特定医療法人誠仁会 大久保病院
(兵庫県 明石市)
吉岡 巌 理事長
最終更新日:2025/12/04


急性期から緩和ケアまで対応する多機能病院
地域に根差した医療機関として、救急から慢性期まで幅広い診療を担ってきた「大久保病院」。高齢化が進む社会の中で、地域住民が安心して暮らせる医療体制を整えるとともに、専門性の求められる診療にも注力し、住民の医療ニーズと時代の要請に応えて進化を続けてきた。現在は、一般病床・地域包括ケア病床・緩和ケア病床・療養病床など多様な病床を備えた多機能病院として、地域に密着した医療を提供している。同院では2023年に急性期病棟の新築移転が完了し、本格的なICUや新しい手術室、感染症対応の個室も整備された。今回は、病院全体の特徴や取り組みについて、創立者の一人である吉岡巌理事長に話を聞いた。(取材日2025年9月11日)
貴院の地域での役割を教えてください。

1976年の創立当初は、外科や産科を中心に医療を提供してきた当院ですが、地域の医療ニーズに合わせて歩みを進めてまいりました。現在は、急性期医療を柱に、慢性期・回復期・緩和医療まで幅広く対応する多機能病院へと発展しています。病床は、地域包括ケア病床48床、緩和ケア病床18床を含む一般病床160床、療養病床39床の計199床を有し、救急や急病への確実な対応とともに、回復期・療養期の患者さんが安心してご自宅に戻れるよう治療・看護を行うことが、地域医療を支える民間病院としての使命だと考えています。高齢化が進む中で増加する「がん」への対応に関しては兵庫県立がんセンターとの連携を図り、ターミナル期の苦痛緩和に特化した緩和ケア病床を備えているのも当院の特色の一つです。また、健康診断や人間ドックといった健康管理分野に加え、地域住民の皆さんに向けた健康教室など、予防医療や健康増進にも力を注いでいます。
貴院の診療の柱という整形外科について教えてください。

当院には5人の常勤医師が在籍し、整形外科では「外傷部門」「脊椎外科・腰痛部門」「スポーツ整形」「人工関節部門」など、専門性に応じた外来を設けています。特に整形外科領域は分野が細かく分かれているため、患者さんにも理解しやすい名称を用いることで、受診時の安心感につなげています。年間の整形外科手術数は増加し続け、近年は遠方から紹介をいただくケースも少なくありません。さらに当院は「開放型病院」として、当整形外科で研鑽を積んだ先生方が近隣で開業された後も、患者さんの手術に執刀医として関わることができる体制を整えています。この仕組みにより、クリニックと当院の双方にとって効率的であるだけでなく、患者さんにとっても「かかりつけの先生に執刀してもらえる」という大きな安心感を提供できることができています。現在は整形外科に加え、泌尿器科においても開放型病院としての取り組みを進めています。
内科系診療科でも、さまざまな取り組みをされています。

消化器内科では、上部・下部内視鏡に注力し、鎮静剤を用いて苦痛に配慮した検査を提供しています。大腸内視鏡に抵抗がある方には、内視鏡を挿入せずCTで大腸の3D画像を作成する「大腸CT検査」をまずは気軽に受けていただき、この検査で6mm以上の病変があれば改めて内視鏡検査を行って、精密な診断と必要な治療につなげています。また、当院の山村誠院長は潰瘍性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患(IBD)を専門とし、豊富な臨床経験と医療知識に基づき、患者さん一人ひとりに適切な診療と丁寧な説明を行っています。安心してご相談ください。その他にも女性のための総合診療として、婦人科の他にも、頭痛の外来、乳腺外科、女性専門の泌尿器科の診療を行っています。
高齢者医療も幅広くカバーしているのですね。

高齢化が加速し、整形外科領域や糖尿病、がんなどの疾患に対応する医療ニーズが高まっています。当院の糖尿病内科では、専門的な検査が可能で、自己血糖測定器を用いて血糖変動を調査する神戸大学糖尿病・内分泌内科実施の研究にも参加するなど、患者さんがより良い治療を選択できる体制を整えています。治療が及ばず腎臓に障害が出た場合には、腎臓内科や人工透析部門でもフォローします。また、麻酔科・ペインクリニックでは、日常生活や睡眠の質を取り戻すために、神経ブロック注射や内服薬、漢方、リハビリテーションなどを適切に組み合わせ、整形外科疾患のほか帯状疱疹関連痛や糖尿病性神経障害痛、がんに関連する痛みの軽減を図ります。さらに、法人内の特別養護老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅、ケアプランセンター、訪問看護・介護部門などと連携しトータルヘルスケア組織として、地域に密着した多面的な医療・介護サービスを提供しています。
今後の展望と地域の方々へのメッセージをお願いします。

2024年4月に救急・地域連携担当内科医師が、2025年9月に外傷部門の整形外科医師が入職しました。新型コロナウイルス感染症の流行を経て救急搬送数は変動しましたが、地域の方々の安心・安全を守るため、受け入れ体制の強化に努めています。設備面では、救急医療の高度化に対応するICUや感染症対応の個室を備えた急性期病棟が2023年11月に完成し運用を開始しました。重症患者への迅速かつ適切な対応が可能となったことに加え、より安心して入院生活を過ごしていただける環境になったのではないかと思います。また、多職種チームでの協力体制を整え、救急から回復期まで一貫した医療を提供できる体制も整いました。当院の理念は「急性期医療を軸に幅広い医療活動に励み、地域の人々に安心と満足を提供する地域密着型病院をめざすこと」です。今後も人員・設備を充実させ、地域の皆さんに喜ばれる医療を提供し続けてまいります。

吉岡 巌 理事長
1964年に兵庫県立神戸医科大学(現・神戸大学医学部)を卒業。1976年8月の大久保病院設立より同院に携わり、現在は病院のほか7つの医療・介護事業所を有する特定医療法人誠仁会の理事長として、地域包括ケアシステムの推進にも注力。「地域密着の病院」をモットーに、日々変化する住民の医療ニーズに柔軟に応えるために力を尽くしている。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック(1日コース)/3万9600円~





