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狭心症や心筋梗塞など
動脈硬化が引き起こす病気の前兆

独立行政法人地域医療機能推進機構 神戸中央病院

(兵庫県 神戸市北区)

最終更新日:2024/08/06

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テレビやインターネットでも頻繁に見聞きする「動脈硬化」。中高年には気になるワードだが、動脈硬化がどのような病気で、どのようなリスクがあるのかを正確に答えられる人は少ないのではないだろうか。それ自体の症状はなく、判明したときには重症化していることも多いという動脈硬化。その原因や予防法について正しい知識を得ることが重要だ。狭心症や心筋梗塞、脳血管障害、足の壊死などを引き起こす恐れがあるという動脈硬化について、循環器内科医長の下田義晃先生に話を聞いた。(取材日2024年6月4日)

狭心症や心筋梗塞、脳血管障害、足の壊死などを引き起こす「動脈硬化」とは?

Q動脈硬化とはどのような病気ですか?

A

フットケア回診の様子

動脈硬化には「血管が狭くなる」「血管が硬くなる」という2つのタイプがあります。加齢や疾患によるストレスによって血管が傷つくと、その場所に動脈硬化巣、いわゆるプラークが血管の壁に付着。結果、血管が狭くなって血流が悪くなります。また、血管の内側にカルシウムが沈着して血管が硬くなる石炭化を認めるようにもなります。これにより全身が血流不足に陥り、脳や心臓、腎臓などあらゆる臓器が障害を起こす他、足に十分に血流が回らないケースでは足が壊死して、切断に至ることもあります。

Q動脈硬化の原因を教えてください。

A

急性心筋梗塞の緊急カテーテル治療を24時間365日提供できる

「人は血管とともに老いる」という言葉があるように、加齢は動脈硬化の原因の一つですが、その他、高血圧症や高脂血症、糖尿病、慢性腎臓病、喫煙なども動脈硬化の危険因子とされます。近年の研究では、喫煙者や家族性高コレステロール血症の方は若くして動脈硬化が進行する傾向にあることもわかってきていますので、タバコを吸う方や健康診断で危険因子の指摘を受けた方は特に要注意です。この他、ご自身のご家族が心筋梗塞や狭心症になったといった家族歴がある方は動脈硬化になりやすいといわれており、特に家族性高コレステロール血症の場合は30代、40代と若い年齢で心筋梗塞が起こる可能性があるため注意が必要です。

Qどのような前兆があれば動脈硬化を疑うべきですか?

A

動脈硬化はかなり進行した状態でなければ自覚症状がほぼないため、健康診断をきちんと受けることが非常に大切です。例えば、心臓に栄養を運ぶ冠動脈が狭くなると、歩行時に息切れしたり、胸が苦しくなる症状が出たりしますが、多くは加齢のせいだと判断する方が多いですね。また、足が痛い・しびれる・だるい、階段昇降でふくらはぎが痛くなるなどは、足の血管の動脈硬化によるものかもしれません。「年齢のせい」と思えるような症状でも、かかりつけ医に相談し、心電図やABI検査(動脈硬化の検査)を受けることをお勧めします。そこで何か異常が判明した場合は、循環器内科など専門の診療科がある医療機関でさらに詳しく調べましょう。

Q動脈硬化が引き起こす病気にはどのようなものがありますか?

A

フットケアの外来では足の診察とケアを行う

心臓では狭心症と心筋梗塞があります。狭心症は冠動脈が狭くなることで、心筋梗塞は冠動脈が詰まって、心臓の筋肉が壊死する病気です。脳の血管が詰まれば脳梗塞、足の血管が詰まれば下肢閉塞性動脈硬化症という病気になります。下肢閉塞性動脈硬化症の重篤な状態は包括的高度慢性下肢虚血といい、足の傷が悪化して潰瘍となり、最悪の場合は足が壊死して切断に至ります。特に糖尿病の方は足の感覚が鈍感なため、足に傷ができても気がつかず、受診したときにはすでに壊死が進行しているというケースもありますので要注意です。

Q動脈硬化の進行は抑制できますか? また、予防法はありますか?

A

進行の程度にもよりますが、一般的な動脈硬化が起こった状態というのは、残念ながら良くなることはなく、進行を遅らせるための手段を考えることになります。まずは生活習慣を改善し、高血圧症・高脂血症・糖尿病などの方は、服薬をはじめとした治療にしっかり取り組むこと、また喫煙者の方は禁煙が推奨されます。足の動脈硬化については服薬治療に加え、1日20~30分程度の歩行を習慣にしましょう。人間の体は血流不足に陥ると、その個所に血管が生えてくるという特徴がありますが、足に関しては歩かないと血管はつくられません。散歩を毎日の習慣にできるといいですね。

Qこちらの病院ならではの診療はありますか?

A

外来の心臓リハビリテーションの風景

当院は神戸市北区では数少ない心臓リハビリテーションや不整脈に対するカテーテル治療を実施している病院です。対象者は狭心症や心筋梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症の方、心不全の方で個人個人の症状・体力に合わせて有酸素運動や筋力トレーニングなどの運動療法を提供しています。足潰瘍患者さんに対するフットケアにも力を入れており、フットケア潰瘍専門の外来や、皮膚科、循環器内科、整形外科、リハビリテーション科、看護科を中心としたフットケアチームを結成し、足潰瘍患者さんに対するチーム医療を行っています。また病気への理解を深めていただくため、栄養指導・服薬指導に力を入れています。

患者さんへのメッセージ

下田 義晃 先生

2007年京都府立医科大学卒業。京都第二赤十字病院にて研鑽を積み、京都府立医科大学大学院へ。医学博士。2015年に神戸中央病院に入職、現在は循環器センター心臓血管部門の医長を務める。冠動脈、下肢動脈、腎動脈カテーテル治療について豊富な経験を有すほか、心臓リハビリテーションについても専門的に学び、安全性に配慮した心臓リハビリの提供に力を尽くす。日本循環器学会循環器専門医。

息切れ・動悸・胸の痛み・足のだるさなど年齢のせいと思われがちな症状でも、動脈硬化によるものの可能性がありますので、まずはお近くの医療機関にかかり、検査を受けてください。もしそこで異常があり精密検査で当院へご紹介いただいた場合は、必要な検査を実施し、必要に応じて足や心臓のカテーテル治療を行います。動脈硬化は血管が狭くなるだけでなく、石のように固くなる病気ですが、当院では、その石灰化病変に対して削る・割ることができる特殊なカテーテル治療の器具を導入しており、精度の高い治療に努めています。ですが、まずは動脈硬化を進行させないことが重要。そのためにも、きちんと健診を受けるようにしましょう。

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