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順天堂大学医学部附属浦安病院 

(千葉県 浦安市)

田中 裕 院長

最終更新日:2024/08/27

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高度な医療と地域連携で人々の健康を支える

千葉県に住む人々の約半数が生活する東葛南部及び、東葛北部医療圏において、高度急性期医療の中心的存在となっているのが、「順天堂大学医学部附属浦安病院」だ。大学附属病院として診療と教育、研究という3つの使命を果たすことをめざしている同院では、合わせて55にもなる診療科や専門の診療部門、診療支援部門を設置。同時に、高度救命救急センターや地域がん診療連携拠点病院、地域災害拠点病院、千葉県地域周産期母子医療センター、紹介受診重点医療機関などの指定を受け、専門診療が必要な患者をより積極的に受け入れることで地域医療連携も推進。基幹病院としての役割も担いながら、浦安市とその周辺地域に住む人や働く人、近隣のアミューズメント施設に訪れた人の急病までに、順天堂の理念である「仁」の精神に基づき、患者の人間性を尊重した良質な医療を提供することに努めている。「将来にわたって持続可能な医療提供体制を構築していきたいですね」と話す同院の院長である田中裕先生に話を聞いた。(取材日2024年3月18日)

県内でも少ない高度救命救急センターを運用しているのですね。

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高度救命救急センターは、救命センターに収容される患者さんの中でも特に重症外傷や、広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒などの特殊疾患の患者さんを24時間受け入れることができる高度な診療機能を持っています。これらの患者さんは、救急科単体ではなく複数の診療科によるチーム医療でなければ救命は望めません。頭部の外傷なら脳神経外科、四肢の骨折であれば整形外科、重症のやけどは形成外科などといった、複数の診療科の協力が必要不可欠です。つまり、高度救命救急センターでは、積極的にチーム医療を実践しなくてはなりません。当院には、これまでも長くチーム医療を活発に行ってきた歴史があり、その体制をより強化して、最重症患者さんを受け入れる体制を整えています。今後は、最重症患者さんの初期対応から血管造影などの検査、手術などまで、必要な処置のすべてを行うことが可能な「ハイブリッドER」の導入も予定しています。

病院全体の改修工事も進めていると伺いました。

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以前は、病院の正面玄関から遠い場所に採血室、その向かいに放射線撮影室という配置だったため、混み合う時間は順番待ちをする人の長蛇の列で、座る場所もないほどでした。まずはそこを解決するため、1期工事では中央採血室や超音波検査室、呼吸機能検査室などを1ヵ所に集めた身体機能検査センターをロビー近くに設置しました。受付後の患者さんは、採血室などへスムーズに移動して必要な検査を受けることができます。待ち時間も非常に短くなって、レストランやコンビニエンスストアもできて休憩スペースも拡大されたことで、診察を待つ間もリラックスして過ごしていただけます。また、2024年4月には「結核モデル病床」を新たに3床開設して、がんなど併存疾患の治療が必要な結核患者さんの入院加療にも対応できるようになりました。今後は、PET-CTの導入や放射線治療装置の更新、各診療科のフロアの再配置による機能の拡充などを計画しています。

複数の診療科によるセンター化を推進されているそうですね。

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2023年には身体機能検査センターのほか、フットケアセンターも新設しました。下肢重症虚血で悩む人が多いことから、循環器内科や形成外科、整形外科、腎臓内科などが連携し、下肢の血流の改善をめざしています。腎臓内科では、血管が詰まる原因となるLDLコレステロールを除去するための血液浄化療法に対応しています。地域の透析病院とも協力して、血液浄化療法の導入は当院で、その後は地域の透析病院でという医療連携を推進しています。また、当院にはその他にも、膠原病・リウマチセンターや手外科センター、外傷・再建センターなどが設けられております。このようにセンター化することは、診療科の垣根を超えたチーム医療を行うことです。当院は、「安全で質の高い高度な専門医療をチームで行う」ことを目標の一つに掲げています。各分野の専門家が集まることで成り立つこうした医療は、総合病院であり大学病院だからこその強みです。

がん診療には、どのように取り組んでいますか?

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がん診療は、以前のような手術と放射線治療、化学療法だけではなく、ゲノム医療など選択肢が多様になりました。一般的にがん患者さんの余命も長くなっていることから、地域がん診療連携拠点病院は、治療後のがん患者さんのフォローやケアまでを担っていくことが求められています。そのためには、医師や看護師、管理栄養士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど多職種が、治療のチーム、支援のチームなど複数のチームを結成し、がん診療を進めていくことになります。高度急性期医療を担う大学病院にとって、がん診療は特に力を入れるべき分野の一つです。県内では、当院と千葉大学医学部附属病院、船橋市立医療センター、国立がん研究センター東病院が柱となって、がん診療に積極的に取り組んでいます。当院では現在、ほとんどの診療科でがん患者さんを診ています。治療からその後のフォローまで、患者さんの一生を支え向き合っていく覚悟で取り組んでいます。

最後に、今後の豊富と読者へのメッセージをお願いします。

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今年の4月より始まった医師の働き方改革では、医師事務作業補助者や看護師の増員によるタスクシフトの推進、時間をずらして勤務するタイムフレックス制度などを導入しました。医師の長時間労働を改善することで、提供する医療の質と安全を確保できるよう努めています。そして、開設から約40年がたち、当時から利用している地域の患者さんにとっては、大学病院というより近くのかかりつけの病院というイメージが強いと思います。そういった患者さんには、引き続き当院を頼りにしていただきたいですね。同時に、紹介受診重点医療機関として、専門診療が必要な患者さんを積極的に受け入れて、地域医療連携を推進していきたいと考えています。また、新型コロナウイルスやインフルエンザなどへの対応強化のほか、未知の新興感染症へもしっかりと立ち向かっていけるような体制の整備にも努めて、将来にわたって持続可能な医療提供体制を構築していきたいですね。

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田中 裕 院長

1982年大阪大学卒業。米国留学、大阪大学大学院医学系研究科救急医学准教授などを経て、2007年より順天堂大学医学部附属浦安病院救命救急センターセンター長。同院院長補佐、同副院長、同診療部長兼任を経て2021年より現職。日本救急医学会救急科専門医、日本外科学会外科専門医。順天堂大学大学院医学研究科特任教授。

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