聞きして改善につなげ、日々の満足度を高めていきます。





