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症状があれば放置せず受診を
手術の低侵襲化も進んでいる子宮筋腫

特定医療法人誠仁会 大久保病院

(兵庫県 明石市)

最終更新日:2024/01/11

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  • 保険診療
  • 子宮筋腫
  • 不妊症

子宮の壁が腫瘍化し壁の内外にしこりやこぶができる子宮筋腫。良性疾患で命に関わることはほとんどないというが、生理痛や過多月経、過長月経など月経に関する症状があると日常生活への影響は大きい。また筋腫の位置や大きさによっては、不妊症の原因になることもあるという。このため、症状とともに患者の年齢や妊娠希望の有無に応じてさまざまな治療選択肢が考えられる点も子宮筋腫の特徴だ。「大久保病院」の産婦人科でも、定期的な経過観察から根本的な治療である子宮全摘手術まで幅広く対応しており、中でも手術では腹腔鏡や子宮鏡を用いた体への負担に配慮した方法に注力。そこで子宮筋腫について豊富な治療経験を持つ吉岡信也副院長に、子宮筋腫とはどんな病気で、どのような治療が行われるのか詳しく聞いた。(取材日2023年10月30日)

徐々に進行する子宮筋腫、さまざまな治療選択肢があるので生理痛や出血量が増えてきたらまずは受診を

Q子宮筋腫とはどのような病気ですか?

A

子宮筋腫について説明する吉岡信也副院長

子宮の壁は平滑筋でできていて、その平滑筋が腫瘍化し、いわゆる「こぶ」のようになったのが子宮筋腫です。このこぶは、子宮の外側や壁の中、あるいは子宮の内側に飛び出してくることもあります。筋腫のサイズはさまざまで、筋腫が大きくなると通常は50~100g程度の子宮が1kg以上、時には10kgほどになり、胸の辺りまで広がることもあります。女性ホルモンの量に応じて大きくなる子宮筋腫の原因は特定されていませんが、決して珍しい病気ではなく、20代になると増え始め、ごく小さなものも含めれば30歳以上の女性の2~3割で見られるとされています。閉経前後に結構大きくなることもありますが、閉経後は徐々に小さくなります。

Qどんな症状があるのでしょう?

A

産婦人科の待合スペース。暖色を基調とした落ち着きのある空間

子宮の外側や壁の中にできた小さな筋腫であれば、自覚症状はないことが多いです。ただ筋腫が大きくなると、「おなかが急に太った」「おへその下が硬い」などと感じることはありますし、子宮が周囲の臓器を圧迫するので、頻尿や便秘、腰痛の原因になることも。また、子宮の内側に筋腫ができると、数cmであっても月経に関する症状にかなり現れます。具体的には出血量が増える月経過多や生理の期間が長くなる過長月経、出血量の増加に伴う貧血、そして生理痛などですね。さらに筋腫が大きくなる際には、全体に栄養が行き渡らずに筋腫の組織が変化することがあり、その際には「変性痛」と呼ばれる強い痛みが起きることもあります。

Q治療を始めるタイミングを教えてください。

A

検査や治療は患者の負担に最大限配慮しながら行われる

筋腫自体は良性腫瘍ですので、症状がなければ定期的な経過観察で様子を見ていくことも多いです。ただ、子宮内や壁の中にできる腫瘍の0.5%は、悪性の子宮肉腫である可能性が。MRIでおおよその診断がつきますが、それでも良悪の判定が困難であれば、小さくても手術を行うこともあります。また、筋腫は不妊の原因にもなりますので、妊娠を望む方は早めの治療が必要です。ですから生理痛や月経量の増加、貧血、下腹部が急に太るといった変化があれば、婦人科を受診して詳しい診察や検査を受けてほしいですね。それから筋腫が小さくても月経に伴う症状が強ければ、女性ホルモンを抑えるための薬物療法を行うこともできます。

Q具体的に、どんな治療法があるのですか?

A

治療法はさまざま。患者一人ひとりに合った治療を行うことが大切

現在、薬物で子宮筋腫を治すことはできませんので、症状が強かったり筋腫の数が多くて根本的な治療を望む場合には、子宮全摘手術になります。しかし、妊娠を望んでいたり子宮を失いたくないという方では、手術で筋腫のみを切除することも。それから症状軽減を目的とする治療としてホルモン療法があります。閉経が近い年齢の方や手術を行う前には、飲み薬を処方するほか、さらに、点鼻薬や注射で閉経状態をつくり、筋腫を一時的に小さくすることをめざします。ただ、人工的な閉経状態が続くと骨密度の低下なども懸念されるので治療期間は限られます。また、ピルやホルモンを放出する避妊リングを使って月経の量を減らすことを図る場合もあります。

Q今は、体への負担が少ない手術が受けられるそうですね。

A

手術前にはしっかりと説明がされ、術後のケアも充実

以前は開腹手術が行われていましたが、今は腹腔鏡手術や子宮鏡手術が主流になっています。腹腔鏡手術ではおなかに3~4ヵ所ぐらい小さな穴を開け、そこからカメラや手術器具を入れてモニターを見ながら手術を行います。腹腔鏡での子宮全摘手術も可能で、傷が小さく痛みや出血、感染や癒着の可能性も少ないですし、患部を拡大して確認できるので、より繊細な処置ができる点もメリットです。入院期間は当院の場合おおおそ術後5日間程度とお考えください。また筋腫が子宮の内側にあり、サイズが小さい場合には、腟からメスのついたカメラを入れて処置を行う子宮鏡手術が行えることも。おなかに傷が残らず、入院期間も2泊3日程度とより短いです。

患者さんへのメッセージ

吉岡 信也 副院長

1991年京都大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院産婦人科や関連病院で研鑽を積み1998年米国テキサス州トリニティ大学へ留学。2000年から京都大学医学部附属病院で不妊治療や婦人科手術などの産婦人科診療に注力し、2008年大阪赤十字病院産婦人科部長、2014年神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科部長を務め2023年より現職。 日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医。日本生殖医学会生殖医療専門医。

女性にとって月経は定期的に起こることであり、量が増えていたり、健診などで貧血を指摘されていても、放置している方が結構います。ただ、月経に伴う症状が重いとやはりつらいですし、貧血が徐々に進行すると心臓に負担がかかることも。「実は階段を上ると動悸や息切れがあります」という状態は、体には決して良くありません。治療法はさまざまですし、手術の負担も以前に比べてかなり軽減されていて、当院では症状や希望に応じてその方に合った治療を心がけています。子宮筋腫は徐々に進行する病気ですので、月経の量や痛みが以前より増えている方は、まず一度受診して、調べてみてほしいと思います。

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