膝・足首の悩みに寄り添い
競技生活を支えるスポーツ整形外科
特定医療法人誠仁会 大久保病院
(兵庫県 明石市)
最終更新日:2025/12/01


- 保険診療
- 変形性膝関節症
スポーツによるけがや慢性的な関節の痛みは、競技生活だけでなく日常生活にも大きな影響を与えるもの。特に膝や足首はスポーツ動作に直結する部位であり、適切な診断と治療、さらにリハビリテーションまで含めた一貫したサポートが必要となる。ところが、競技に熱中すればするほど、軽いけがや違和感を我慢してしまうことも少なくない。「本人が我慢できる痛みや違和感であれば、積極的に治療を押しつけることはしません」と話すのは、「大久保病院」でスポーツ整形外科を担当する松尾知彦先生。しかし、そうして見逃される痛みや違和感の中には、適切なリハビリテーションや手術を行うことによって改善が見込めるものも含まれているそうだ。スポーツ整形外科で対応する疾患や治療について、松尾先生に話を聞いた。(取材日2025年9月11日)
目次
リハビリテーションも含めた総合的な治療計画を立案し、競技生活をサポート
- Qスポーツ整形外科はどのような疾患を対象としているのですか?
- A

スポーツ整形外科に造詣が深い松尾知彦先生
当院のスポーツ整形外科では、膝や足首に生じるあらゆる外傷・障害を診療対象としています。スポーツ中の転倒や衝突による急性のけが、繰り返される動作による使いすぎの障害、成長期に特有の不調、さらには年齢とともに進行する関節の変形まで幅広い病態に対応しており、患者さんの年齢や活動レベル、競技特性を十分に考慮した上で、リハビリテーションを中心とした保存的治療から関節鏡を用いた手術まで個々に合った治療を提供しています。また、単なる競技復帰にとどまらず、けがの予防や競技力向上といった視点を重視しているのもスポーツ整形外科の特徴。診断から術後のリハビリテーションに至るまで専門的かつ一貫したサポートが可能です。
- Q半月板の損傷について詳しく教えてください。
- A
半月板は膝関節内の軟骨で、膝にかかる衝撃を和らげ関節を安定させる重要な役割を担っています。代表的な損傷は、スポーツ中の急な方向転換やジャンプの着地で起こる「半月板断裂」で、膝の痛みや腫れ、可動域の制限を引き起こします。軽度の場合は違和感や軽い痛みがあっても歩けますが、重度になると激しい痛みや膝の不安定感で歩行困難になることも。膝が動かなくなるロッキング状態になれば激痛を伴います。治療は損傷の程度や活動レベルに応じて保存療法や、関節鏡下半月板縫合術または切除術などが選択されます。縫合術では入院2〜3週間、スポーツ復帰は術後6ヵ月以降、切除術では入院約1週間、復帰は術後1ヵ月以降の予定です。
- Q靱帯の損傷にはどのようなものがありますか?
- A
代表的なものは膝を安定させる前十字靱帯の損傷・断裂です。前十字靱帯の損傷・断裂は自然に治ることがほとんどなく、放置したままスポーツを続けると膝の不安定性が残り、半月板や軟骨を傷めたり、将来的に変形性膝関節症を発症したりするリスクが高まります。中高齢者では保存的治療が選択されることもありますが、10~40代の若年層やスポーツ復帰を希望する方には、損傷後に可動域が回復した段階で、できるだけ早期に前十字靱帯再建術を行うことをお勧めしています。入院期間は約3週間で、術後はリハビリテーションを通じて筋力と膝の安定性を段階的に回復させ、日常動作から順を追って訓練し、スポーツ復帰は術後8ヵ月以降になります。
- Q変形性関節症はスポーツにも影響するのでしょうか?
- A

状態をしっかり見極め、適切な治療を継続していく
変形性関節症は、関節の変形によって軟骨がすり減り、痛みやこわばり、可動域の制限を引き起こす病気です。内側型の変形性膝関節症では、O脚変形により膝の内側に過剰な荷重がかかり、走ったりジャンプしたりする動作で痛みが増し、思うようにプレーできなくなることも。また、関節の変形や不安定性が進むと、バランスや動きの安定性が損なわれ、けがのリスクも高まります。軽度の場合はリハビリテーションや筋力強化、関節への負担を減らす装具でスポーツを続けることも可能ですが、中等度以上では症状悪化を防ぐため運動制限や高位脛骨骨切り術などの手術が必要です。入院は3〜4週間、スポーツ復帰や重労働は術後3ヵ月以降が目安です。
- Q大久保病院のスポーツ整形外科ならではの強みを教えてください。
- A

膝関節や足関節など丁寧に検査。日常生活に向け適切な治療を提供
当院のスポーツ整形外科の強みは、患者さんのニーズに応じた専門的な医療を提供できる点です。一般の整形外科では日常生活への復帰が目標となりますが、スポーツ整形外科では、日常生活以上の負荷がかかる競技活動への復帰が目標。そのため、われわれは膝関節や足関節に対する医学的知識に加え、スポーツ動作や競技特性への理解も深めています。その結果、手術・保存療法だけでなく、術前・術後のリハビリテーションも含めた総合的な治療計画を立案することが可能です。また、大規模病院ではないからこそ、患者さんとの距離を大切にし、一人ひとりの思いを尊重した丁寧な診療を行っています。関節鏡を用いた手術も含め、気軽にご相談ください。

松尾 知彦 先生
大阪大学医学部を卒業後、整形外科に入局。同大学関連病院にて数多くの手術加療に従事し、前十字靱帯再建術、半月板縫合術、内側膝蓋大腿靱帯再建術に加え、初期から進行期の変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術などの幅広い治療とリハビリテーションにも力を注ぐ。2024年9月より大久保病院に入職。丁寧な診察・丁寧なリハビリテーション指導・丁寧な手術をモットーに、膝・足関節のスポーツ整形外科診療に取り組む。





