順天堂大学医学部附属浦安病院
(千葉県 浦安市)
田中 裕 院長
最終更新日:2025/10/10


高度な医療と充実の医療環境で地域を支える
東葛南部および、東葛北部医療圏における高度急性期医療を担い、人々の健康と暮らしを支える「順天堂大学医学部附属浦安病院」。多発外傷や、広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒などの重症患者を24時間受け入れる高度救命救急センターをはじめ、55にもなる診療科や専門の診療部門が、がん治療を筆頭に高度かつ先端の医療を提供している。患者中心の安全性に配慮した高度専門医療、病床の有効利用、医療安全と感染対策の強化、病院改修工事の早期完成、地域医療連携の強化に取り組む同院では、新たに臨床・教育・研究の国際化を目標に掲げ、インバウンド医療の対策徹底を図る。大学病院として、臨床とともに研究や教育にも力を注ぐ一方で、地域の基幹病院として浦安市とその周辺地域に住む人や働く人、近隣のアミューズメント施設に訪れた人の急病にも対応。地域にとって頼りになる存在である同院の取り組みについて田中裕院長に聞いた。(取材日2025年3月19日)
病院の近況を教えてください。

当院は高い病床稼働率で推移しており、緊急入院も含めて、より安全性に配慮し効率的に患者さんを受け入れ、しっかり計画的に治療をして、状態が落ち着いた段階で退院につなげ、治療を待っている患者さんをすぐに受け入れるという、スピーディーな病床利用に病院全体で取り組んでいます。また昨年始まった働き方改革では、チーム医療の精神のもとに看護師をはじめ病院の全スタッフが業務を拡大できるかを検討しタスクシェアを進めるとともに、さまざまな制度も導入し超過勤務を抑制することができました。これは働き方改革の意味が職員に浸透した結果だと考えています。救急では、2023年に高度救命救急センターに指定されてからは、今まで以上に多発外傷や広範囲熱傷、指肢切断、重症中毒などの重症患者さんを、千葉県全域のみならず県外からも受け入れています。
病院リニューアルの進捗はいかがでしょうか。

新しい放射線治療装置の設置が終了し、いよいよ稼働します。今回導入した機器は治療部位をピンポイントでフォーカスし、周囲の健常組織を損傷の回避を図り、より精密な治療を行えるのが特徴です。リハビリテーションについては、今後ますます充実させていくためリハビリ室を移転拡充し、スタッフも増員しました。無駄なくシームレスにリハビリを提供できるよう、土日を含め毎日フル活用していきたいと考えています。加えて、急性期リハビリや心臓リハビリを積極的に行っていくことで、早期離床をめざしていければと思います。産科では、分娩室を陣痛、分娩、回復が1つになったLDR室に改修し、新生児室もリニューアルしました。今後はできる範囲で無通分娩を取り入れていくことも視野に入れています。さらに、がん治療センターを17床から23床に増床したほか、3室の結核病床を開設し、結核やその疑いのある患者さんを受け入れています。
地域との連携も積極的に取り組まれていますね。

当院では、病院としての全体的な広報活動、各診療科による専門性のアピール、そして、個別のつながりによる3つの「顔の見える連携」を大切にしています。まず、病院としては、医療従事者を対象としたフォーラムを開催していますが、参加者も増えつつあり、円滑な地域医療連携の一助になっていると実感しています。各診療科では、それぞれの領域の地域の先生方と「現場to現場」で顔の見える関係性を築いていけるように、新しい情報を発信し、得意分野をアピールしています。個別の連携については、患者さんをご紹介いただいたらきちんと返信するよう徹底しています。最初に患者さんを送っていただいた時、検査や手術の結果報告、今後のフォローについてというように合計3回ほど文書でやりとりをすると、紹介元の先生も安心されるのではないでしょうか。このような細かな対応から、地域の先生から信頼して患者さんを送っていただけるように努めています。
今後、病院として力を入れていきたいことはありますか。

今、力を入れているのが病院の国際化です。その一つがインバウンド医療の展開で、海外から患者さんに来ていただき、整形外科や腎臓内科の領域など、日本の当院でしかできないような治療を提供できればと考えています。近くには世界的なテーマパークもあるので、ご家族で来ていただき、患者さんが治療している間ご家族は観光を楽しんでいただくなど、立地の良さも生かしていきたいです。研究についても、海外への留学あるいは海外からの留学、海外との共同研究など双方向の交流によって国際化をめざしてまいります。また今年度から、海外で学んだ経験のある研修医の受け入れを積極的に行っています。海外経験のある研修医が日本の臨床の現場に立つことは、日本の医療と海外での医療の違いを知るきっかけとなり、モチベーションアップが期待できます。当院を中心に順天堂大学の各キャンパスが連携し一緒に国際化を進めていければと思います。
最後に地域へのメッセージをお願いします。

紹介状を持って受診する紹介患者さんが増えつつあると同時に、外来患者さんの数は横ばい傾向にあります。これは、症状の安定している患者さんを地域の先生方に逆紹介している結果であり、地域の先生との2人主治医制がしっかりと機能していることの裏づけともいえます。これからも、地域の先生方との連携を推進し、全診療科が紹介患者さんを積極的に受け入れてまいりますので、地域の先生方におかれましては、ぜひ、患者さんをご紹介いただければと思います。また、地域住民の方で健康にご不安がある方は、まずは、地域の先生にご相談の上で、紹介状を書いていただいてから当院にお越しください。順天堂大学医学部附属浦安病院は幅広い診療科を有しておりさまざまな疾患に対応しております。そして、地域の先生とはしっかり連携し情報共有をしていますので、安心して受診していただければ幸いです。

田中 裕 院長
1982年大阪大学卒業。米国留学、大阪大学大学院医学系研究科救急医学准教授などを経て、2007年より順天堂大学医学部附属浦安病院救命救急センターセンター長。同院院長補佐、副院長、診療部長兼任を経て2021年より現職。日本救急医学会救急科専門医、日本外科学会外科専門医。順天堂大学大学院医学研究科特任教授。





